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【読書】2021年3月に読んだ本まとめ

こんにちは!

今回は、先月一ヶ月間に読んだ本について記事を書きたいと思います。この一ヶ月で読んだ本まとめは、本を読むだけで満足したり、冊数を読むことに傾斜しないためにも定期的にやっている試みです。それでは、早速みていきましょう!


読んだ本まとめ

一ヶ月に読んだ本は以下の通り。

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総評

一ヶ月で読んだ本は29冊。その内訳は以下の通り。

- 小説・エッセイ → 1冊:国内1冊、海外(翻訳)0冊
- その他→ 28冊

3月の読書冊数は29冊。2月の冊数が34冊だったので、冊数としてはガクッと落ちた感じですね。というよりは、1日1冊読めていないので、ここ数年でもっとも読めていない月です^^;。

まあ、理由ははっきりしているので、問題ないでしょう。仕事が冗談みたいなレベルで忙しく、睡眠時間も相当削られていた月だったので、優先順位的に読書の時間が多少被害を被るのも仕方ないです。減っているとは言え、月に29冊読んでいれば世の中的にはそんな少ないわけでもないですしね。


今月のマイベスト小説&ビジネス書

毎月恒例となっていますが、その月で最も印象に残った小説・ビジネス書を紹介します。

小説部門

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先月のマイベスト小説は壇俊光さんという方の「Winny 天才プログラマー金子勇との7年半」という一冊です。小説ではなくて、ノンフィクションではありますがまあ読み物として楽しめるという意味で良いのかなと。

内容としてはWinnyの開発者である天才プログラマー・金子勇さんの裁判の記録。担当していた弁護士の一人が、時に真面目に、時におふざけも交えて法廷での様子を綴っていくというなかなか他では見られないタイプの本。単純にそのやりとりが面白いというのもありますが、後半の展開はなかなかグッとくるところがあり、下手な小説よりも読んでいて感動出来ると思います。

一時期話題になったファイル共有ソフト「Winny」ですが、僕自身は実際に使ったことはなく、どちらかというと違法のファイルがやり取りされているイメージがあって、あまり良い印象がありませんでした。しかし、この本を読んでその考え方が間違っていたことにきづきました。やはり、物事はよく知らないと見えてこないものもあるのだなと。

「Winny」とは20~15年くらい前に話題になったファイル共有ソフトです。先に書いたとおり、違法ファイルのやり取りやウイルスの拡散などに使われていたこともあり、一般ニュースなどでも話題になったソフトだったと思います。

そういう背景もあり、違法行為の幇助という意味で開発者の金子氏が起訴されるに至ったというわけです。冷静に考えれば、違法なファイル共有に使っている人はともかく、ソフトの開発者が起訴されるというのはおかしな話なので、この本で展開される検察の言い分もなかなか苦しいところが有りますね。そうはいってもなかなか難しいのが日本の法制度であり、言いがかりじみた検察の主張を理路整然と論破していく弁護団の話はなかなか読み応えがありました。

あと読んでいて思ったのが、筆者のユーモアセンスのある文体です。ところどころに顔文字が使われていたり、(金子氏が2ちゃんねるで多くの支持を集めていたこともあり)各所にネットスラングを混ぜながら綴る文章は、緊張感のある法定記録におけるよいスパイスになっていたと思います。なかなかえげつないことをやってくる検察官なども割と憎めない形で描かれていることもあって、全体的な雰囲気はなんとなく逆転裁判っぽいなという印象を受けましたw

ちなみにですが、Winnyの特徴としては「P2P(ピアtoピア)」と呼ばれる仕組みを利用してファイル共有を実現しているところにあります。(当時は存在しませんでしたが)今で言うYoutubeやSNSなどのサービスは、中心となるサーバーに情報が集約されており、全てのユーザーがそこにアクセスしているという中央集権的な構造ですが、この構造とは全く異なるやり方でファイル共有を行っていたのが斬新なところ。

今のインターネットの潮流としては各種新興企業がサーバーを管理する中央集権的なやり方がメインストリームですが、このP2Pを利用している潮流としては暗号通貨(ビットコイン等のいわゆる仮想通貨)で使われるブロックチェーンという仕組みが話題になってきています。この本を読んだことがきっかけでブロックチェーンについてももう少し詳しく調べてみようと思いました!


