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【無料記事】選ばれなかった女たち:飯盛裕美子インタビュー

今回の企画『選ばれなかった女たち』の発起人である飯盛裕美子プロにお話をうかがった。麻雀の企画で「展示」や「在廊」という言葉が普通に飛び交うのは異質で楽しいものだったが、いったいどこからそのような発想が湧いたのだろうか。なぜこの人から企画が生まれたのか、そしてどんな企画になったのか、お話を聞いて掘り下げてみた。

1,生まれて初めて意識した自分の個性とは何か。自分は人とここが違う、と感じたことなど。

 昔から感情移入が激しくて、人の気持ちを深読みしすぎてしまうところがありました。それもあって、自分の考えを押し付けたり人を否定したりせずにありのままを受け入れて生きたい、と強く思ってました。基本的には世話好き人間なんだけど、周囲を眺めているうちに『私は特にそういう気質が強いのかな〜』と、自分の個性かもしれないと考えるようになりましたね。

2,企画を発案した理由。そしてどうだったか。楽しかったこと、大変だったこと。

 企画の動機については近代麻雀noteに書いたとおりですが、まあ選ばれなかったことを残念に思ってそれで「終わり」にしたくなかったってのが大きいですかね。参加プロを募った理由は、知名度の少ない新人なわけですから、頭数揃えないと企画として弱くなると思いました。参加させてもらえて嬉しい!と思ってくださるプロもいますが、こちらこそ、ありがとうございます!って感じです。  もちろん初めての試みだから心配ごともそれなりにありましたが、楽しかったですね。進行そのものはだいたい想定内に収まりましたが、応援して下さる方々の規模感は、いい意味で予想を大きく裏切るようなものでしたね。どんどん新展開が生まれていくのも楽しかったし、参加してくれたプロの皆さんが自分から行動を起こしてくれるところが見られるのも、とても嬉しいものでした。

(テレビ業界で実際に活躍しているカメラマンが撮影した映像)


3,今までの女流プロ的な露出とはだいぶ雰囲気が違う企画だったが、そこで表現したかったことは。

 私が子供の頃は『3年B組金八先生』(ゴールデンタイムのテレビドラマ)で性同一障害が扱われて、お茶の間でもそういう【多様性を知ろうよ】という風潮があったんですよね。多様性を認めることが当たり前の時代を生きてきた。ビジュアル系、ロリータ、ゴスロリ、アメカジ、B系、ファッションもそりゃ色んなものが流行ってました。それこそ令和の今の時代より、もっと多様なジャンルが幅を利かせてたイメージがありますね。 なので、麻雀界の画一的な表現には窮屈さを感じていました。もっと色んなデザインや表現があっても良くない?って思ってたわけですよね。 予想以上の反響があったのは、そんな時代の変化の裏付けなんじゃないかと思いました。

中国人っぽくってどうしたらいいの!と悩んだ李佳プロ

4,この企画で、どれだけ自分自身をアピールできたと思うか。どんなところがアピールできて、どんなところをもっとしたかったか。

 参加プロの皆さんにはとにかく、「自分がカッコいい、素敵だと思う表現を追求してほしい」と伝えてきました。結果、ご自分の生い立ちを紹介したり、自分という存在をまっすぐアピールできたんじゃないでしょうか。私自身についていえば、とにかくアイデアが飽和してしまっていたので、もうちょっと上手くできたかなって思ってます。ただ、この企画全体が私の表現、アピールになっているともいえますし、これでよかったと思ってます。

