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パジャマとりやの芸人麻雀列伝01~トータルテンボス編~

お笑い業界で麻雀三昧

およそ30年近く、吉本興業の若手芸人界隈で麻雀を打ち倒していたわたくしパジャマとりやが、その思い出をつづっていくものであります。よろしくどうぞ。

パジャマとりやプロフィール
1975年12月21日生まれ。京都府宇治市出身のB型。
1998年お笑い芸人としてデビュー。5年ほどコンビで活動するも相方がアルバイト先のドラ
ッグストアーで正社員になったため解散し作家に転向しフリーランスになる。2015年、日本プロ麻雀連盟31期後期生として入会。作家と麻雀プロの二足のわらじを履く麻雀おじさん。
CSフジテレビONE「芸能界麻雀最強位決定戦THEわれめDEポン」構成・出演。トータルテンボス公式YouTubeチャンネル「SUSHI★BOYS」ではShinobiとして参加。
魚谷侑未プロと東城りおプロのYouTubeチャンネル「りおみんちゃんねる」のメンバーでもある。FMしながわ「ジャンワラ」構成。好きな言葉は「チー」

26年もの付き合い トータルテンボス

わたくしパジャマとりやのことを調べた場合、絶対に出てくる芸人さんが「トータルテンボス」だろう。彼らは吉本興業(株)の芸人養成所NSCの同期である。
まだケータイの画面がようやくカラーになったかどうかの2001年。
3年目の我々若手芸人には仕事が無かった。
月に2~3回のライブの出番があるだけである。
ネタ時間は3分。ギャラは一回500円。本当に500円で、月末に送られてくる給料明細には源泉が引かれて450円が振り込まれていた。

お金が無い

週に1回程度の舞台しかない芸人は何をやるか。アルバイトをしない時間は、合コンと麻雀で埋めつくされることになる。お金も持っていない、時間だけある若手芸人。合コンは安い店で開催する。我々はオゴることはできない。割り勘だ。
麻雀を打つ時も、場代がもったいない。安い雀荘を探す。いつも通っていたのは高田馬場だ。
BIG BOX側の坂を上っていくと右手にセット雀荘がある。麻雀サン、麻雀西武、麻雀富士。大体このどれかに入る。場代は驚愕の1人1時間あたり120円という驚異の安さを誇っていた。

トータルテンボス・大村の眼が光る

その日も高田馬場のどれかの雀荘で打っていた。
メンバーはトータルテンボス・大村トータルテンボス・藤田、そしてわたくしパジャマとりや、そして同期の若手芸人で堀田(仮名)の4人。
堀田は現在はドン・キホーテの正社員をやっているらしい。
当時、藤田は大学を留年中。堀田も学生証があったため、我々のセットは学生料金で打つことが出来た。

今でこそ麻雀が打てる芸人として、最強戦やオールスターリーグに出場、われポンでも優勝している実力の持ち主だが、今回はそんな彼に22年前に起きた出来事を紹介しよう。

この日は大村の空気が違った。夜10時過ぎ。
雀荘に集まった時から眼光が鋭い。

わたくしは聞いた「何?どうしたの?」
大村「・・・金が無ぇ」
聞けば、給料日の25日まであと2日。
今、朝までのセット料金の1300円ほどを払ってしまえば、電車賃も無いというのだ。どうするつもりなのだろう。こいつはヤバい奴なのか!?
(その数年後に電気とガスと水道を止められて、太陽が沈んだら眠り、太陽が昇ったら目が覚める生活を余儀なくされることをわたくしパジャマとりやは知る由もない)
とにかく、大村の狙いは「場代を借りる」だけではなく、藤田、わたくし、堀田の3人から「できれば2万円ほど借りる」であったのだ。

わたくしも同じような状況、数千円は持っているがこれを貸してしまえばあと2日身動きが取れないため貸すことはできない。
案の定、藤田も貸せなかった。最後にやってきた堀田は少し余裕があるようで、財布には3万円ほど入っていた。わたくしは思った。

「・・・これだ!」

大村は交渉した。しかし、堀田は渋った。当たり前である。財布の中の3万円中、3万円を貸せというのである。わたくしも藤田もその下手なお願いには白目をむくしかなった。

堀田「わかったよ、じゃあさ、今日の麻雀で大村が一番勝ったら貸してやるよ」
堀田は優しい奴なのだ。家の中で絨毯にウ○コをされても怒らなかった奴だ。流石だ。
結局実現しなかったが、当時、堀田の家にクール宅急便でウ○コを送ろう!という素晴らしいアホな計画が練られていた時期でもあった。
(この数年後にわたくしの家の冷凍庫に藤田のウ○コが凍らせてあるのを発見して膝から崩れ落ちるのだが、この時のわたくしは知る由もない)

勝つ気満々の大村は、急に明るく元気になり、カレーを注文した。腹が減っていたのだ。
4人でカレーを食べ、攻めてくるであろう大村に注意しながら麻雀を打つ。ルールは東南戦のアリアリだった。

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