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【読書】2021年1月に読んだ本まとめ

こんにちは!

今回は、先月一ヶ月間に読んだ本について記事を書きたいと思います。この一ヶ月で読んだ本まとめは、本を読むだけで満足したり、冊数を読むことに傾斜しないためにも定期的にやっている試みです。それでは、早速みていきましょう!


読んだ本まとめ

一ヶ月に読んだ本は以下の通り。

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総評

一ヶ月で読んだ本は34冊。その内訳は以下の通り。

- 小説・エッセイ → 3冊:国内1冊、海外(翻訳)2冊
- その他→ 31冊

1月の読書冊数は34冊。12月は38冊だったので、結構がっつり減りました。とはいえ、11月も34冊だったので、12月が特別多かっただけという気がしないでもないですw 読んだ本が減った理由は単純に年明け以降仕事の方が忙しかったせいですね。最近は休日に腰を据えて本を読む時間も増やしているのですが、それ以上に平日の読書時間の低下が響いていた印象です。

まあ、今は結構ガッツリ仕事に集中してもいい時期かなとは思っているのでこれはこれで悪くないのかも知れません。冊数を読むだけが全てではないですからね。とはいえ、できれば今くらいのペースは維持したいところです。


今月のマイベスト小説&ビジネス書

毎月恒例となっていますが、その月で最も印象に残った小説・ビジネス書を紹介します。

小説部門

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先月のマイベスト小説は個人的に非常に好きなオーストラリアのSF作家・グレッグイーガンの短編集「祈りの海」です。僕はこの人の小説が大好きで、膨大な知識に裏打ちされたやたらとマニアックで壮大な設定が非常におもしろく、それでいてそれらを巧みに使いながら人間への大きな問いを小説という形で昇華していく技量は随一だと思いますね。とにかくやたらと難解な設定を作りがちなのでめちゃくちゃ人を選ぶと思いますが、僕はどの作品もとても楽しく読んでいます。

この方の小説はいろいろと読んではいますが、個人的には「幸せの理由」や「万物理論」と並んで、イーガンの作品の中でも特に面白かった一冊でした。方向性としては「幸せの理由」にやや近く、ダイレクトに筆者の思想が現れていた印象。割とキャッチーでわかりやすい設定の話も多く、初めてイーガンの作品を触れる人にもおすすめできるかも知れません。

テーマとして扱っているのは、主に人間のアイデンティティや信仰心についてだと思います。そういった非常に文学的なテーマを扱いながら、そこにサイエンスやテクノロジーを挿入することで独自の視点を提供しているというのがイーガン作品の最大の魅力だと思います。表題作の「祈りの海」なんかは構造が特にイーガン的だなという感じで、科学の追求と信仰心を対置させることで、科学が明らかにする見も蓋もない事実とどう向き合っていくのかが描かれています(このあたりの構造は、長編の「万物理論」にもかなり近いと思います)。

あと、個人的にちょっとおもしろいなと思ったのが「百光年ダイアリー」という短編について。この短編はSFではありがちな所謂「未来日記」的な設定の作品で、未来の自分が書いた日記を読むことで自分の将来がわかるという設定なのですが、その背景の説明が非常にイーガンっぽいんですw 過去にメッセージを送れるという理屈をなんとなくそれらしく物理的な解説を試みていたり、過去に送れるメッセージの帯域幅が限られているため個人は1日につき128バイトしか使えず、それであるがゆえに日記という限られた文字数でしかメッセージを送れないという説明はいかにもイーガンっぽいなとw

他に印象的だった作品は同性愛と健康・医療の問題を扱った作品である「繭」ですね。問題設定のしかたが非常に巧みで、物語としての面白さと思考実験としての奥深さを両立している作品で、エンターテインメント性はイーガン作品の高めだったと思います。そして、これはネタバレになるので詳細は語りませんが、なによりも印象的だったのが主人公の独白として書かれる最後の一文。これは僕の単なる邪推ですが、人類への諦めにも聞こえるこの一文は偽らざるイーガン本人の本音だったのではないかと思えてなりません。とはいえ、他の作品を見る限り、そういった人間の業のようなものを否定するわけではなく、むしろその現実を受け入れたうえでいかに前を向いていくか、そんなところがイーガン作品が問いかけていることなのかなぁと。

イーガン作品は読むのに体力が必要な本が多いのですが、この本は短編集ということもあり、そこまでではなく割と軽い感覚で読むことができました。ハードSFの世界の入り口として、興味のある方はぜひ読んでみて下さい!