ビジネス書部門

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というわけで、そのブロックチェーンを調べていく中で見つけた「信用の新世紀 ブロックチェーン後の未来」がビジネス書として最も印象に残った一冊です。お金・経済とは何かという部分まで深く切り込んだ考察を始めとして、ブロックチェーンの仕組みから現状や今後の可能性、そして実際の社会実装における課題点などまで結構きれいにまとまっている一冊だと思いました。

この本の特徴としては、ブロックチェーンの概要を説明するために本の冒頭と最後にSF仕立ての小説が展開されていることでしょう。まあ、あくまでもこの小説がメインではないので、これ単体で面白いかというと微妙なところですがw、ブロックチェーンというものを理解したり、想像力をふくらませるには良いと思います。

僕がこの本を読んでいて印象的だった表現は、ブロックチェーンを「約束を空中に固定する」技術であるという表現です。要するに、取り交わされた約束(契約や取引と言い換えても良い)をいかにして特定の基盤に依存しない形で証明するか、ということだと思いますが、この表現はブロックチェーンの本質をついた比喩だと思いました。誰かが管理するサーバーを中心とした中央集権的なやり方(金融であれば国家や銀行)ではない形で、いかにして取引を証明するかという問いに対する挑戦だというわけですね。

もう一つ秀逸だなと思った比喩は、ブロックチェーンの本質を表す表現として「みんなで作る新聞」という例えを使っているところです。ブロックチェーンについて詳しくご存じない方だとピンときにくいかもしれませんが、これもまたブロックチェーンの核になる部分をしっかりととらえた表現だなと。上記の表現と合わせて、「約束を空中に固定する」という目的を実現するための手段として「みんなで作る新聞」という形式を採用していると考えると、ブロックチェーンの本質がかなりわかりやすく表現できていると思います。

もちろんこういった表現は比喩に過ぎませんが、このような目線でブロックチェーンを捉えることで、その活用の範囲であったり、その技術のポイントがどこにあるかの見通しがよくなるのは間違いないでしょう。一定の基盤なしに信頼を得るために、取引や契約の内容を新聞として参加者に公開するという発想はオープンソースの概念に近いと言っていいと思います(もちろん、秘匿性の高い情報を公開する際には暗号化した上で公開する)。

それ以外のところで印象に残ったこととしては、ブロックチェーンの現時点での課題点が整理されている点ですね。ブロックチェーンが語られる際、その技術的課題点がフォーカスされることは少なく、「ビットコインはボラティリティが高い」「電力消費量が多い」など個別的な課題程度しか掲げられることが少ない中、きっちりと本質的な課題を抽出していて勉強になりました。

その中でも印象に残ったのは、ブロックチェーンにおける決済(ビットコインで物を買うことを想像していただければ良いです)においては、決済のタイミングをいつにするべきかという話です。実はこの答えは「決済が確定するタイミングはない」であり、ブロックチェーンの仕組みがわかっていればそれは当たり前のことなのですが、全然考えたことがなかったことなので、読んでいて思わず唸ってしまいましたw まあ、この問題自体は保険などの考え方で運用上の解決は比較的容易なものでは有りますが、こういった本質的な課題を抽出している本はなかなか珍しく、ブロックチェーンを考える上での参考になりそうだと思いました。

この本の中のSFではないですが、このブロックチェーンという技術が世の中をどう変えていくのか、非常に楽しみです。


ブロックチェーンの思想的背景

3月に読んだ本を振り返った時に特徴的になのは、やはりブロックチェーンと経済についての話ですね。ブロックチェーンについてはもともと興味をもっていた分野で、関連する書籍も今までにちょこちょこ読んではいたのですが、今月あらためて色々と読んでみたという感じです。

ブロックチェーンについてはベスト本紹介でも語っていますが、僕個人としては特定の中央集権に依存しないシステムとしてかなり期待している技術です。ちょっと前まではブロックチェーン・仮想通貨と言うと投機商品としてばかり注目されていた感じですが、ここのところその思想的背景が書いてある本が多くて読んでいて楽しいw

ブロックチェーンで色々なアプリケーションが考えられると思いますが、個人的に気になっているのがトークンエコノミーの概念です。これは個人的な予想では有りますが、おそらく将来的には国家通貨の役割が相対的に低下し、中小規模の様々なトークン(代用通貨)が乱立する形になるのではないかなと思っています(予想と言うよりは願望に近いですがw)。流通面では地域通貨や特定のコミュニティ内通貨というものが使われるようになり、多様な価値がトークンという形で数値化・可視化されるという世の中が理想的かなぁと。

通貨というのは価値を示すものであり、現在は国家通貨のパワーが強すぎるがゆえに単一の価値観でしか測れなかったものが、ブロックチェーンによって裏打ちされたトークンの存在によって様々な尺度で適正に評価されるようになると面白いなと。そもそも人によって異なる価値観を国家通貨という単一の価値観で測らざるを得ないからこそ生まれている不都合は世の中に溢れていると思うので、多様なトークンによってその価値観を表現出来るようになってくると面白いことが起きそうだなと。いずれにしても、今後も注目していきたい技術です。


まとめ

今回は3月に読んだ本のことについてまとめてました。なんだかんだ、こうして振り返る機会を設けることで考えさせられることも多いので、これからも毎月継続していくつもりです。

それでは、また!

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