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女流プロ雀士解体新書 松嶋桃(文・藤川まゆ)


ある日、突然近代麻雀の楠原さんよりこのようなLINEをいただいた。

『近代麻雀noteで、女流プロのライフヒストリーの記事を定期的にアップする企画がありまして、そちらで藤川さんに取材記事を書いていただけたらと思っています』

楠原さんとLINEのやり取りをするのは一年半ぶり二度目であり、前回はABEMAの最強戦予選に出場した際のインタビューについてのやり取りである。

それほど接点のない楠原さんからなぜ私にこのような依頼が来たのだろうかと驚き、少し考え、ピンときた。

「松嶋桃ネタか……!?」

松嶋桃とは多くて週五日会ったこともあるくらい仲良くさせてもらっている。

きっかけは『マーダーミステリー』(以下マダミス)というゲームだ。
(マダミスについての説明は割愛するので、気になる方はぐぐってみてください)

マダミス仲間とのマダミス後の記念撮影

マダミスも、麻雀のように”全体に見えているもの”と、”自分だけが見えているもの”があるため、終わったあとに感想戦が盛り上がる。
そのため、終わったあとのお茶や食事が定番となっており、いろいろ話していくうちに、桃さんとの共通点や共感できる部分が多いと感じ、どんどん仲良くなった。(……とかだったかな、と、思います。実はきっかけは本当に覚えていないので、捏造だったら本当にごめんなさい)
とりあえず、マダミスはとても面白く、麻雀プロにも愛好家が多いので、興味がある方は一度ぜひやってみて欲しい。マダミスはいいぞ。

 『不思議の国のアリス』モチーフのマダミス。 桃さんのアリスかわいい~~!!! パイプに隠れてるけど、なんか変な帽子屋もいますね? ちなみに藤川はイモムシ役でした。

楠原さんによると、今回の依頼で対象者を指定するつもりはなかったとのことだったが、せっかくなので、松嶋と仲が良いからこそ聞ける踏み込んだ話を紹介したい。

個人的な松嶋の大好きポイントの一つとして「ほどよくパンチが効いていてオモロイ」という部分があるので、その魅力も伝えていきたいと思う。


【お客さんに「すごいブスだね」と言われて】

何年も前のこと、松嶋が麻雀店にゲストに呼ばれ、店内の各卓に挨拶にまわっていた。
すると、お客さんが、面と向かって「すごいブスだね」と言ってきたという。

こういう話はたまに聞くのですが、一体何がしたいんでしょうね。
いいことないねやろ、普段生活してて。お察しします。
(本記事読者層には粗品ネタが9割伝わるという前提で書いてしまいました。偏見です。すみません)

松嶋の記事ですし、せっかくなのでクイズを出したいと思います。

松嶋桃クイズ

Q.
松嶋桃は「すごいブスだね」と言われてどうしたでしょうか

─────こういったことを言ってくる方とは関わりたくないですが、歩いていたらいきなりウ◯コを投げてくる人というのは少なからずいるわけで……。
実際こう言われたら、一体どういうリアクションをするでしょうか。
私だったら軽口で誤魔化しちゃう気がします。「いや〜!タイプじゃなかったですか〜! 残念~!(は?バ◯か◯すぞ)」とか言うのかなぁ。

それでは回答です。

A.
びっくりし過ぎてなんと言われたか瞬時に理解できず、
「えっ、もう一回言ってもらえますか?」と聞き返した

私はこの返しを聞いて大笑いしてしまった。
”理解できない”というのがすごい話だなと思っていて、自分のことを少しでもブスだと思っていたら、もしくは、過去に周りに「ブス」と言ってくるような悪意のある人が多かったら、おそらく”理解”はできたと思う。
松嶋桃には良い意味で”コンプレックスがない”のだ。

ちなみに、相手からなんと返ってきたか聞いたら、「何も言ってくれなかった」とのことだった。そりゃそうだ。

このエピソードを話していた時、この場にいた、いまいしんご、小宮悠は「信じらんない!」「許せない!」「ブスなわけじゃないじゃん!」と口々に怒ってくれたが、これに対して松嶋がニコニコしながら言ったコメントも秀逸だった。

「でもさ、私ブラジルだったら絶対モテないじゃん?」

この返しも私は大好きである。
この例えがとっさに出ることもそうだが、このセリフで『自分の容姿は悪くないと思っている上で、「それでも嫌いな人はいるよね」と肯定している』ということが伝わる。

自分自身をちゃんと好きでいて、そしてユーモアがある。
そんな松嶋の性格がとても良く出ているエピソードだ。

ちなみに本記事を書くにあたり、『本当に松嶋桃のようなタイプはブラジルでモテないのか』が気になり、【日本人女性 ブラジル モテるタイプ】で検索したところ、「ブラジルは親日国であり、日本人女性は親しみやすさもあって普通にモテる」という記事がありました。親しみやすさ◎の松嶋桃は、ブラジルでもモテそうですね。

話がそれてしまったが、この『自分自身を好きでいること』というのが、なかなかどうして難しい。
松嶋は、一体いつから自分のことが好きでいられているのだろうか。


【身体が弱く、走ることができなかった幼少期】

1984年、愛知県の名古屋市に生まれた。

4,000グラムで産まれ、そのまますくすくと大きく……はならず、幼稚園時代はとても小さく、身体も弱く、毎週病院へ注射を打ちに行かなければならなかったほどだという。元気に走ったりもできず、布団で横になっているか、家で本や図鑑を読んで過ごした子供時代。

身体が弱い分、家族からたくさんの愛情を受け、大事に育てられたため、『自分は素敵なんだ!』と自然に思えていたという。
余談だが、わずか5歳にして、布団でテレビを観ながらコロコロしている時に『しあわせだなあ。わたしは一生このまますごしたい』と思ったという。大物である。

松嶋は、どんなことにも動じないメンタルの強さを持っている。私が今まで出会った中で、確実に上位に入るほどのメンタルの強さだ。
自分でいくら『自分は素敵だぞ!』と思えたとしても、悪口や誹謗中傷はやはり気になってしまうものではないのだろうか。

「誹謗中傷、まったく気にならない?」

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