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【読書】2020年4月に読んだ本まとめ

こんにちは!
今回は、先月一ヶ月間に読んだ本について記事を書きたいと思います。この一ヶ月で読んだ本まとめは、本を読むだけで満足したり、冊数を読むことに傾斜しないためにも定期的にやっている試みです。 これまでは「はてなブログ」の方に書いていた内容ですが、比較的軽めの内容だということもあり、この「一月に読んだ本まとめ」もnoteに移転したいと思います。

過去の記事は「はてなブログ」に残しているので、興味のある方はこちらからご覧ください。

https://kinjikamizaki.hatenablog.com/archive/category/読んだ本まとめ

読んだ本まとめ

一ヶ月に読んだ本は以下の通り。

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総評

一ヶ月で読んだ本は34冊。その内訳は以下の通り。

- 小説・エッセイ → 4冊:国内1冊、海外(翻訳)3冊
- その他→ 30冊

4月の読書冊数は34冊。3月は44冊だったので、読んだ冊数としては10冊減ですね。外出自粛の件で読書量が増えるかと思いきやそんなことはなく、むしろ大幅に減っているのが現実です(笑)。4月からは本格的に在宅勤務となり、読書時間となっていた通勤電車がなくなった影響は確実にあると思います。

あとは、読書以外に興味が出てきたもの色々とあったことも影響していますね。というより、電車よりそちらの影響の方が大きいかもしれません。実は先日書いた本の自炊の話にもちょっと繋がっているのですが、それについてはおいおいnoteに書いていくつもりです。いずれにしてもそれ自体は特に悪いことだと思っていませんし、たくさん本を読むことが目的ではないのでこれはこれでありだとは思っています。

 読んだ本が激減したとはいえ、それでも一日一冊が守れているのは、やはり習慣の力が大きいと思います。もう2年くらいは一日一冊を続けているので、在宅だろうが休日だろうが午前中の1時間は読書に費やすことは完全に一つの習慣になっています。多少他のことに興味が移っても、一定数の本は確実に読めるというのは大事なことだなぁとつくづく思います。やはり、ポイントは熱があるうちにいかに習慣化ができるか、ですね。ただ、ちょっと小説が少なめなので、もう少し意識的に時間を作りたいところです(これは何度も言っている気がしますが…)。


今月のマイベスト小説&ビジネス書

毎月恒例となっていますが、その月で最も印象に残った小説・ビジネス書を紹介します。

小説部門

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先月マイベスト小説は日本の近代作家・安部公房のSF小説「第四間氷期」。人工知能のような「予言機械」や個体として経験することができない未来をどう捉えるか?など、非常に哲学的な問いに切り込んだ一作です。

僕がこれを読んだ時に一番の驚きだったのは、なんといってもこれが書かれたのが1950年代だということ。今でこそ未来を予測する人工知能というのは当たり前に語られていますが、まだインターネットの萌芽すらほとんどなかった時代に、想像力だけでそれを描いていたことは特筆に値すると思います。また、後半の展開は現代の目から見ても十分斬新なストーリーで、安部公房の卓越した想像力には驚かされるばかりです。

この作品の主人公は、「予言機械」の開発をしている技術者。その「予言機械」の性能を試すために同僚の技術者と実験を画策するところから物語が始まるわけですが、その過程で殺人事件に巻き込まれたり、妻の不可解な誘拐事件があったりとものすごい勢いで物語は展開していきます。技術者として「予言機械」を作るという主人公にとっては身近な話から、最終的には人類の未来までも見通すという非常に壮大でダイナミックな物語と言っていいでしょう。全体的に少し急展開が多い印象はありましたが、それも含めてスリリングで楽しい一冊でした。

筆者本人が文庫版の解説に書いているとおり、本作の主要なテーマは人間にとっての「未来」の意味です。未来は決定論的に予想することができるのか?、個体としては経験することができない「未来」を自分の中でどのように捉えるのか?そんな深いテーマが提示されているように感じました。これは、「歴史は人類の進歩」として捉える共産主義に対する姿勢を問うているようでもあり、戦後という時代にあって、自分たちの子どもたちがアメリカナイズされた自由主義に染まっていくことへの不安を表したものであるようにも思えます。

特徴的なのは、その「未来」というものを安部公房が否定するでも肯定するでもなく、淡々と描き切っていることです。この手の物語だと、異質な世界を安易にディストピアに仕立てて、今の時代を肯定・擁護するような書き方をしたり、逆に華々しいユートピア未来を描く方向に行きがちですが、そこであえて評価・価値観を保留するあたりが安部公房だな、という気がしました。

僕がこの本を読んでいて特に印象的だったのは下記の部分です。少し引用が長くなりますが、ぜひ読んでいただければと。

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「ちがうさ、大事なのは事実だ!」私の声は乾いて、かすれていた。「予言は、お伽話なんかじゃない。事実…あくまでも事実から出発した、論理的帰結なんだ! なんだってそんなつまらんことを…まったく、おはなしにもなりゃしない…」

「そうかしら? …事実だけで、機械が反応したりできるかしら?…必要なのは、やはりその事実を、問いの形に変えてやることじゃないのかしら?」

「沢山だよ、哲学は…断っておくが、私は、単なる技術屋だからね」

「そうなんです。だから先生のテーマの選び方は、いつも型にはまっていて…」

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いかがでしょうか? 50年以上も前に書かれたとは思えないほど、今の現状を鋭く批評しているようにも思えてしまいます。これは別に誰を責めつもりもないのですが(あえて言うなら過去の自分でしょうか)、「問いを立てる力」の軽視こそが今の行き詰まりの原因なのではないか、そんな風にも読めてしまいます。