愛車と木村瑠璃プロ

5,この企画を通して、業界や競技、自分自身、そして他のプロについて、別の角度から見つめる機会があったと思う。なにか気づいたこと、感想などあれば。

 麻雀プロ1本で食べていくというのは、想像の10倍くらいバイタリティがないと厳しいのかなと思いました。私は10年弱サラリーマンを経験していますんで、ある程度の積極性を持ち合わせて参入したのですが、現状業界に存在しているプロとしての仕事は全然足りなくて、取り合いになってしまっていると感じます。 私は「麻雀プロの新しい仕事を増やす」という事をプロ活動のテーマの1つに掲げているのですが、そういう発想自体が難易度の高い事なのかもしれないです。 でも今回、こうした試みに参加したり、逆に鑑賞したりして「面白い!」と感じたプロの方には男女問わず、自分でも行動を起こすという意識につなげてもらえたら嬉しいですよね。自分でハンドルを握らないと、自分の向かいたい方向に向かわないですから。考えることよりとにかく行動することの方が大事だと思います。

6,今回参加していない他のプロについて(女性だけでなく男性も)、「このプロのこんな一面見てみたい」「スポットは当たらないが、この人のこんなところが面白い」などなどあれば。

 最近は廣岡璃奈プロが好きで、何か一緒に企画ができたらと思いますよね。かなり可愛くて、とにかく声がめっちゃキュートなんです。うまいものをしこたま食べさせたくなります。(笑) 廣岡さんがキャラクターとしてもっと有名になってほしいなと思います。あとは、ネギでおなじみの鴨舞プロも最高ですよね。麻雀プロなのに「カモ」をアピールするの、矛盾しててめっちゃ面白くないですか? こういう個性的なキャラ付けからは、タイトル獲ったときに絶対ストーリーが生まれるのでものすごくいいと思います。 「カモからの卒業! 鴨舞プロ、念願の初タイトル獲得!」って書かれるじゃないですか。 ひとつの基準では選ばれないような人でも、ピックアップするとめっちゃ面白かったりするんです。

7,この企画やご自分の個性、目標、プロとしてのジレンマなどなど、語りたいことがあればなんでも。

 企画をやってみて、自分の持つ強みや個性、それから方針といったものがかなりはっきり見えてきたのは良かったですね。私はどうやら「企画屋さん」が楽しいみたいです。自分ひとりが楽しい思いをするのではなく、みんなで盛り上がりたい、麻雀ファンのみなさんを楽しませたい、という気持ちがとにかく大きいです。自分も麻雀好きのひとりとして「こういう企画があったら楽しそうなのにな」ということを考え続けていきたいですし、「こんなのどう?」と提案されたら、じゃあ一緒にやりましょうってなりそうです。(笑)

最後に宣伝させてください。 2024年12月22日(日)まだ検討段階ではありますが【選ばれなかった女たち】による感謝祭イベント的なものを企画中です!(参加プロと箱だけ押さえてある状態ですw)ぜひ我々のXをフォローしていただき、続報をお待ちいただければと思います。


X情報
飯盛裕美子 https://x.com/yumiko_iimori
夏川夏未
https://x.com/natsukawa723
竹田有希 https://x.com/mj_tsukasa1228
森本夕楓 https://x.com/mrmt_yuka
李佳 https://x.com/lika_1115
木村瑠璃 https://x.com/m_jan0109
松島桃花 https://x.com/mmk_mahjong

お話を伺いながら、生まれ持った性質やサラリーマンとしての経験など、ご自身の中にあるものを無駄にしない貪欲さと、実際に企画を成立させて実行させる手腕、そしてこれを皮切りにまだまだ何かビジョンがあるのではないかという空気を強く感じた。
飯盛プロからも、そして、選ばれなかった女たちからも──さらに言うなら選ばれることのない星の数ほどの人々からも──目が離せない。


インタビュアー:田内志文
文筆業。翻訳や雑誌記事の執筆、短編小説の執筆を行う。最近の訳書『失われたものたちの本』(ジョン・コナリー作)は、宮﨑駿監督作品『君たちはどう生きるか』に影響を与えたことで話題に。他に『1984』(角川文庫)、『バリツ シャーロック・ホームズの護身術』(平凡社)などを刊行。スヌーカー選手として、2006年チーム世界選手権、2007年アジア選手権の日本代表。シーランド公国の男爵号を持つ。

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