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歌舞伎町四天王 保坂さんのその後【ドキュメントM】

昨年の2月にこのコーナーで取り上げた保坂さんは、新宿の歌舞伎町で10年以上麻雀を打ちながら生きている強者。
あれから約1年、歌舞伎町の麻雀はどう変わったのか、そこで勝つにはどう打てばよいのか、改めてお話を伺った。
昨年の記事

今はポーカー7割麻雀3割くらいの生活

1年前に取材した時、保坂さんは歌舞伎町の雀荘で働いていた。
基本的には順位戦の東風戦だが、特殊牌(※)がたくさん入っていて、素点そのものよりもそれを使ったアガリに対するポイントの比重が大きいのが有名な店だった。今は?

(※)5m、5p、5sに赤や青や金がついていて、手牌にそれがあるだけで1000円や2000円、3000円とつく。

「今もその店で働いてますよ。但し、週1回くらいです。普通の雀荘店員は12時間勤務なんですけど、もっと短い時間にしてもらっています。あともう1軒、やっぱり同じようなルールの店で働いてます。そこも週1回の短時間勤務ですね。それ以外には麻雀はほとんど打ちません」

なぜ保坂さんは週2回の短時間勤務が許されるのだろうか?

「基本的にはポーカーをやってる時間が長いんですよ。だいたい毎日夕方くらいからポーカーの配信をしています。初めはあまり人が集まらなかったけど、今は生配信に300~400人の人が来てくれるので成功してると思います。
雀荘の勤務は短時間だけど、自分は小回りが利くからそれでいいみたいです。もともとその2軒の雀荘とは良好な関係で、『別に働かなくても生きていけるけど週1回くらいなら手伝う』というスタンスでやってます」

雀荘店員というと、生活費を稼ぐために必死で毎日麻雀をしている、というイメージを持ってしまうのだが、保坂さんはずいぶん違って気楽そうだ。

「ここでずっと麻雀をしないといけない、って決めてそれを続けてると、飽きてしまうって言うか、向いてないんですね。毎日同じ景色、毎日同じ客っていうのが嫌になってくるんです。だから2軒の雀荘で今の勤務形態でちょうどいいと思ってます。麻雀はだいたい勝ってますよ。じつはこのところ負けてるんですけど、そんなに心配するほどじゃないです。
今更、麻雀で間違うこともないので、自分で『ここからここまでの範囲』と決めたところにおさまっていれば上ブレも下ブレも気にしません。ただ、麻雀を忘れないために週2回くらい打っててちょうどいいです」

ポーカーに比重を置く理由は?

「市場規模の違いですね。世界全体を見ると、ポーカーのほうが圧倒的に注目度が高いです。昔は麻雀配信もやってたんですけど、やっぱり知名度を付けて一発当てるにはポーカーしかないだろうという気がします。
ポーカーの配信も初めのうちは大変でしたよ。コメントがついたら必ずそれに反応するんですけど、1来たモノに1で返してたらそれで終わってしまって、ちょっとでも『つまんない』と思われたらよそに切り替えられてしまいますからね。1来たモノに10くらい返していかないと配信が続かないんです。『今日何食べたの?』とコメントが来て『マック』って答えたらそれで終わりますけど、『マック食べたよ。今のマックのメニューはどう? みんなどれが好き? 俺は~』という感じで広げていかないといけないんです。話が好きじゃないと無理ですね。
でも、そうやって配信を頑張っていて、自分のチャンネルを登録してくれる人がいたらおカネも入るし、頑張ってやってます。力の入れ方で言うと、ポーカー7割・麻雀3割くらいです」

歌舞伎町の特殊牌の麻雀で勝つには

「ポーカー中心」と言われてもこちらはキンマ。最近の歌舞伎町の麻雀の事情のほうに興味がある。そこで打ち続けている保坂さんには、もっと麻雀の話を聞きたい。
「歌舞伎町の麻雀は、ここ1年でまた変わりましたね。麻雀というゲームをするというよりも刺激を求めてくる人が多いと思います。麻雀で刺激を求める人の行きつく果てが歌舞伎町じゃないかな。そのくらい、特殊牌のポイントが偉くなりました。
すごく派手で楽しいですけど、ひとことで言えば、全体的にとてもレベルが高いです。そこで働いてる人たちもよくやってるなあと思ってます。
以前から特殊牌は入ってましたけど基本的には順位戦だったんですよ。着順を取っていればトータルポイントでも勝てましたけど、今はそうじゃありません。着順のポイントが、緑色や青色のカラフルな牌1枚でひっくり返ることもあります。
だからそんなルールで打てる人自体は減ってると思います。
会社の経営者とか資産家とか、やや年配の方が多いですね。そういう人たちも、負け続けるとおもしろくないから来なくなってしまいます。
時々、ウデに覚えのある若者が来てますけど、店に居つかないってことは勝ててないんでしょう。勝てたらおもしろいからずっと打ってるでしょうからね」
読者の中には、昨今の歌舞伎町ルールに興味をお持ちの方もいるはず。そんな人たちに「勝つコツ」を教えてもらえないだろうか? 厚かましいのを承知で聞くと、保坂さんは

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