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近畿WEIN図鑑 #15 五十嵐 駿太さん

プロフィール
五十嵐 駿太(いがらし  しゅんた)
With The World代表取締役社長                    大学在学中は体育会硬式テニス部に所属し、学生時代は殆どテニスコートで過ごす。部活動引退後、放送していたTV番組で教育活動を行っていた日本人に感化され、話を伺いにフィリピンへ訪問。個人テニスコーチとして、ラケット約100本など必要な道具の寄付をSNSで募り、約120人の子どもたちにマナーなども交えながら指導。学校に行くことのできない子どもたちの覚えの良さや真面目な学習意欲が高いことを知る一方で、スラムの状況をあまり知らない地元の子どもたちが多くいることを知る。大学卒業後、大手人材会社に入社し、6つの新規事業立上げに参画。その後、株式会社With The Worldを創業。世界の現状を学びつつ、自国・地元の社会課題を見つめ直す機会を設けるため、世界各地の学校同士が場所・距離・宗教関係なく、1つの社会テーマについて議論し共に学び合うプラットフォームサービスを開発中<特許取得済>。現在は世界各地54カ国330校以上の繋がりを活かし日本と海外の教育機関(小・中・高・大学など)を繋いで授業を行っている。

-五十嵐さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、まず最初に自己紹介をお願いできますでしょうか。 

五十嵐駿太と申しまして、現在28歳で2018年4月に株式会社With The Worldを創業しました。創業する前は新卒で入社した大手人材会社で3年間働き、6つの新規事業立上げに参画させていただきました。

With The Worldの事業概要ですが、日本と海外の中学校や高校、大学などの教育機関をオンラインで繋いで、社会問題についてディスカッションするという授業を行っています。

また、オンラインを通じて仲良くなると実際に海外の友人に会いたくなるので、海外スタディツアーも企画しています。

最近では、CSRやSDGSの観点から、少しずつ企業様からご依頼をいただくことも増えてきています。

-五十嵐さんが、日本と海外の教育機関同士を繋ぎたいという風に思われたきっかけについて教えていただいてもよろしいでしょうか?

実はもともとこれをやりたいというものがなく、大企業に入って安定した家庭を築いていくことを夢にしていました。

大学時代、体育会系のテニス部に所属していて、自宅とテニスコートを往復する毎日だったのですが、ある時に撮りだめをしていた録画を見直していると、海外で教育支援をしている日本人の番組が多いことに気付き、これは何かあるのではないかと思い、海外で活躍している日本人の何人かにメールをさせていただきました。

そして、実際にフィリピンまでお会いしにいくことになり、その方のもとでテニスコーチをさせていただき、その時に自分自身、英語が分からなくてもジェスチャーで伝えるコツを掴むことができ、テニスコーチとして様々な国を周りながらスラム街の調査などをしていました。ちなみにその際に使用していたテニスラケットとテニスボールは全てSNSを通じて、寄付をいただいていました。

120人ぐらいのスラム街の子供たちと触れ合っていくのですが、みんな非常にポテンシャルが高くて、教えたら教えるだけどんどん吸収していくし、学びへのモチベーションが非常に高かったんですね。

そのときに、彼らが教育を受けることができたらどうゆう大人になっていくのだろうとポテンシャルを抱きつつ、一方で、学校に通うことができている子供たちに地元のスラム街の状況を聞いてみると、あまり分からないと回答する子供たちが多くて、、、当時の私は海外の子はみんな自国のことを知っているという固定概念があったんですね。

日本と一緒で海外の子供たちも意外と自国のこと知らないんだと思いながら、海外もまさに教育を受けている人がリーダーになっていくという風にレール化をされているので、将来リーダーを担っていく子供たちが自国の国や地域の課題を語ることができていないということに疑問を感じました。

この時は起業までのモチベーションには至らなかったのですが、社会人になってからも東南アジアに通っていて、タイの孤児院に辿り着いた時に人生を懸けてチャレンジしたいと思うようになりました。

1週間、孤児の子供たちと一緒に過ごしたのですが、帰り際に子供たちが手を合わせて涙を流しながら「駿太の夢が叶いますように」と祈ってくれたんです。

彼らにとっては、僕なんかすごい恵まれているし、彼らにとっては何でも叶えてこられた存在にも関わらず、自分のことよりも目の前の相手の幸せを心から真に祈ってくれている姿を見て、この子供のために人生を注いでいきたいと思いました。

どう稼ぐかは分からないけど、とにかくこのような子たちが世界にたくさんいるから、教育を通じてキャリア形成に貢献していくと心に誓いました。

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-大学時代にフィリピンに足を運ばれていたとのことですが、そのなかでなぜ大手人材会社に就職されたんですか? 

