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菅原千瑛「BEAST戦記」04 2024年1月12日

※この記事は近代麻雀2024年3月号掲載記事のノーカット版になります

いつだって紙一重

麻雀の好きなところは? と訊かれたら「紙一重なところです」と答えています。

来る順番ひとつ違えば、切る順番ひとつ違えば、同卓者ひとり違えば、展開が、優勝者がガラッと変わることもある。
この紙一重の差には観ていて胸が熱くなるような、まるでドラマのような展開がある。そんなところにいつも、いつまでも、心を掴まれてしまうのです。

Mリーグ2023-24 11月28日第1試合 南4局1本場

一一三三五五九赤⑤⑤赤5588
九単騎のリーチ。自身は2着目、どこからでも8000点あがればトップです。

そこにトップ目の二階堂瑠美さんから追いかけリーチが入ります。

六六七八⑥⑦⑧222678
ちなみにドラは2。(…お、恐ろしすぎる)

六九のめくりあいともいえる聴牌形、どちらも既に山にはない待ちでした。
流局はもちろん瑠美さんトップのまま。

親番はラス目の本田朋広さん。そして手牌は

六六八九九34  ④ポン Rポン

私のリーチ後の捨て牌に三がありますが、瑠美さんのリーチには通っていない状況です。

本田さんの上家である瑠美さんが持ってきた七。
親番連荘を目指す本田さんは七をチーすれば聴牌です。
そう、六か九を切れば。
カン七で鳴くか、ペン七で鳴くか。

軍配はペン七、つまり九切りが選ばれました。
本田さんが六を切れば瑠美さんの、九を切れば私のトップで試合終了でした。

仮に瑠美さんがヤミテン(リーチが1軒)だったなら、本田さんは三がリーチに通っていることから六切りを選んだかもしれません。そんなところも含めて、紙一重だなぁと感じる1局でした。


Mリーグ2023-24 1月12日第2試合 東3局

親番の高宮まりさんからのリーチ。

6巡目の西以外全て手出しです。

そして自身の手牌がこちら。

四五九九②③④13赤5789  ツモ一

ない。何もない。安全なものが見つからない。
46000点持ちのトップ目。親リーチを受けており、手牌はリャンカンと両面の1シャンテンですが、一発の放銃は避けたいところ。
三がリーチ宣言牌の1巡前に手出し。二三三から一四を固定、も当然脳裏をよぎります。
第1打が八ということでここは九の対子落としの選択としました。

七八八から第1打に先切りの両面固定の八としている場合を除けばかなり通りやすい牌だからです。
また"2枚切れる=2巡凌げる"というポイントも九を選びやすくさせています。

近年スタンダードになりつつある麻雀戦術のひとつに、"リーチを受けて手牌に安全牌がない時、対子や筋対子で落とす"というものがあります。
端っこの1や9はタンヤオがつかない安めの場合もあるので、俗にいう"端っこアタック"の意味合いもあります。

⑨を持ってきてツモの声。開かれた手牌は

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