【読書】2020年6月に読んだ本まとめ
こんにちは!
今回は、先月一ヶ月間に読んだ本について記事を書きたいと思います。この一ヶ月で読んだ本まとめは、本を読むだけで満足したり、冊数を読むことに傾斜しないためにも定期的にやっている試みです。それでは、早速みていきましょう!
読んだ本まとめ
一ヶ月に読んだ本は以下の通り。
総評
一ヶ月で読んだ本は38冊。その内訳は以下の通り。
- 小説・エッセイ → 3冊:国内2冊、海外(翻訳)1冊
- その他→ 35冊
6月の読書冊数は38冊。5月は36冊だったので、先月に引き続き読んだ冊数としては微増です。ただ、全体的に一冊一冊が薄めの本が多かった印象なので、読書量自体としてはほぼ変わらずと考えて良い気はします。
時間の使い方についても、先月とほぼ同様の傾向ですね。読書にかける時間は一時期に比べるとやや落ちてますが、それでも最低限の時間は確保できており、その分の時間をパソコンやDIY等の他の趣味に使っている感じです。読んでいる本の内容としても、思索・思考よりは知識・行動に重きを置いている時期かなぁとは思っています。あまり即物的なところに長く集中しすぎるのも問題ですが、こういう時期がある事自体はそう悪いことではないでしょう。
今月のマイベスト小説&ビジネス書
毎月恒例となっていますが、その月で最も印象に残った小説・ビジネス書を紹介します。
小説部門
先月のマイベスト小説は、アメリカのSF作家フィリップ・K・ディックのSF短編集「トータル・リコール」です。6月に読んだもう一つの小説「PSYCHO-PASS」も非常に良かったのですが、結構悩んだ結果、こちらの「トータル・リコール」を選ぶことにしました。
フィリップ・K・ディックはSF作家としてはかなり有名な人物で、おそらく映画「ブレード・ランナー」の原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」は知っている方も多いと思います。今回選ばせていただいた「トータル・リコール」についても、映画版は見たことがあるという方も少なくないでしょう。
僕個人としても割と好きなSF作家の一人です。これを書いている今現在、家にあるディックの小説を数えてみたら(「トータル・リコール」を含めて)12冊もあったので、なんだかんだでかなり読んでいることになりますね。一番好きな作家かというとそうでもないですが、もしかしたら一番多く作品を読んでいるSF作家なのかも知れません。
この短編集の特徴としては、全体的にブラックな雰囲気を漂わせつつも、ユーモアがあって読みやすい作品が多いという印象を受けました。(わかる人にしかわからない表現だとは思いますが)方向性としては「ユービック」に近い作品が多いイメージですね。表題作である「トータル・リコール」に加え、同じく映画化している「マイノリティ・リポート」も収録されていますし、ディック作品にありがちな回りくどさがないので、ディックの入門書としても割とオススメしやすいです(最も有名な「アンドロイドは…」は結構クセが強いので)。
長くなるので個別の作品についてのあらすじや感想は割愛しますが、個人的に気に入ったのは核戦争後の世界を描く「訪問者」や、監視社会への想像力「フード・メーカー」の二作でした。どちらもSFにおける世界設定としてはよくあるものですが(とはいえ、1950年代に書かれたこと考えれば十分斬新ですが)、ありきたりな形では終わらないあたりはさすがのディックと言ったところ。その想像力の凄まじさを痛感します。
あとこれは余談ですが、この短編集を読んでいて、先程少し話に出てきた「PSYCHO-PASS」がディックの影響を非常に強く受けていると感じました。そもそも作中でディックについての言及があることからもその影響は明らかではありますが、「マイノリティ・リポート」で描かれる潜在犯罪者が事前拘束される世界は「PSYCHO-PASS」の世界そのものですし、「フード・メーカー」に出てくる精神スキャンを無効化する「フード」はヘルメットのアイデアに転用されているように思います。
特に後者は、見込みのある人物に「フード」を送りつける黒幕的人物がいるとか、「フード」をかぶっていることがバレた人が市民にリンチされるなど、その共通項はかなり多いと思います。どちらも有名な作品なので、これまでにも散々指摘されていたことだとは思いますが、こういう発見ができるのもまた読書の面白さかなぁと思います。
先に書いたとおり、ディックの入門書・海外SFの入門書としてかなりオススメの一冊です。訳も新しくて読みやすいですし、いい意味で「わかりやすい」面白さを感じられる作品が多いので、興味のあるかたはぜひ読んでみて下さい! 短編集なので、少しづつ読めますしね。
ビジネス書部門
今月のマイベストビジネス書はphpサイエンスワールド新書の「粘菌 その驚くべき知性」という本です。ここ最近は本屋にほとんど行っていないということもあって、今回もKindle Unlimitedで読んだ本からの選出です。まあ、いつもの通りこれは読んだ直後に購入したんですけどねw
