2021/11/15 朝の日記

目が覚めると、日はまだ完全に昇りきってなくて、黒から白、白から青へと変わる手前だった。
外の景色を見てそう思ったわけじゃない、体温がこもった布団の中に滑り込んできた、外から聞こえてくる音に日中ほどの活気がなく、もの静かで冷たく、鳥の声が甲高く向かいのマンションに響いていたから、それくらいの時間だと思った。
早く起きすぎた。携帯のアラームもまだ朝の知らせを待っている。もう少し眠ろう。目を閉じて温もりに体を埋めようとしたけど、耳がすっかり冴えてしまって冷たい音がやまない。耳たぶはあるけど耳蓋はない。(野田さんの台詞でこんなのあったな。)
静かな音で目もすっかり覚めてしまった。
鼓動が弾みだす。この季節の朝は好きだなと布団から顔を出して思う。
寒さのせいもあると思うけど、息を吸うとヒヤッと鼻尖から鼻背をスーッと通って鼻根の熱を冷ます。
(夏の朝より、体の輪郭がはっきりするように思える)
昨日の体臭を纏って浴室へと向かう。カランを捻って熱湯が勢いよく吹き出て、冷えた浴室を打ちつける。一瞬であたりは靄がかり、青白い光とオレンジ色の光が浴室を満たす。
せっかく早起きしたのだから、久しぶりにランニングしようと思い立つ。
清々しい朝にせっかく綺麗にした体を埋めて、汗を流し、また汚れたい。青白む清潔な張り詰めた朝で体を汚したい。濡れた体をタオルで拭き取って、タンスからジャージを掘り出して着る。まだ濡れている髪が頭で冷たい。
玄関を開けると地面にかかる日がほんのりオレンジがかっていた。
駆ける音が高く、空へと響く。やはり静かでいい。
しばらく走っているとあたりが次第に青くハッキリしてきた。足音が他の足音に紛れだす。
車から吹き出た、排気ガスが膜になって鼻をつき、息苦しさを覚える。走っているうちにだんだん体温と気温が同時に上がっていくのがわかる。熱が内からと外からと周りに伝わっていく。
朝がはじまる。1日がはじまろうとしている。
額をつたった汗が、地面に落ちて消えた。

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