フィリピンに行ったのが部活を引退した4回生の10月で、実際に就活をしていたときには海外や教育ということに対して、そこまで興味があったというわけではありませんでした。

なので、就活しているときは成長欲が強くて、いつかは自分のやりたいことを自分でやってみたいという思いで就活をしていました。

そのなかで、ビジネスコンテストにチャレンジしたりしているなかでご縁をいただきました。

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-成長欲が強いという部分、こちらは子どもの頃からお持ちだったんですか?

成長欲に関してはスポーツに磨かれました。最初はサッカーを8年やっていて、中学でテニスを始めたのですが、成果がでてきたり、大会で優勝できるようになったりして、自分の中で努力は裏切らないという風に思うようになりました。

努力をすれば自分を高めることができると同時に、成果もついてくるということにすごいやりがいを感じていて、自然と成長欲が強くなっていったのかなと思います。

-スポーツをやっていて人生で役立っているとお感じになられていることがあれば、教えていただいてもよろしいでしょうか?

スポーツをやっていて非常に役立っているなと思うことは、先程の回答と重複してしまいますが、ちゃんと努力すれば成果に繋がるということです。

子供の時から、いつも練習が終わった後の居残り練習とか、週末にお父さんと一緒に練習したりとか、誰もみてないところで人一倍努力するのが大好きでした。

あとは、緻密さも意識していて、やるべきことはやり遂げるということを常に心がけていて、不足している部分については週末に勉強したり、成果をあげるために足りないところを補ったり、緻密さという部分も非常に役立っていると感じています。

-お話をお伺いしていて、五十嵐さんは子供の頃から非常にしっかりされていたという風に感じたのですが、どなたか尊敬されている方とかいらっしゃいますか?

父親のことをリスペクトしています。父親は社長とかではなく、街の電気屋さんなんですね。一般的な生活を日々過ごし、家族4人をしっかり守ってきてくれていて。

父親は小学校の時に両親を亡くしていて、姉が2人いて、生きるために生計を成り立たせることが精一杯で、高校もいってないのですが、そのなかでも今でも時間があれば勉強に励む父親の背中をみてきて、私のパーソナリティーに大きく影響を与えてくれたと思いますし、何より心からリスペクトしています。

-とても素敵なお父様なんですね!五十嵐さんは起業される際はリスクを感じませんでしたか?

いえ、1ヵ月間は死ぬほど悩みました。一番ネックだったことは固定給で、創業用に300万円貯金していたのですが、固定給がなくなることで貯金があっという間になくなるということが分かり、あとは会社の看板がなくなることによって1人でやっていかないといけないとハードルの高さもありました。

そんななか、関西学院高等部様だけが25歳の僕と一緒にやってもいいよって仰って下さり、その時に自分を信じてくれるお客様をまず裏切るわけにはいかないと思い会社を退職し、起業することを決意しました。

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-起業してみて最初の方はどんな感じでしたか?

1年間は非常に葛藤がありました。本当に報われるのかという不安が精神的にもきていて、周りに誰もいないので常に孤独を感じていました。

でも、絶対にやりきるぞと心に誓っていましたし、あとは緻密に目の前のお客様を120%幸せにしていれば必ず報われると信じていたので、とにかくガムシャラに走っていました。

-起業をしてから今までを振り返っていただいて、最も嬉しかったエピソードをひとつあげるとしたらなんですか?