ちょっと前からphpサイエンスワールド新書の本が大量にKindle Unlimitedで配信されており、その流れで購読した一冊となります。このレーベルは、少しとっつきづらい科学や数学についての知識をわかりやすく解説している本が多く、わりとはずれが少ない印象があります。最近は、その日読む本に悩んだら「NHK出版新書」かこのレーベルをKindle Unlimitedで検索して読むようにしています。
それでこの本はどのような内容かというと、粘菌という単細胞生物の生態を通して「知性」について考察するというものです。個人的にはあとがきで筆者が述べている『単細胞の知性の研究は、「私って何?」という素朴な疑問を出発点にして、進化の道筋をどんどん遡って、その源流をたどってみよう、という探検です。この本は、その探検記です。』という文章がとても気に入りました。
まずは、下記の写真を見てみてください(こちらはこの本からの引用になります)。
この写真は、迷路に配置された粘菌が、時間とともにどのような挙動を示すのかを表したものです。着目すべきは、迷路全体に散らばっている粘菌が、時間がたつにつれて2つのエサの間を結ぶ最短ルートを形成しているという点です。要するに、単細胞生物でしかない粘菌が、迷路を解くという「知的」な振る舞いを見せているのです。
当たり前ですが、単細胞である粘菌は動物に見られるような「脳」という「知的な」活動をする器官は有してはいません。単にそれぞれの単細胞が、遺伝子によって定められた何らかのルールに則って反応を示しているだけにすぎませんが、その集積が「迷路を解く」という知的な活動に繋がっているというのは驚きの一言です。
これが何を意味しているかと言うと、「脳」という中央集権的・司令塔的存在がなくても「知性」は生まれうると言う事実です。一般的には、知性の源泉は「脳」にあると考えられているわけですが、このような粘菌の挙動から示唆されるのは、必ずしも「知性」は「脳」に宿るのではないのではないかということです。もっと言ってしまえば、「知的」だと考えられている我々人間ですらも、実は粘菌と大した違いはないのではないか、そんな風にも思えてしまいます。
この本では迷路の実験以外にも粘菌に関する面白い実験がたくさん紹介されていますし、「認知」や「知性」、そして「意識」にまで及ぶ論説はとても読み応えがあります。粘菌というニッチなテーマからはじまって「知性」という普遍的なテーマに至る過程も非常に刺激的で読みながら終始テンションが上がりっぱなしでした!
予想の外側に出づらい今日この頃
6月の読書傾向は、5月のときからほぼ変わりはないですね。興味のあるプログラミング系の本を読んでみたり、すでに述べたように「NHK出版新書」や「phpサイエンスワールド新書」あたりから読んだり、あとは主催している読書会で紹介してもらった本を読んだりと言った感じです。
Unlimitedは興味のある分野に手軽にアクセス出来ることや、実際の本屋に行かなくても読む本に困らないという利点はあるのですが、どうしても読むジャンルが偏ってしまうのが難しいところです。数が多いぶん質の良くない本も多いので、ある程度質が期待できる筆者やレーベルの本ばかりになってしまいますね。もちろんそういった本を読むと楽しめることが多いのですが、それだと予想外の発見みたいなものが出にくいの難点です。
僕は読書の面白さは、必ずしも知りたい知識を得るという側面だけにあるのではなく、意外な発見や予想外のことを知ることにもあると思っているので、意外性が出しにくい状況というのはちょっと物足りない気がしてしまいます。これまではブックオフがその役割を果たしてくれていたのですが、やはりコロナ以前ほどは頻繁に行けるわけではないので、その影響がかなり大きい感じです。
同じような本ばかり読んでいると、おもしろい発想や発見も出づらいので、ブックオフなしでもマンネリ化することなく本を見つけられる仕組みが必要ですね。そういう意味で、自分がいま主催している読書会はかなりいい感じで機能している仕組みの一つですが、自分一人でも新しい本を探せるようなやり方を考えるのが今後の課題です。
ちなみに、6月にやっていた試みとしては、ちょっと前に流行ったベストセラーの新書を楽天のブックオフオンラインで探すという方法です。まあ、これはブックオフオンラインの送料無料ライン(3000円)に届かせるためという意味合いが強いんですけどねw ちょっと前に流行った新書はブックオフオンラインでかなり安く手に入るのでちょうど良いかなと思ったのですが、実際にやってみた感想は正直微妙です。
もちろん、ベストセラーになった新書にも良い本はたくさんあるのですが(養老孟司さんの「バカの壁」とか)、個人的にはちょっと物足りないなぁと思ってしまう本が多かったですね。どういう本が世の中で人気なのかを考えるという「メタ的な」読み方をすることで楽しめる側面もあるのですが、少なくとも今後このやり方をするつもりはないです。。。
まあ、そのあたりも実際にやってみないとわからないことなので、失敗もまた一つの経験ということで、あまり気にせずこれからも色々試していきましょう!
まとめ
今回は6月に読んだ本のことについてまとめてました。なんだかんだ、こうして振り返る機会を設けることで考えさせられることも多いので、これからも毎月継続していくつもりです。
それでは、また!
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