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協会員ってすごいんですか?【須田良規】

<隣で話につきあって>

ここは吉祥寺にある、最高位戦の曽木さんがやっているBAR“びーたん”。
いつも麻雀放送を流しており、
普段は仕事や家のことで貧乏暇なしの自分だが、
時間のあるときはカウンターで一人飲みながら、曽木さんと麻雀を見ている。

今日はあなたが隣に座った麻雀好きということで、
まあまあ俺の話につきあってくれないか。

Mリーグのオフシーズンだけど、Mトーナメントというやつがいま行われていまして。
なんか協会選手の活躍が目覚ましいみたい。
俺も日本プロ麻雀協会にいるんだけどね。

6月7日(金)の堀慎吾は唯一といっていい400・700ルートで美しすぎる逆転。

6月10日(月)の松本吉弘は初戦4着で、2回戦目も南1の親番が落ちて絶望的な4万点以上の差を3局で捲り切ったのよ。


6月14日(金)の真田槐は協会A1最年少。雀竜位とヴェストワンカップを勝って、堂々の参戦、初戦通過。

同じ日の2試合目に出た渋川難波は、前年度の優勝者。

「なのになんでシードがないんですかねぇ・・・」

なんてぼやいてたけど(笑)、こちらも通過。

そうそう、渋川の面白い選択を聞いてよ。

<麻雀好きのマニアックな話>


南家の渋川が西家の水巻さんのリーチに追っかけで、ド終盤に掴んだ1p。
これカンしなかったのよね。

2回戦のトーナメントで、渋川は初戦がトップ。
東家の魚谷さんは3着で、西家の水巻さんはラスだった。

で、初戦トップ選手の通過率ってそのけんの計算によると96%とかあるのよ。
あ、そのけんのサイトのおかげでこの牌図もできてるんだけどね。すごいよね。

その初戦トップ者の数少ない敗退パターンで起こりやすいのが、初戦3着者の2戦目トップなのね。
このとき渋川と水巻さんの2軒リーチに、東家の魚谷さんが5mポンしてドラの2sも切って向かって来たわけ。もっかい見せるね。

渋川は、対水巻さんとの勝負は別にいいんだけど、魚谷さんをトップにするのは避けたいの。
で、1pはワンチャンスで別に安全牌じゃないからカンしたいんだけど、
現状自分からドラ2s2枚見えてて、赤も全部見えてるでしょう。
相手がそう高いとは限らないよね。

というわけでツモ切り。

魚谷さんは223mと手出しで回った感あるし、見えてないダブ東アンコとしても2p先切りしてて14p待ちはないでしょう。
たとえ1pが水巻さんに当たっても、現状そこまで高くない可能性もある。

これを渋川は「渋川スペシャル」と呼んで繰り出した技だったんだけど、
水巻さんに放銃。なんとドラ2sがアタマでマンガンになってしまった。

まあでもこれで魚谷さんにドラが増えてアガられるのもやだし、
流局して親続行されるのも困るんで。
そこまで悪くはないんだって。トップ目が水巻さんになるしね。

マンガン打っちゃったんだけど、渋川の思考は面白いと思う。

渋川って去年のMトーナメントも優勝、そんで協会でやってる同じルールのfuzzカップってのも優勝したのよ。
これやばすぎるからね。
渋川はここ最近の2回戦トーナメントで、負けたことがないってこと。
プロ同士の対局で、もう何連勝かわからない。
単純1/2をずーっと通過。
決勝は両方1/4、見事優勝よ。

そんなトーナメントの鬼の選択だから興味深いよねぇ。

話長いよね。ごめんごめん。
ついこういうの熱くなっちゃって。

え・・・?
協会員ってすごいんだねって?

うん──。
そうだねー、最近コメントなんかでもそう言われるのをよく見るよ。

でもね、すごいのは協会じゃなくて、彼らなんだよね。
だから協会員として一緒くたになって、良く思われるのは申し訳ないような気がするよ。

こっからは中年のしょーもない自分語りをするけど。

<俺の見てきた協会>

俺は大学4年くらいのときに麻雀に狂って競技麻雀の研究会にも参加してたのね。
そこで勝又さんや二階堂姉妹、和久津さんや瀬戸熊さんは顔見知りになった。

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