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【無料記事】選ばれなかった女です【飯盛裕美子】

2023年12月某日。
#近代麻雀新人女流プロ2024
というタグと共に、新人女流プロたちが近代麻雀の企画で撮影があったことを報告するポストがいくつも投稿されていた。

自分よりもプロ歴の長い方もいれば、私より新人の方もいた。
「あー、私は選ばれなかったんだ」
率直にそう思った。

私は34歳のプロ歴2年目の新人。
確かに何も実績なくて若くもないし、突出した個性があるわけでもない、まあそんなもんかと思った。
ある20代の女流プロが、こんなポストをしていた。

「キンマの企画呼ばれなかった…もっと可愛くなりたいよう…」
彼女のポストに胸が締め付けられる想いがした。
彼女は新人でありながらXのフォロワーは7000人に届こうとしており、先日の近代麻雀の人気投票企画でも大先輩たちの中で孤軍奮闘していたのである。

無意識のうちにフタをした気持ちが、顔をのぞかせてきた。正直いやあそら悔しいわ。
だって私は麻雀プロを人生にするために、この道を歩き始めたんじゃけえな。その為に出来ることが用意されてないなら自分で作りゃあええもんな?

翌日彼女にLINEして、近代麻雀に企画を持ち込みしようという話をした。

余談だが、彼女は私より10歳くらい年下である。
若くして素晴らしい才能と技術があり、成熟した平均感覚を持ち、人並み以上にパワフルに仕事をする。私はその才能と行動力に一目惚れしてしまい、一方的に彼女のことを尊敬していて、半ばナンパのような感じで交流を持った経緯がある。
とにかく「彼女と一緒に舞台に上がりたい」という気持ちでじっとしていられなかった。

***
仮)選ばれなかった女達
概要:近代麻雀新人女流プロに選ばれなかった女性プロを募集、素敵な写真とプレゼンをつけた特集を作って持ち込む

選ばれなかったけど、私たちだってこんな魅力がありますよ‼️ってぐいぐい宣伝するような挑戦的な企画。団体の垣根を越えられると嬉しい。もし気に入ってもらえたら毎年できるかも?
***

最初に考えたのはこれ。
金本さん炎上系好きっぽいし?(けど実質は前向きな企画だし)デザインは仲良くしている夏川夏未プロが得意だし、私もある程度はできるし、いいんじゃない?ということで企画書を作る。

夏川夏未プロ

カメラマンの友人にすぐ連絡して経歴やプロフィール写真送ってもらい、ざっと見積もりもらって、会社員時代に死ぬほどやった資料作りの経験を活かしていい感じの企画書が完成した。

年が明け、正月ボケもまだ抜けない頃
夏川夏未プロから黒木さんに連絡してもらい、黒木さんから金本さんに企画書をお渡しすることができた。まずは打ち合わせしましょう、ということになった。この連絡の後に黒木さんとは対局会場やお店でお会いすることはあったけど、なかなか話をするタイミングもなく、連絡は夏川さんにまるっきりお願いの状態だった。

2024年1月某日。
ある月曜日の19時、竹書房で打ち合わせすることになった。
黒木さんは日程が合わなかったようで来られず、夏川さんは体調不良でダウンしてしまい、打ち合わせには1人で向かうことになった。

1人で喋る気楽さと、心許なさがあった。

東京駅で虎屋の羊羹を買い、中央線でお茶の水まで行って総武線に乗り換える。この時に非常停止ボタンが押されたらしく、10分ほど電車が止まってしまった。
初めての行き先で早く着き過ぎても迷惑になるかもと思い、ちょうど良い時間になるように到着するつもりでいたので焦った。
市ヶ谷に着いたら資料の印刷もしないといけないし、駅から少し離れてるし今日はヒール履いてるし…と頭の中がせわしなかった。

市ヶ谷の駅についたのは18:40くらいだった。
急いで最寄りのセブンに行って企画書を印刷する。カラー印刷2部で1400円!?小銭が足りず両替を頼み、なんとか用意できた。

コンビニを出たのは18:48くらいで、地図アプリの経路検索を見ると到着時間が19:00を過ぎてしまう。タクシー拾うのとどっちが早いのか、判断する時間も惜しかったので走った。

19時ぴったりにビルに到着した。

竹書房が入っているビル


エレベーターを降りると目の前に金本さんが現れた。初めまして、飯盛と申します。ギリギリで申し訳ありません!と捲し立てると「金本です」と言いながらオフィスに案内して下さった。

暗いオフィスの入り口では等身大ナナチやぼのぼのたちが、静かに出迎えてくれた。隣の会議室だけ灯りがついている。終業後に時間を作ってくださったのだ。ありがたや。

金本さんがドリンクサーバーの前で立ち止まり「何か飲みますか?」と聞いてくださったので走ってきたのでお水をいただきたいですと言って、ここまでの経緯を話しながら会議室に入った。

初めての出版社の会議室。編集長とタイマンの打ち合わせ。
若手プロとしては緊張の場面のはずが、けっこうな距離を走ってきたせいで酸欠状態だったのもあり、あまり何も考えられなかった。息も絶え絶えに名刺交換し、やっとの思いで「つまらないものですが」と手土産をお渡しした。

あんまりな第一印象を与えてしまったに違いないが、とにかくやりたいことを精一杯お伝えしよう。そう決意して、席についた。

巻頭カラー4ページで組まれた企画1ページ目です(キンマwebより)

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これからこの続編を発信していきます。

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