そのリバーブ、適当にかけていませんか?
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そのリバーブ、適当にかけていませんか?

king tiptoe

適当にかけてもとりあえずはそれなりに聴こえてしまうもの、そんな便利なエフェクトがリバーブだ。だが、各パラメーターを理解できていないまま使っている人も多いのではないだろうか?

仕組みを理解すれば思い通りのリバーブをかけることができるだけでなく、楽曲に奥行きが出て、明瞭感も向上する。つまりミックス全体のレベルが底上げされるともいえるだろう。

そのため、リバーブの主要な項目である以下の8種類を理解するとともに、それを使いこなせるようになることを目標に紹介していきたい。なお、個人的に特に重要だと思われる項目には☆をつけておいた。

1. リバーブの種類☆
2. リバーブタイム(Decay)☆
3. アーリーリフレクション☆
4. プリディレイ☆

5. ダンピング
6. ディフュージョン
7. EQ☆
8. モジュレーション

その他、別の機会に紹介する予定なので本稿には含まれないが、リバーブのオートメーションも非常に重要な要素だ。

それでは順に見ていこう。

リバーブの種類

リバーブとは残響をシミュレートすることで部屋の奥行きを表現する、いわばバーチャル空間だ。そのため、リバーブの種類はどのような空間的環境における残響を再現するかを決めるものであり、種類ごとに異なる質感がある。

代表的なものとしては、以下の6種類が挙げられるだろう。これらの違いを正しく理解し、使い分けはできているだろうか?

広い空間
ミックスに厚みを与え、トラックにスペースを付与
・Church
・Hall

狭い空間
トラックをミックスに馴染ませる(トラックにカラーとエネルギーを付与)
・Chamber
・Room

実機のシミュレート
プレートリバーブ、スプリングリバーブを再現
・Plate
・Spring

つまり、乱暴に言ってしまえば、トラックに厚みやスペースを出したいならChurchやHall、ミックスに馴染ませるのが目的ならChamberやRoom、実機のリバーブを再現したいならPlateやSpringというわけだ。

各リバーブはそれぞれに特徴的なサウンドをしているので、聞き分けられるようにしておくといいかもしれない。面白いサイトがあったので参考までに紹介しておく。

リバーブタイム

リバーブタイム、つまりDecay(time)はリバーブの長さを決めるものであり、言い換えるとリバーブがどのくらい時間をかけて減衰していくかを決めるパラメーターだ。

試しに広いリバーブと長いDecayをトラックにかけてみれば、劇的な効果が得られることに驚くだろう(ただし、ミックス全体で聞いてみると他の音をマスキングして音が不鮮明になり、ミックスがぼやけてしまうこともあるので注意が必要ではあるが)。

BPMにもよるが、だいたい1〜2秒あたりのDecay timeが楽曲に馴染むことが多い。

アーリーリフレクション

アーリーリフレクションは、音を発したときに壁に反射して一番最初に返ってくる緊密なディレイ音の集合体だ。Dry音の数ミリ秒後(5〜100 ms)に発せられ、リバーブレーション(残響)よりも前に聴こえるエコーのようなものである。

「リバーブ」とはつまり、以下の3ステップで発生する仕組みであると言えよう。

1. 原音

2. アーリーリフレクション

3. リバーブレーション本体

空間の特徴やサイズ感を表現する働きがあるため、リバーブレーションにアーリーリフレクションを加えることによって、残響とは異なる部屋のアンビエンスを付与し、リバーブの効果を高めることができる。詳細はこちらを参照のこと。

プリディレイ

プリディレイは、Dry音とWet音(リバーブ)の間の時間をコントロールするパラメーターで、リバーブの奥行きや距離感を表現する。

Dry音とまったく同時にリバーブがなってしまうと音が重なり濁ってしまうが、プリディレイでリバーブの開始を少し遅らせることでそのような濁りを解消し、トラックに明瞭感を出す効果もある。

プリディレイの算出方法

トラックに対してどのくらいのプリディレイを設定すべきかは、BPMを一つの基準にすると良い。4分音符分の長さ(単位はミリ秒)は以下の計算式で表すことができる。2倍にすると2分音符の長さになるし、1/2にすると8分音符になるというわけだ。

60,000 / 楽曲のBPM = 4分音符の長さ (ms)

以下のようなディレイカルキュレーターを使用すれば、BPMを入力するだけで各音符に相当するミリ秒を算出できる。BPMをミリ秒変換した値をプリディレイに使用する場合、経験上、32分音符や64分音符の長さがフィットするケースが多い。

最終的にはプリディレイとディケイを足して、目的の長さの音符の音になればOK!