1つ嬉しかったことは、起業するときは家族の大反対があってそれを振り切って起業したのですが、ある時に地域新聞にインタビューされて。そのインタビュー記事が偶然にも地元である千葉県市川市の全域にポストに投函されて、インタビュー記事をみた家族が自身のやっていることを具体的に知ってくれて、近所の方からも褒めていただけたことで、自分の挑戦を誇りに思ってくれるようになり、前向きに応援してくれることになったことがすごい嬉しかったです。

-今現在、起業や新しいことに挑戦しようとしながら、一歩踏み出すことに悩んでいる人に対して、五十嵐さんであればどんなお声をおかけになられますか?

僕として、経営をしているうえで一番大切にしていることが、エンジェル投資家の方から言っていただいた「目の前のお客様を大切にする」ということで、それを本当に貫いてきたからこそ今があるなと実感しています。

起業をするときって色んな人に否定されるんですね。サービスを通じてそのサービスを提供する人がめっちゃ幸せになってくれるものであれば、ファンは少なからず1人はつくと思うので、そこを信念にずっと続けていけば、それが自然と口コミとして広がっていくはずです。サービスを提供する人が120%幸せにすることができるのか、あとは続けていく覚悟があるのか、もしこの2つがYESであれば、挑戦してみる価値があるんじゃないかと思います。

-五十嵐さんにとって挑戦とはなんですか?

僕にとって挑戦なのですが、実現したい未来があって、そこまでいくのに20年、30年かかると考えていてその自分の成し遂げたい未来に向かって足を進めていくという状態が挑戦だと思っています。

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-五十嵐さんの実現したい未来について教えていただいてもよろしいでしょうか?

私が実現したい未来は、全世界の教育を受けたくても受けれない子供たちに教育の機会を届けることです。

当然、僕一人で実現していくことは難しいと思っているのですが、近くの学校に通っている子供たちが週末や放課後に村に足を運び、学校で学んだことを教えることができれば、実現可能なのではないかと思っています。

なので、僕たちは近くの子供たちからの教育だったり、教え、補い合うという文化をつくっていきたいと考えており、世界各地の学校にどんどんプログラムを導入していき、自分が暮らしている地域を見直す機会であったり、何かしら行動してみるきっかけを子供たちに提供していけるように事業をどんどん進めていきたいと思っています。

また、世界各地で活動しているNPO、NGOと一緒にオンラインツアーをつくっており、ノウハウや通訳など必要となるリソースを共有させていただきながらNPO、NGOの人たちが伝えたい思いを形にして、そのツアーの売上を通して現地を支援していければと考えております。自分たちでつくったツアーでしっかり寄付の先にそのお金がどのように使われているのか、ということを学んでもらえるような機会づくりも行っていきます。

-五十嵐さんにとってのWell-being(幸せ)を教えていただけますでしょうか?

子供たちの笑顔に接したときです。経営をしているとどうしても社員を守っていくために目先の売上に意識が向いてしまい、自分のミッションが薄れてしまう瞬間があるのですが、現地の子供たちの笑顔を思い返すことで改めてミッションを再認識することができます。50代、60代になったときに世界各地の村を転々としながら、子供たちと遊ぶことが僕の夢です。

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-最後に、WEINでこんな人と繋がりたいという方はいらっしゃいますでしょうか?

僕たちが実現したい未来を一緒につくりたいと思っていただいた方にはぜひお声がけいただけると嬉しいです。現在、4名の正社員がいるのですが、今まで転職サイトに求人を掲載したこともなく、もともと提案していたときに話を聞いてくれた英語の先生であったり、クラウドファンディングの記事をきっかけに広告代理店を辞めてジョインしてくれたメンバーであったり、本当に想いがあるメンバーばかりなので、ぜひご興味をお持ちいただいた方にはお声をかけていただきたいです。

あと、エンジニアも絶賛募集させていただいております。海外と交流することでデータがどんどん蓄積されていて、そのデータの活用方法について神戸大学と共同で研究を進めているのですが、まだまだアナログな状態なので、そのデータをしっかりアプリとかWEBに落とし込めていけたらと考えております。少しでもご興味のある方はぜひ一度、オープンにお話をさせて下さい。

以上

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ライター:大野 丈



          

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