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「優勝おめでとう」魔神の父の観戦記 Мトーナメント編⑥ 決勝
1 色々思い出すね
妻が言う。「ユーチューブで渋君が家の紹介をしてるわよ」。どれどれと、祖父も含めてみんなで笑覧。でも渋川の説明には笑ってしまった。
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何もかも「おしゃれ」で片づけている。何という語彙の貧困、表現力の無さ。麻雀の解説の時とは雲泥の差だ。まあそれは良い。問題なのは
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である。
何か月か前のことだ。ラインの着信を見ていた妻が私に叫ぶ。
「渋君家を買ったって」
「えーっ、あいつそんなに儲けてるのか」
と私。
「どうもそういうわけじゃないみたいよ」
と妻。妻はその後渋川に電話していたが、それで分かったのが
「35年ローン」
「本当に大丈夫?」と顔を見合わせる私達。また一つ心配の種が増えたな。
今私の目の前に二人の孫が居る。
6歳の男の子と4歳の女の子。
夢中になって絵を描いたりロボットを作ったりしている。
30年前その二人は、6歳の渋川と4歳の妹。
今と同じようにはしゃいでいた。
私を含め世の親達は、子ども達がずっとこんな風にわくわくした気持ちで楽しく生きて欲しいと願っていたはず。
しかし現実はそうはいかない。
病気、いじめ、事故、戦争、等々。この子達の行く末には様々な厄災が降りかかる。
その中の一つが「経済的困窮」。
特に私の世代には、会社の倒産等により生活が破綻した人達がたくさん居た。だから子ども達に、少しでも安定しているように見える公務員や大企業に入って欲しいという思いを持つ。
だが麻雀プロというのは・・・・・・。
私とて思いは、このお父さんと一緒だ。
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ただ、もう渋川が麻雀プロの道を選んだ以上、後はこの世界での安定を望むだけだ。
この世界での安定、それは「強さ」しかあるまい。
渋川がプロになった後、私はそれが不安だった。だってたまのテレビ対局でも誌上対局でも、私が見る限り、彼はほとんど勝つことはなかったからだ。桜井章一さん解説のテレビ対局で「鳴きが軽い」と厳しい指摘を受けていたことも思い出す。
ただ5年位前だったか、渋川が広島に戻って来た時私は聞いた。
「結局、今の麻雀界で一番強いのは誰なんだ?」
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