見出し画像

APDの方が、ノイズキャンセリング機器を選ぶときに考えるポイント

APD(聴覚情報処理障害)の疑いがある方、また診断が出た方がその聞こえの状況を改善するために出来る事は色々とあります。
まず第一に行うべきは、「環境調整」で、つまりは周囲に自分の聞き取りの困難さを理解してもらい、話し方や話す場所、話すスピードや環境への配慮によって状況を改善する事です。

ですが、実際問題としてそれだけではまだ日常生活の中で聞き取りの困難さを感じる方が往々にしておられます。

そのような場合に「ノイズキャンセリング機能(以下NC)のあるイヤホン/ヘッドホン、或いはデジタル耳栓」
を試してみる方が多くおられます。
ただ、どのような機能があるのか、何ができてできないのか、他の方がどんなものを使っているのか、よくわからず悩む方も多いようなので
あくまで私見ですがAPDの方がNCを試してみたい場合に知っておきたいポイントを書いてみます。

①NC機器で何ができるか、できないか
NCは原理として、所謂周囲のノイズ(雑音)に対して逆位相の音を発する事で耳から入る周辺のノイズを小さくする機能です、ノイズが減る事でS/N比(スピーチとノイズの比率)が改善するので会話が聞き取りやすくなると考えられます。
ただ、これは音を大きくするわけではありません、また例えば電車の振動音のように体を通して内耳に届くようなノイズには効果がありません。
そもそもの聴力が落ちていて、音声も増幅しないときちんと聞き取れない場合はNC機器ではなく補聴器の出番になります。

②NCイヤホン/ヘッドホンとデジタル耳栓は何が違う?
端的に言えばデジタル耳栓はNC機能「だけ」を持たせた「ハイテク耳栓」です、音楽の再生などはできませんがその分価格が抑えられます。(数千円から一万円弱)
NCイヤホン/ヘッドホンは様々な機能やバリエーションがあり、音楽再生のみならず電話応対ができるもの、つけたままでも外音取り込み機能によって他の人と会話する際に自然に声を耳元に届けてくれる機能もあります。
その分高機能のものは価格が高く、三万円以上するようなものもごろごろあります。

⓷聴覚過敏の人にも有効?
これは人にもよります、私個人がお聞きした範囲でも
「聞き取りが楽になった」という方もおられれば
「NC機能の音が気になって使えなかった」という方もおられます。
ただ、この面ではヘッドホンをイヤーマフがわりに使う方もおられるので(外音取り込み機能があればつけたまま会話もできる)、選択肢の一つとしてはありうるかもしれません。

④他にどんな機器と連携できる可能性がある?
スマホでの通話などは言うまでもありませんが
「外部入力」に対応している機種であれば、有線でつなぐ事でフォナック社のロジャーシステム(具体的にはネックループマイリンク)と接続できる可能性があります。
ただしこれはメーカーが元々想定している使い方ではなく、「技術的には可能」という話ですので動作保証対象外です。
ロジャーシステムをレンタルして試してみないとはっきりとは分かりません。
ただ、これが上手く動けば、様々なシーンでの活用が可能です。
ロジャーには様々なタイプのマイク(親機)が用意されており、学校や会議、カウンター業務のような場面でも活用できる可能性があります。
このような活用法は日本で現在フォナックさんも試行錯誤しておられるようです。

⑤他の人は例えばどんな機種使ってるの?
以前に使用機種のアンケートを取ってみたことがあります、短時間だったので回答数は限られていましたが(12件)
その中で挙げられていたものを使用者の方の感想と共に価格順に取り上げてみます。

・EarFun Air Pro (8000円)
ワイヤレスNCイヤホン、外音取り込みモードあり。

・ag WHP01 (9000円)
ワイヤレスNCヘッドホン、外部入力対応

・Soundcore Liberty Air 2 Pro (13000円)
ワイヤレスNCイヤホン、NCモード、外音取り込み、その他使用シーンに応じたカスタム設定が用意されていてアプリでの操作が可能。
周囲の音は完全に遮られるわけではない。

・CLUB950nc (17000円)
ワイヤレスNCヘッドホン、NC機能、外音取り込み、外部入力対応

・QuietComfort Earbuds (25000円)
ワイヤレスNCイヤホン、NC強度の調整が可能、

・wf-1000xm4/WI-1000X(28000円/25000円)
XM4がワイヤレスNCイヤホン、X4がワイヤレスNCヘッドホンです
NC機能、外音取り込み、NC/外音取り込みのレベル調整が可能、WI-1000は外部入力対応

・AirPods Pro (3万円)
ワイヤレスNCイヤホン、NC機能はもとより音声のブースト機能、外音取り込み機能等簡易的な補聴器に近づくような機能が搭載されています。
iPhone等での調整もできます。
------------------------------------------------
自分なりにまとめてみた感想としては
「まずNC機能を試してみたいだけなら、最も廉価なデジタル耳栓のMM1000(4000円),
・自分の使うシーンによってヘッドホンがいいのかイヤホンがいいのか、フルワイヤレスの左右分離したものがいいのかを決定。
・頻繁に周囲の状況が変わる環境で使うならNC強度が変えられる物も選択肢に
・外音取り込み機能が必要か、付けたまま人との会話が発生するか
・有線での外部入力は必要か、ロジャーのような外部マイクとの連携もありうるか
・音楽も聴きたいか、音質にもこだわりたいか
・バッテリーの持ちは長時間必要か」
と言ったあたりを決められれば、ある程度適切な機種が搾りきれる気がしています。
当然、高音質多機能でどんな状況にも対応できるものはかなり高価にはなりますが、そのへんはお財布と相談で。

この記事に関してはお気軽にコメントでも情報や他のお使いの機種の感想なども教えて頂けると有難いです。

この記事はあくまで個人的に見聞きした情報、集めた情報に基づいています。
使用する事でAPDの方が確実に聞き取りが改善すると保証するものではありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?