第一回近畿APD講演会(講師:平野浩二先生)2019/12/1 30人参加

平野先生が別件で前日に大阪に来られるという事で、Facebook経由でお話を頂き、ご厚意に甘える形で実現しました。

当日は先生の本の出版元であるあさ出版さんの大阪営業所の方、また新聞社の記者さんも来てくださり、今後のAPDを社会に広めていく一歩にはなったのかな、と思う講演会です。

講演会の内容を講演、質疑応答の二回に分けてとりあえず出た話題を全部箇条書きで書きます。

●平野浩二先生の講演「APD(聴覚情報処理障害)とは何か?」

まず、APDの人は「たくさんいる」、そしてそれを「見てくれる所がない」のが現状。

先生の病院には北陸や東北からも、最も遠いケースはアメリカからの帰りに羽田に来たのでそのまま寄った、という人もおられたそう。

一度の診断におよそ30分ほどかかる為、今は毎週火曜日に亀戸の診療所で6-7人程度を診察。

〇先生がAPD診断を始めるまでの聴覚障害者への関り

高2の頃に手話サークルに入り、そこで聾者との関りが始まった。

研究者として「なぜ聞こえないか」を研究するよりも「今聞こえない」人にどうすることができるのか、に興味がある

先生の専門分野は元々難聴。

〇APDとの出会い

TwitterでAPDの話題が出たのが始まり、その後ネット記事でも取り上げられた

それまでも専門誌などで名前は出ていたが、一般的には広まっていなかった

先生の病院のブログにAPDについて書き始めると、患者さんが来院し始めた

一年でおよそ200人を診察、患者さんから寄せられる情報が非常に多い

昨年9月に専門のサイトを立ち上げ、その後患者の声に押される形で執筆開始。

〇具体的な症例

①騒音下で聞き取りが悪い

②複数の人から声をかけられると聞き取れない

③横や後ろからの声が聞き取れない

④電話、無線による会話が聞き取れない

⑤話が早口だと聞き取れない

⑥聴覚検査では異常がない

〇老人性難聴とAPD

老人性難聴は①‐⑤の特徴が出てくる、すなわち年を取ってからだとAPDか老人性難聴かの診断がつかなくなってくる。

〇APDの人はどうやって会話しているか

会話の中で聞き取れた単語、会話の部分をつなぎ合わせて推測して会話している

口の動きを見てさらに情報を補っている

つまりマスクをしている人相手では聞き取りがより困難になる。

〇APDは具体的にどこの部分に問題があるのか

内耳ではない、言語野に何らかの違いがあると思われるがまだはっきりとはしていない。

〇APDの人に向かない仕事

コールセンター

美容師→理容師とは別、美容師はお客様との会話の比率が高い為

建設現場

時間に追われる仕事

〇向いている仕事

同じ作業を繰り返す仕事

PCに向かう事務作業

執筆業

自分に合う仕事に就いている場合、転職をきっかけにAPDに気づくこともある。

〇APDの人が職場で抱える問題

何度も聞き返す

相手にだんだんとうるさがられる

自分で適当に判断するようになる

怒られる

周囲からの評価が下がる

自信を無くす

というスパイラル。

その為、周囲の人に理解してもらう事が重要。

〇本を執筆した理由

そもそもは患者の為もあるが、耳鼻科医への啓蒙のつもりも大きい

患者が知識を持って「APDだと思うので見て下さい」というなら、耳鼻科医側もAPDについて調べる必要性が出てくる為。


〇APDが今抱える問題点

診断できる耳鼻科医がいない

でも患者は多い

自覚していない人も多い

完治しない

改善も難しい

発達障害が半数に合併している、発達ボーダーの人も多い。

発達障害から問題が発生していることもある。

〇発達障害とは

APDを考える上で、発達障害も切り離せない

発達障害は発達のアンバランスさの問題

特に日本は教育で「平均的」な能力を求めすぎる

できる所を伸ばす事にもっと注力するほうが、発達障害にはいい

〇当事者会の役割

APDに関しては、医者から指導できることは少ない

むしろ全国に当事者会を広めて、ピアカウンセリングとしてAPDがAPDを支える取り組みが必要

各県に一つぐらいできてほしい。

全国組織があるとなおよい


ここまでが講演の内容です。

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