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【読書】2020年8月に読んだ本まとめ

こんにちは!

今回は、先月一ヶ月間に読んだ本について記事を書きたいと思います。この一ヶ月で読んだ本まとめは、本を読むだけで満足したり、冊数を読むことに傾斜しないためにも定期的にやっている試みです。それでは、早速みていきましょう!


読んだ本まとめ

一ヶ月に読んだ本は以下の通り。

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総評

一ヶ月で読んだ本は37冊。その内訳は以下の通り。

- 小説・エッセイ → 4冊:国内3冊、海外(翻訳)1冊
- その他→ 33冊

8月の読書冊数は37冊。7月は35冊だったので、読んだ本の冊数としてはやや増です。夏季休暇中はパソコンをいじっていたりする時間が長かったので減る方向にいくかなぁと思っていたのですが、意外と増加傾向でしたね。

あとは、8月から僕が開催している読書会の回数を月に2回に増やしたこともあり、そこで聞いた本の割合が増えているというのがありますね。単純に、月に1回だけだとベスト本として紹介いただく本は最大で4冊ですが、月に2回になるとこれが最大8冊に増えます。一人で本を選んでいるとどうしても傾向が偏ってくるので、自分の読書傾向にこれぐらいの数の乱数を入れると、だいぶ読書の幅は広がってくるなと思います。


今月のマイベスト小説&ビジネス書

毎月恒例となっていますが、その月で最も印象に残った小説・ビジネス書を紹介します。

小説部門

これはペンです

先月のマイベスト小説は、円城塔さんの「これはペンです」です。円城塔さんは割と有名な現代作家だと思うので、知っている方も多いかも知れませんが、主に「SF」と「純文学」のジャンルで活躍している作家です。純文学作品の中編「道化師の蝶」で芥川賞を受賞したり、SF作品である「Self Reference Engine」でフィリップ・K・ディック特別賞という海外の賞を受賞したりと、珍しい組み合わせの分野で活躍されている方だったりします。

これは余談ですが、日本人ではじめてフィリップ・K・ディック特別賞を受賞したのが円城塔の3年前の伊藤計劃(作品は「ハーモニー」)なのは有名な話で、なにかと伊藤計劃と並べて紹介されることの多い作家ですね。ウィリアム・ギプソンとブルース・スターリングの共作である「Difference Engine」の日本語訳版の解説をこのコンビで書いていたり、お互いにこの「Difference Engine」のタイトルをもじった作品「Self Reference Engine(円城塔)」と「Indifference Engine(伊藤計劃)」を書いていたり、更には伊藤計劃のプロットを元に円城塔が書き上げた作品「屍者の帝国」の構成が「Difference Engine」のオマージュだったりと、なにかとアツい関係だったりするんですが、まあそれは置いておきましょうw

この「これはペンです」はSFではなく純文学寄りの作品ですね。結構SF的な要素もなくはないので難しいところですが、一般的には純文学の類に入るのでしょう。まあ、個人的にはSFを本当の意味で突き詰めていけば文学的な問いに帰っていくと思っていますし、そういう作品を書いてくれるSF作家(伊藤計劃、グレッグ・イーガン、テッド・チャンとか)が好きなのですが、なかなか今の日本人でそういうのを書いてくれる人が少ないのが残念です。そういう意味で言うと、村田沙耶香さんなんかは純文学からSFに足を伸ばす方向で面白い作品(殺人出産とか消滅世界とか)書いていたりするので、むしろそっちの方向の方が期待できるのかも知れません。

また話が逸れましたw 本題の「これはペンです」ですが、内容としてはとある叔父と姪との往復書簡というかたちで綴られる作品です。物語としてのプロットははっきり言ってないに等しく、ひたすら「メッセージとは何か?」「書くこととは何か?」を問うような難解なやりとりが繰り返されるという非常に解説がしづらい一冊ですw まあ、円城塔さんの文学作品はだいたいこんな感じですがw

なので、なにが面白いかときかれても、なかなかうまく答えることができませんw かなり人を選ぶのは間違いないとは思いますが、少なくとも僕個人としては読んでいて非常に楽しい経験ができたと思っています(しかし、それがなぜかと聞かれても難しいw)。難解な話をしているようでありつつも、実はナンセンスに意味有りげな言葉をつなげているだけではないかという気もしてきて、そういう意味でも紹介するのがなかなか難しい作品ですね。

まあ、ある意味でこの説明のできなさが円城塔さんの作品の魅力だとも思うので、興味を持たれた方はぜひご自身で読んでみて下さい! 面白いと思うかどうかは人次第だと思いますが、他の本ではなかなか味わえない経験ができるのは間違いありません!


