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【記憶の断片小説。】 みどり
今年第一号の台風がやってきて、温帯低気圧に変わるとなだれ込むように梅雨がやってきた。
今月はまだ青空をみてないなと思いながら、僕は自宅のソファに座り深夜番組のバラエティを観ている。
どんよりとした灰色の空、重く湿った空気、屋内では荷物になってしまう手を塞ぐ傘、部屋干しで篭った匂いのする洗濯物、湿気のおかげで時折おこる頭痛、どれをとっても気が滅入るような物事が充分すぎる程この時期にはある。
【記憶の断片小説。】 あお
行く手を阻むかのように風に靡く、さとうきび畑の迷路を走る。
助手席に座るおばぁは道案内などはしてくれない。
いや、してくれないんじゃなくて出来ない。
さっきから車の揺れに合わせてこっくりこっくり居眠りをしているからだ。
5年降りに帰省した南の島で、僕はおばぁと2人で島の観光に出ていた。
最初は、島一番でかい大橋へ。
「この島も大分かわったさぁ。」
そう言う彼女だか、どこが変わったん