もちろん、論理自体は非常に重要なものであり、人間同士が理解し合うためにはなくてはならないものですが、すでにある枠組み・フレームの中で論理を積み重ねているだけでは新しいものを生み出すのは難しい。だからこそ、異質なものを結びつける「問い」を立てる力が必要であると。完全なる深読みかもしれませんが、僕は上記の文章を読んでいてそんなことを感じてしまいました。

まあ、そんな深読みは傍においても、ジェットコースターのような激しい展開は読み応え抜群です。気になる方はぜひ、読んでみてください。


ビジネス書部門

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今月のマイベストビジネス書は小笠原治さんという方の新書「メイカーズ進化論」です。この本は、クリス・アンダーソンという方が書いた「Makers」という次世代のものづくりの本をベースに、それを日本の文脈も含めて紹介する新書です。まあ、とにかく読んでいてテンションが爆上がりするタイプの本でしたね(笑) 僕自身は工学系出身のエンジニア職をしているのですが、やはり自分は「ものづくり」が好きなのだなぁと改めて感じてしまいました(ちなみに、原典の「Makers」の方も5月頭にすでに読了済みで、そちらも非常に楽しく読めました)。

この本を書いた小笠原さんという方は、長くテクノロジー系のスタートアップに携わってきた投資家・起業家の方らしく、この本は小笠原さんが関わっている「DMM.make」というものづくり系のプラットフォーム(?)に対するマニフェスト・思想紹介の本だと言えるのかもしれません。やはり、テクノロジーとともに仕事をしてきた人ということもあって、平易な言葉にもかかわらず、かと言って流行りのバズワードを使った軽薄な文章というというわけでは全くなく、しっかりしたヴィジョンがある方なのだなという印象です。なんというか、流行りものについての文章だとその思想的背景や歴史・文脈や実際のものを知っているかどうかがはっきり分かれるなと感じます。

この本で紹介しているのは、IOTをはじめとする昨今の「ものづくり」の潮流についてです。「デジタル・ファブリケーション」という言葉を知っている方であれば、そのイメージで考えていただけるといいと思います。その本質は、「モノが作れる」技術の進歩と、「モノが売れる」という環境の変化という両輪によって「ものづくり」の民主化が進んだということ。

『「ものづくり」の民主化』という言葉は、かつてとは比べものにならないほど、ものづくりのハードルが下がってきたと言い換えてもいいかもしれません。ブログやSNSの登場によって、『「情報」の民主化』(誰でも情報を発信できる)が進んだのと同じように、「ものづくり」の領域においても同じような流れができているというわけです(「Makers」ではこの潮流を「ビットからアトムへ」と呼んでいます)。

この本で特徴的なのは、どちらかというと「モノが売れる」環境の変化を強調していることです。「ものづくり」の潮流の変化というと、一見してわかりやす「3Dプリンター」などの製造技術の方に目が行きがちですが、この方はそれと同じくらい、誰もが「モノが売れる」環境が整ってきたことが重要であると述べています(もちろん、製造技術の進歩自体の重要性を否定するものではありません)。

具体的にいうと、「クラウドファンディング」によって個人や小規模な組織が出資を募る環境が整備されてきたり、SNSや動画サービスによって宣伝広告を打ったりできるようになったことなどですね。これによって、大きな資本力がなくても新たな製品の開発・製造・販売ができるようになったこと、それが現代の「ものづくり」の潮流の源泉になっているという指摘です。

まあ、そんな感じで昨今の「ものづくり」の流れについて描いた本なわけですが、とにかく読んでいて楽しかったです。まだまだ新しいものを作る余地は沢山ある、と言うワクワク感とでも言えるのかも知れません。未知のものを作ることによって新たな価値を生み出すことの面白さ、そんな自分の根源的な欲求を再認識させられた一冊でした。


外出自粛の影響

先月に読んだ本を振り返ってみて思うのは、やはり外出自粛の影響は出ているなということです。冊数への影響もあるのですが、一番大きいのはブックオフにいけなくなったことですね。改めて読んだ本を振り返ってみて思いましたが、読んだ本のほとんどが「読書会でおススメしてもらった本」か「今まで読んだ本の参考文献・推薦本」だということです。あとは、Kinlde Unlimitedの中からなんとなく気になる本って感じですね。

なにが言いたいかというと、「タイトル買い」のような偶然の発見がかなり減っていることです。僕はブックオフの100~200円棚が結構好きで、あのジャンクのような本の中から面白い本が見つかった時の感覚はなんとも言えないモノがあるのですが(笑)、その余地がほとんどなくなってしまっていることが残念です。もちろん、読書会で聞いた本は自分のアンテナの外側が多いので、それはそれで非常に貴重なのですが、自分自身でそういう(ささやかな)冒険ができなくなるというのはなんともって感じです。

僕がいろんなジャンルの本を乱読している理由も、なるべく広い範囲の物事・考え方に触れたいという欲求にあるので、なんらかの代替策は考えていきたいですね。上記の「第四間氷期」の話ではないですが、既知の考え方の組み合わせから立てられる「問い」はどうしても限られてしまうので、色々な分野・ジャンルの本から様々な切り口を学んでいきたいところです。


まとめ

今回は4月に読んだ本のことについてまとめてました。なんだかんだ、こうして振り返る機会を設けることで考えさせられることも多いので、これからも毎月継続していくつもりです。

それでは、また!

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