ダンピング

ダンピングはリバーブ内の特定の周波数帯域に対する空間の吸音率を決めるパラメーターで、Decay同様、リバーブの音色に直結する。主にリバーブのキャラクターを作るのに有効だ。

吸音率と言われてもピンとこないと思うが、例えば、何もない空っぽの部屋で音を出したとする。その場合、部屋の中に音を吸収する要素はほとんど何もないので、低い音から高い音まで広く響き渡ることだろう。でもその部屋が仮に小型のライブハウスだとして、お客さんがパンパンに入っていたら?音が吸収されて響きの少ないリバーブになる。つまり、吸音されたときの音の減衰の仕方をシミュレートするのがダンピングだということ。

ダンピングの特徴は、指定帯域の値を上げ下げするとその帯域のDecayのみを上げ下げできるという点。Decayが全体のTailだとすれば、ダンピングは周波数ごとのTailと考えることもできる。

ディフュージョン

アーリーリフレクション間の緊密度を変化させることにより、リバーブの密度をコントロールするパラメーター。リバーブの音に厚みを出したり、丸くしたりすることができる。ディフュージョンのレベルが低いと、反射音が弱まり細い音になる。

リバーブが濃すぎるときはディフュージョンを下げるといいだろう。ただし下げすぎると金属的な響きになることがあるので注意。一般的にはボーカルや楽器の音にはディフュージョン低め、ドラムはディフュージョン高めがフィットするようだ。

EQ

センドリターンで使う場合のリバーブにおいては、EQをリバーブの後にかけ、リバーブの出力信号をEQで処理することが多い。その場合はリバーブの反響をコントロールしたり、リバーブ全体の音色やカラーを彫刻するという使い方になるだろう。つまり、リバーブのアウトプットに対するEQだ。

しかし、リバーブの前にかけ、リバーブの入力信号を処理することによる効果もある。入力音にかけることで、リバーブのかかり方をかえることができるのだ。「アビーロードリバーブトリック」などはその代表。こちらはリバーブのインプットに対するEQだ。

アビーロードリバーブトリック

リバーブの有名なテクニックで、リバーブに入る前の音の低域と高域をEQでカットし、中域の特定の音域のみをリバーブに送ることで、リバーブの明瞭感を向上させるやり方だ。

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基準となる設定値は以下の通り。要はリバーブにかける周波数帯域を「600 Hz〜10 kHz」に絞り込むという手法。スロープは18の方が音はよりクリアになる。使用するリバーブのキャラクターによって使い分けてもいいかもしれない。

HP Filter:600 Hz, 12~18dB per octave slope
LP Filter:10 KHz, 12~18dB per octave slope

実際にボーカルなどにかけてみるとわかるが、明瞭感が一気に向上してモヤモヤ感のないスッキリとしたリバーブになる

英語だが以下に参照ページを貼っておくので、必要に応じてご覧頂きたい。ボーカル以外にも様々なトラックに使用できそうだ。

インプットEQとアウトプットEQを使い分けることができれば、リバーブのサウンドをさらにコントロールできるようになるだろう。

モジュレーション

実際の部屋の反射のズレや揺れをシミュレートするがごとく、リバーブをモジュレーとすることで、リバーブに個性やカラー、空気感を付与するパラメーター。モジュレートをかけることで均質なリバーブが有機的になり、よりミックスに馴染むようになるので、ぜひ試してみていただきたい。

まとめ

いかがだっただろうか?リバーブには様々なパラメーターがあるが、それぞれのパラメーターを理解することにより、リバーブをもっとイメージ通りに「デザイン」することができる。

使用するリバーブによってキャラクターは異なり、搭載されているパラメーターが異なるので、色々数を試して自分好みのリバーブを3つくらい見つけて、それらを使い倒してリバーブをモノにしていただければ幸いだ。

なお、今回の記事は以下のWaves Audio様の動画を参考にさせていただいたので、参照ページとして記載しておきたい。

また、以下のSleep Freaks様の記事ではステレオイメージャーの活用や、チェンバーなどのリバーブの種類の詳細な説明が記載されているので、合わせて参照してみてほしい。

では、良いDTMライフを!

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DTM制作に役立つ情報を公開。使用DAWはLogicとAbleton Liveです。