聖者たち【文・須田良規】
2024年3月26日(火)、東京ドームシティホールにて
Mリーグ特別パブリックビューイベント「スーパープレミアムナイト」が開催された。
私は竹書房のメディア席で観覧。
思えばこのとき初めて、Mリーガーたち全員がユニフォーム姿で立っているのを目の当たりにしたと思う。
私は今年協会の23年目、まあまあ長くいる団体所属者だ。
若いころから競技麻雀の研究会などには参加していたので、
協会ができる前から二階堂姉妹、勝又さん、小林剛さんなどたくさんの人とは顔見知りだったりする。
そして今は協会にも松本、堀、渋川、仲林と4人のMリーガーがいる。
壇上には銘々が各チーム名のデザインされたユニフォーム姿で凛々しく立ち、2000人もの客席のファンたちがバルーンを振って彼らに声援を送っている。
「──どう思いましたか?」
近代麻雀編集長の金本が聞く。
面白い、意地悪な質問だ。
金本は、そういう人間の闇みたいな、人の奥底の真の感情を知るのが好きなのだ。
包み隠さず言えば──、私はこのときやっと、彼らが別世界の人間だと思った。
普段でもMリーグは見ている。
しかしそれは、知っている人が麻雀を打っているのが面白いからで、
一般の視聴者の目線とは異なるだろう。
だから私自身に推しチームはないし、どこが勝っても負けても、純粋に楽しい。
誰だって、自分の友達がテレビで麻雀を打っているなら見たいと思うだろう。
Mリーグは、ほとんどが知人の麻雀なのだ。
ところが、このスーパープレミアムナイトでたくさんの観客に囲まれて、
手を振って、客席に応える彼らは、紛れもなく知人などではなかった。
語弊はあるかもしれないが、アイドルのような、芸能人のような雲の上の存在になってしまったのだ。
可愛い後輩だった松本と仲林はめちゃくちゃにカッコいいし、
気だるそうに座って並んで話している堀と渋川も、その緩い雰囲気を観客たちも喜んでいるのが伝わってくる。
実際はいつもA1リーグの対局で一緒に打つ連中だ。
それはMリーグが始まる前も今も、何も変わることはない。
さて、Mリーガーをうらやましいと思う人はわりと多くいるかもしれない。
ただ、Mリーガーになることと、競技団体所属者全員の目指す方向が必ずしも一致しているわけではない。
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