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トップ至上主義は正しいのか?【アマチュア最強戦虎の巻】文・千嶋辰治

トップの順位点は50ポイント

前回は店舗予選を勝ちあがるためのトレーニング方法をご紹介しましたが、今日は予選勝ち抜けのために必要な考え方について書きます。

麻雀最強戦の店舗予選は、トップの順位点が50ポイントと高く設定されています(ちょうど30,000点のトップで+50)。
そのため、選手はトップを獲るために大きめのリスクを取る戦略を取り、真っ向勝負で斬り合うのが勝利への近道と考えている方は多いと思います。

トップの順位点が大きいとどういうことが起こるのか?

まず、トップを狙う選手が多くなり、一か八かの勝負に踏み込む選手が多くなります。
勝負に勝てたら良いのですが、負けてしまった場合は深めの痛手を被ることが多くなり、そうなった選手は余計に前がかりに…。
最終的には「前に出るしかない」状態になるので、序盤でマイナスを被った選手は結局最初から最後まで棒攻めを強いられることになります。

では、トップの順位点が大きなこのシステムで、どのように戦うべきなのか?
「トップ至上主義」とも言える現状を勝ち上がっていくために必要なことは何なのかを考えます。


「トップ至上主義」は本当に勝ち上がりやすいのか?

店舗予選を勝ち上がるためにはトップが必要です。
3回戦の内少なくとも1回はトップを獲らなければなりませんよね。

だからと言って、トップトップ…と、ひたすらトップを求めてさまようウォーキングデッドになっても、簡単にトップを獲ることは叶いません。
いくらトップだけを狙って打ったとしても、大抵の方は良くてトップ率30%が関の山でしょうし、普通に打ったとしても、通常のトップ率は悪くても20%くらいはあるでしょうから、その差はせいぜい10%。

たったこれだけの差で、予選勝ち抜けの可能性を高められるとは言い難いと私は思いますが、予選ではトップが欲しくて常に攻撃的なポジションを取る打ち手が後を絶ちません。

もしも、トップ至上主義が蔓延している現状で、他に優秀な考え方があるのならば、一人勝ちに等しいリターンがありそう…。

そう考えた私は、もう一度予選のシステムから見直してみたのです。


「トップ至上主義」は、もはや「勝ち上がれない病」

店舗予選は、半荘3回で既定の人数が勝ち抜け。
そのボーダーは、おおむね50~60ポイントと言われています。
トップ3回、あるいはトップ2回と恵まれた展開なら予選通過はほぼ確定。
問題はトップが1回しか獲れなかった場合です。

予選通過ボーダーが大体50~60ポイントとして考えると、トップ1回で勝ち上がれる残りの着順パターンは2着2回、もしくは3万点以上持っている浮きの2着と3着あたりでしょう。

そして、首尾よく予選を勝ち抜けば、次はトップ取りの決勝卓。
決勝は、予選のポイントはリセットされ、純粋に半荘1回の成績のみで勝ち上がりを決定します。

このシステムの大切な点は、予選のポイントがリセットされるという点。

勝ち抜けへの条件が、トップ1回、浮きの2着1回、3着1回を並べること。
これで良いのであれば、無理にガツガツとトップを獲りに行く戦法は、私にとっては自分の身を危険にさらすだけの行為のように思えてきたのです。

では、勝ち上がりの可能性を高めるために、どう考えたらよいのか?
さらに考え方を深めていきます。

勝ち抜けの可能性を高めるということ

勝ち抜けの可能性を高めるということとは、そもそもどういうことなのでしょうか?

先ほど、ウォーキングデッドになってトップを求めても、30%程度までしかトップ率が高められないということを書きました。
これは、「この方法を突き詰めていってもいかなくても、大差がない」ことの例えのつもりで書いたのですが、差がつかないことを一生懸命やったとしても、効果的に勝ち上がりの可能性を高めることにはつながりません。

予選を勝ちあがるためには、他者と明確な「差」を付けなければならないのです。

では、その「差」を付けるためには…?
私は、敢えてひたすらトップを目指した打ち方で麻雀を打ち直し、トップ至上主義者が見落としている重要なことが無いかを探しました。

2か月ほどそのフォームで麻雀を打ち続けた頃。
私が打つ様子をたまたま後ろで見ていた友人が、私に一言つぶやきました。

「そんなに前がかりになっていたら、いくら点数があっても足りないだろう。全局和了れるわけがないし、全部トップを獲れるわけがないのだから、ガードすべきところはガードしないと…。」

今振り返ると当然の指摘だったのですが、この指摘に私はハッとしました。

トップ率では差がつかない。
ならば、どこで差がつくのか?

トップを獲れない70%前後のゲームの戦い方を分析したら、より大きな差を他者につけられるのではないか?
そして、それこそがトップ至上主義者がおざなりにしてきたことなのではないのか?

友人の指摘にそんなことを思い立った私は、この日からトップとは真逆の「ラス」という存在に向き合うこととしました。


次回は、「ラスと向き合う~ラスの引き方」というテーマで、引き続き予選勝ち上がりの可能性を高めてみたいと思います。

引き続き、お付き合いください。

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