ビジネス書部門

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先月はビジネス書系の本の中ではあまりグッと来た本が少なかったのですが、その中であえてあげるならこちら。高橋洋一さんという経済学者の書いた「戦後経済史は嘘ばかり」という新書。正直に言うと1月に読んだ本でもっとも良いと思ったのは「くそつまらない未来を変えるかも知れない投資の話」という本だったのですが、まあこちらは読書会で紹介された本だったので、そちらは敢えて語るまいということでw

内容としては、第二次世界大戦からの復興から高度経済成長を経て平成の不況にいたる戦後経済史をもう一度問い直すというものです。タイトルにもあるとおり、今まで通説として信じられてきたことに対して、風穴を開けると言うか、それをひっくりかえすような説をデータを元に論証していくようなイメージですね。この手の本は単なる逆張りになりがちな部分もあるので鵜呑みにしすぎない目線で読むことが重要だとは思いますが、なかなか説得力があり、100%とは言わないまでもそこそこ的をいているような印象を受けました。

個人的に特に衝撃を覚えたのが、固定相場制の本質を自分が全然理解していなかったという点です。固定相場制というと、円とドルの取引レートを固定すると単純に考えがちですが、冷静に考えると何もせずにそれを実現することは不可能なんですね。では、一時期の日本がそれをどうやって実現していたかと言うと、円ドルのレートが固定になるように政府が為替介入を行いまくっていたというわけです。これは冷静に考えればそうするしかないので当たり前の話なんですが、今までそんなことも考えたこともなかったという意味でなかなか勉強になりました。

その他にも、「バブル経済の実態は株価と不動産を除けば物価上昇はほとんど起きていなかった」ことや「石油ショックがインフレの引き金となったわけではない」ということや「戦後の傾斜生産が直接産業の発展に寄与したわけではない」など、一般に言われている日本近代経済史の通説をバッサバッサと切っていきます。データに基づいて話して入るものの、やはりポジショントークの部分はあると思うのであまりそれを鵜呑みにするつもりはないですが、そういった新たな視点というのは読んでいて面白いものがあります。

基本的な著者のスタンスとしては金融緩和による経済回復をはかるべし、と言うところですね。とてもわかり易く言えば、アベノミクス的な政策を推進しようとする立場です。僕も経済について詳しく理解しているわけではないのですが、近年の傾向としては不況時には金融引き締めではなく金融緩和をして通貨流通量を増やすべきという考え方がメインストリームだと思うので、そういう意味では王道といえば王道なのかも知れません。

そういう意味で、よくも悪くも現代に近づくに連れてポジショントーク的なものが目立っていた気がしないでもないですが、まあいろいろと初めて知ることがあったり、あまり考えたことのなかった視点が多かったという意味で印象に残った一冊でした。


Kindle Unlimitedの難しさ

今回読んだ本の画像を見ていただければわかるとおり、今月は読んだ本のうち新書が占める割合が多かったかなと言う印象です。その中でも、php新書や光文社新書がメインな感じですね。

新書自体は前々からよく読んでいるので、それ自体は特段問題はないのですが、前月読んだ本のラインナップを見る限り、あまり印象的だった本が少ないなというのが正直な感想です。割と流し読みのような感じで読んでしまう本が多く、読んでいて特に面白いと思ったのは、上記の「戦後経済史は嘘ばかり」と「人工知能は人間を超えるか」「<宗教化>する現代思想」くらいですかね。もちろん、それ以外の本でも面白いと思う部分はあったんですが、全体的に「意外性」のようなものを感じることが少なかったかなと。

このあたり、個人的には新書のレーベルの問題でもあるのかなとは思っています。個人的にちょっと前に読み漁った、NHK出版新書やphpサイエンスワールド新書なんかは自分の中でも面白いと感じる本が多く読んでいて面白かったのですが、php新書レーベルや光文社新書なんかだとちょっと物足りないものが多い印象です。もちろん、全てが全てそうであるとは言えないのですが、全体的な傾向としてレーベルごとに自分に刺さる刺さらないはあるのかなと。

そういう意味では、Kindle Unlimitedの限界のようなものはありますね。ちょっと前まではNHK出版新書やphpサイエンスワールド新書が読み放題に含まれていましたが、2021年1月の時点では読み放題からは外れていました。その内また含まれてくるのかも知れませんが、Kindle unlimitedで読む本を探す際に好きなレーベルの本を探せないときがあるというのはちょっと不便ではあります。まあ、このようなサイクルがあることで、新たに知るレーベルや本が増えていくという側面もあるので、どっちもどっちと言ったところなのかも知れませんが。

なんだかんだで、読む本を探すときにはKindle Unlimitedに頼っている部分が多いのが現状なので、うまく使いこなしていきたいところです。読んだ本が増えれば増えるほど新たな発見が少なくなってきてしまうのはある程度しかたないとは思うので、工夫をしながら継続してくことが大事なのでしょう。


まとめ

今回は1月に読んだ本のことについてまとめてました。なんだかんだ、こうして振り返る機会を設けることで考えさせられることも多いので、これからも毎月継続していくつもりです。

それでは、また!

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