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「Mリーグに戻りたい」石橋伸洋、再起への道1
文・東川亮
今シーズン、Mリーグには鈴木優・渋川難波・仲林圭の3名が新たに加わった。一方で、沢崎誠・朝倉康心・石橋伸洋の3名が、チームとの契約が満了となり、Mリーグの舞台から去ることとなった。沢崎は体調の問題、そして朝倉と石橋は選手入れ替え規定に基づくチームの決断によるもの。いずれも志半ばでの退場であり、複雑な思いを抱えていることは、想像に難くない。
Mリーガーでなくなった麻雀プロは、彼らを含めて全部で6名。しかしその中で、石橋には他の面々と決定的に違うところがある。
「Mリーグに戻りたい」という意思を、はっきりと示していることだ。
彼はMリーグでのレギュラーシーズンにおいて、4年トータルにおいて800以上のマイナスを記録している。今回の契約満了も、そうした成績が大きな理由となった。
Mリーグの舞台に舞い戻ることは、決して容易ではない。しかしもしもそれが成せたならば、彼のキャリアにおいてはもちろん、麻雀界にも、Mリーグにとっても、画期的な出来事となるだろう。
近代麻雀noteでは、Mリーガーでなくなった石橋の今後を追う。
■敗戦の夜は、一睡もできなかった
試合が終わりチームの敗退が決まった後、チームで焼肉に連れて行ってもらったんです。
それは勝っても負けても、という感じではあったんですけど、あんなにテンションが上がらない焼肉は生まれて初めてでした。
食事が終わって深夜に家へと帰ると、奥さん(塚田美紀プロ)が起きていたので、少し話しました。
でも何を話したか覚えてないんですよね。
試合を見返して寝ようと思ったんですけど、その日は一睡もできませんでした。
多分…自分が思うよりも、ずっと落ち込んでいたんだと思います。
次の日は麻雀大会のゲストの仕事が入っていました。
正直、みんなやりにくそうでした(笑)。もちろん大会ですし自分はゲストである以上、参加されるみなさんに楽しんでいただかないといけないので、「イジってください」みたいな感じではいったんですけど、キツかったですね。
それからしばらく経って、U-NEXTの会社に呼ばれ、契約満了を告げられました。いつかMリーグに戻ってきてほしい、という激励もいただきました。本当にありがたいことです。
■石橋伸洋の今
今、ですか・・・たまに麻雀大会やバーのゲストがありますけど、今は家庭の比重が大きいですね。子どもの保育園の送り迎えとか、よくしています。Mリーグが始まれば、元Mリーガーとして観戦記のようなものを書いたり、バーでちょっとしたPVみたいなことをしたり、みたいなことはやりたいと思っています。でも、それもそのときになってみないとなんとも言えないですね。
麻雀の勉強については、以前からやっている「ばかんすリーグ」という勉強会は継続しています。多井隆晴・村上淳・水巻渉・坂本大志といったすごいメンバーとMリーグルールで3半荘を打って、終わった直後に取ってもらった牌譜をスクリーンに映し出して牌譜検討をする、という形式で、僕にとってはすごくためになっていると思います。
■基本に忠実に打つ
自団体(最高位戦日本プロ麻雀協会)のA2リーグでは、今のところ首位につけています。
もちろんツイているところもあるんですけど、今は自分の中で「基本通りに打つ、トリッキーなことはしない」と決めていて、それがうまくいっている手応えはありますね。トリッキーと言っても、他の人からそう見えるだけで、自分としては特に変わったことをやっている自覚はないんですけど。
僕はもともとリスキーというか、分散が大きい選択をするのが好きなんです。Mリーグで言えば、高宮さんの大三元テンパイに対してペン3s待ちでリーチをかけたシーンなんかが分かりやすいと思います。
僕は3sが山にいると思っていて、仮に高宮さんが大三元だったとしても、アガリ牌は多くて2枚でしょ、トップを取るには自分がリーチしてアガるほうがいいでしょ、とポジティブに考えていました。ただあのときとかは、損得ではない感情が交じってしまっていたなと、振り返ってみて思います。好き嫌いとか好奇心で選択を決めるのは麻雀においてよくないことだとは分かっているものの、それでもついやってしまう、というか。
小林剛さんなんかは、あのリーチを「あり得ない」って言っていました。彼は損得の振れ幅をできるだけ小さくして、大きなリスクを取らずに安定してコツコツ勝っていこうとするタイプですから、余計あり得ないことなんでしょうね。
僕は元々そういうところがあったんですけど、今期のA2リーグでは自制できるようになった、無茶をしなくなったところはあります。それが今の成績に表れているのかな、とは思います。
■必要なのはとにかく結果
僕は、Mリーグで結果を出せなかった人間です。そして、Mリーグを見ていた方には、「石橋は面白いけど弱い」みたいなイメージを持たれていると思います。
もう一度Mリーガーになるためには、それを覆さないといけません。
必要なのは、とにかく結果。
「石橋は強い」と思われるためには、たくさんの実績を残すしかありません。
最短で結果を出せるとしたら・・・仲林さんが獲った「發王位」、あとはもし呼んでいただけるなら「最強位」でしょうね。A1リーグに昇級した上でそのビッグタイトル2つを獲れたなら、来年にドラフトが行われるのであれば、候補の1人には挙がるのではないかなと思います。
■僕には麻雀しかない
Mリーグでの4年間は、どちらかというと辛いことの方が多かったと思います。もちろん勝てばうれしいし楽しいし、チームの仲間やスタッフのみなさんはみんないい人たちだったんですけど、麻雀という意味でいえば、あんなにキツい麻雀はこれまで経験したことがありませんでした。プレッシャーもあって、楽しいとは全然思えなかったですね。
でも、結果が出たときの喜びや幸福感は、これまでに感じたことがないようなものだったんです。僕には麻雀しかないと思いますし、だからこそ僕はもう一度、Mリーガーになりたい。
難しいのは分かっています。
それでも今は、とにかく結果を残してアピールし続けていくしかないと思います。
まずは、目の前のリーグ戦ですね。相手は強いですけど、昇級のためのベストを尽くすのみです。
石橋伸洋8月20日最高位戦A2リーグ出場!A1に駆けあがれ!
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