ビジネス書部門

ヒトの目、驚異の進化

今月のマイベストビジネス書はマーク・チャンギージーという方の「ヒトの目、驚異の進化」という本です。奇しくも、この本の帯を書いているのが「これはペンです」の円城塔さんだったりしますw。

この本のおおまかな内容は人間の「目」を進化論的に考察するというものです。テーマは「色彩感覚」「両眼視」「錯視」「文字認知」の4つに分かれています。それぞれを「テレパシー能力」「透視能力」「未来予知能力」「霊感」という一般的に超能力と呼ばれる言葉と対比させながら論を進めていくあたり、ユーモアもあってなかなかおもしろいです。

それぞれのテーマについて、一般的に認識されているような理解とは違う主張をしているのが新鮮で、それでいてしっかり納得させるだけの論拠を用いてるあたりが興味深かったです。具体例をあげると、「人間の目はなぜ二つあり、しかも同じ方向を向いているのか?」という問いに対して、一般的に知られているような「立体視のため」という答えではないものを提示していたりします。詳細は是非ご自身で読んでいただきたいのですが、そういった今までの常識とは違った見方を提示しているあたりが面白いです。

この本では冒頭にあげた4つのテーマについてそれぞれ解説しているわけですが、僕が考えるこの本の核心は「人間の目は世界をありのままに見るように最適化されていない」です。進化論の視点で考えればわかるとおり、生物のもつ各種の器官や機能は、その個体(正確には自己複製子)の生存に寄与するように発達してきたわけです。そう考えると、人間の目が世界をありのままに捉えるように発達してきたと言える根拠はどこにもないわけで、むしろその生存に最適化されていると考えた方が自然です。

要するに、われわれが目を使って見ている(かのように感じている感覚)は世界の光景とは一致せず、脳が生み出した何某かの「フィクション」にすぎないわけです。もちろん、僕自身はそれ自体はことさら悪いことであるとも思っていませんし、人間というハードウェアの限界の中で生存するための工夫だったのでしょう。なかなか、興味深いです。人間の認知の話が好きな方ならば、なかなか刺激的に感じると思います。


新書依存からの脱却

ここのところ、読む本の傾向が新書にかなり偏ってしまっていた感覚がありますが、8月に関してはその傾向は多少は薄まったかなと思います。1日に1冊読む関係上、価格的にも分量的にも読みやすい新書というのはいろいろな意味で便利ですし、実際に新しいものごとにライトに触れる分には有効なツールだとは思うのですが、ちょっとその分量が増えすぎた感があったので、それが改善されたのは悪いことではないかなと。

ここのところ(具体的には自粛期間の開始あたりから)新書がやたらと多かった原因は完全にKindle Unlimitedのせいですねw 新書は新書で当たりハズレが激しいわけですが、Kindle Unlimitedはそれと比べてもかなりひどいので、あまり考えずに選ぶにはどうしても信頼のある新書レーベルとかになってしまいます。言い方は良くないですが、紙の本として出版されていない電子書籍はそのハードルの低さからか、ちょっとクオリティが十分水準に達していないものが多いです。。。 経験上、Amazonの高評価もまったく信用できないというw

そんなわけで、読むものに困ったときには、ここでも何度か話題にしているNHK出版新書とかphpサイエンスワールド新書とかを読んでいたわけです。もちろんそれ自体は全然悪いことだとは思わないのですが、どうしても新書だと軽めの本が多いので、しっかり物事を考えるきっかけが足りていなかったなと。

そういう意味で、8月の特に後半は分量集めの本を色々読むことができたのは、なかなか良い傾向かなと思っています。ページ数が多ければ良いわけではないですし、難解な本を読むことだけが読書ではないのは確かですが、そういう読書もやはり必要だなぁと。

まあ、これに関しては読書会での紹介本の恩恵も大きいですね。結構僕は読書会で新書を紹介することが多いのですが、そうでない本もいろいろ紹介してもらえるので、自分の持っていない視点や新たなジャンルを踏み出すよいきっかけになります。今後とも開催していくつもりなので、ご興味のあるかたはぜひお気軽に参加下さい!!


まとめ

今回は7月に読んだ本のことについてまとめてました。なんだかんだ、こうして振り返る機会を設けることで考えさせられることも多いので、これからも毎月継続していくつもりです。

それでは、また!

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