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DTMerが知るべきドラムの知識①ドラム音源と生ドラムの比較
DTMerでドラムの打ち込みに迷う人は多いのではないだろうか?そんな人に特におすすめしたいのが、DVD『ドラム音 ヴァーチャルリアリティー 打ち込みドラムはここまで生に近づける!』。このDVDにはDTMerが知るべき打ち込みテクニックが網羅的に紹介されており、非常に見る価値のある内容だ。
本記事では、このDVDから学べるドラムについての知識をまとめていきたい。複数の章で構成されているので、初回は「Lesson 1 - ドラム音源と生ドラムの比較」を取り上げていく。この章ではドラムのパーツと音色、奏法、MIDIとの関わりなど、生ドラムとMIDIにまつわる基本事項について解説している。
Kick(キック)
鍵盤上のノートは「C1」などにアサインされており、音源によっては「Dumped」と「Open」2種類の音が入っている場合がある。「Dumped」はバスドラムの中に毛布やバスタオルなどの詰め物をして余分な倍音をカットした(デッド=音を響かなくした)音で、「Open」はミュートなしの音。
ちなみに「Open」という用語はドラムの奏法の方でも使用される用語で、「Close」との対比で叩いた後にビーターを打面から離す(Open)か、ビーターを打面に押し込んだまま(Close)にするかという文脈でも使用されるので覚えておこう。
Snare(スネア)
鍵盤上のノートは「D1」などにアサインされており、打ち込みやすいように同じ音が収録されていることがある。DVDの解説画面上では、たとえば「Snare Open Hit」と「Snare Open Hit (dbl)」などのような重複音(dbl=ダブル)があり、両手で打ち込めるようにデザインされている。
オープン系
Open Hit:打面の中心を叩く奏法。
Snare Shallow Hit:中心よりも縁に近い位置の打面を叩く奏法。
リム系
Rim Shot:縁(Rim)とスネアの中心を同時に叩く奏法。音の抜けが良くなりパワーも出る。
Shallow Rim Shot:Rim Shotのバリエーション。中心よりも縁に近い位置の打面と縁を同時に叩くことで、通常のRim Shotよりも明るい音が得られる。なおShallowは「Off Center」とも呼ばれ、打面と中心と端の中間地点あたりを指す。
Side Stick:別名「Closed Rim Shot」とも呼び、Rim Shotのバリエーション。スティックを打面の中心あたりで持ち、反対側で縁を叩く奏法。バラードやボサノヴァなどで頻用される。
Rim Click:Side Stickとは異なり、スティックでRimそのものを叩く奏法。ラテン音楽などで使用される。
なぜ色々なスネアの音が並んでるの?
MIDIでは様々なアーティキュレーションのスネアのサウンドが収録されていることがあるが、それは音色に変化をつけて演奏することがあるためである。たとえばドラムロールを「Open Hit」→「Snare Shallow Hit」→「Rim Click」のように奏法を変えながら演奏することがあり、それを再現しやすい配列になっているというわけ。
なお以下のような、実際のドラムでは演奏スキルを要する次のような奏法も収録されていることがある。
Flum:音をずらして連続的に叩く奏法。
Roll:打面を連打する奏法。マーチングなどでもよく聞く。
Snappy Off:スナッピー(響き線)をオフにしたサウンド。ラテンなどで特に使用する。
Hi Hat(ハイハット)
ハイハットには、大きく分けてClosed(クローズド)とOpen(オープン)の2種類がある。それぞれ個別に見ていこう。
Closed Hihat
クローズドの奏法は以下の通り。チップとシャフトで叩き方が異なるので覚えておこう。
Foot Close:2枚あるハイハットのシンバルを足で閉じる奏法。
Closed Hihat (Tip):スティックの先端(Tip)で閉じたハイハットを叩く奏法。
Closed Hihat (Shaft):スティックの腹の部分(Shaft)で、閉じたハイハットの縁を叩く奏法。
Closed Bell:ハイハットの軸の周りの膨らんでいる部分(「ベル」または「カップ」)を叩く奏法。
同じ音なのに「1」「2」など複数の種類があるのはなぜ?
動画で使用している音源には、上記の「Closed Hihat (Tip)」や「Closed Hihat (Shaft)」に対して「Closed1 (Tip)」「Closed2 (Tip)」など複数のバリエーションがある。これはどういうことかというと、叩く強さの違いで、「1」より「2」の方が強く叩いた時のニュアンスで音が収録されている。つまり、アーティキュレーションが異なるのだ。8ビートなどでは頭拍が強拍(シャフト)、裏拍が弱拍(チップ)と交互に演奏することがあり、そのような場面において音量の使い分けができるようになっているらしい。
Open Hihat
お次はオープン。「Half Open」から「Full Open」まで、開きの度合いがレイヤー状に異なるため、複数の音色が収録されていることが多い。
Half Open:半分開いた状態の音。
Full Open:全開状態の音。
Open Bell:ハイハットをオープンにしたままベルを叩く奏法。
(メモ: ベルはジャズなどアコースティックなジャンルで使用されることがあるが、他のジャンルではほとんど使用されないとのこと。なので、必要ないという人は無視しても良いかもしれない。)
Foot Splash:ハイハットのペダルを踏んですぐ離す奏法。
DVDでは解説されていないが、1/4のクォーターなど細かく調整できる音源もある。Media Integration様のページでその辺りのことが紹介されているので、よければぜひご一聴を。
Ride(ライドシンバル)
Rideシンバルの奏法は以下の通り。音や奏法のバリエーションは比較的少ないので、Hihatなどよりもシンプルだ。
Ride Tip:Rideシンバルをチップ(スティックの先端)で叩く奏法。
Ride Bell:Rideシンバルのベル(カップ)を叩く奏法。Ride Tipと組み合わせてバラードなどに使用される。
Ride Choke:Rideシンバルの音を止める奏法。
Ride Shaft:Rideシンバルのエッジをスティックの腹の部分(Shaft)で叩く奏法。
Crash(クラッシュシンバル)
Cymbal:Crashシンバルを叩く奏法。動画の音源ではチップとシャフトが同じキーにアサインされ、ベロシティーの強弱で振り分けられている。
Cymbal Choke:Crashシンバルの音を止める奏法。
Cymbal Tip:Crashシンバルのボウ(真ん中部分)をチップで叩く奏法。
Cymbal Shaft:Crashシンバルのエッジをシャフトで叩く奏法。
Crashシンバルのチップ
Crashシンバルではチップよりもシャフトのサウンドが定番だが、チップのサウンドもバラードやジャズに有効だ。Crashと別のCrash、CrashとRideという音色の異なるチップを組み合わせることでアクセントの効いたパターンを作成できる。
エフェクトシンバル
Crashシンバルの一部で特殊な用途を持つシンバルをいう。代表的なものは以下のスプラッシュとチャイナ。そのほか、マイナーなものも含めると様々なシンバルが存在するようだ。
Splashシンバル
小さなCrashシンバルのような見た目のシンバル。音が伸びにくいので、フレーズの途中に挟んでも馴染みやすい。
Tomの延長
スピード感を落としたくない時
Chinaシンバル
端が反り上がった形状をしたシンバルで、バシャーンという音がなる。
Tom(タム)
Tomの主な奏法は以下の2種類。Rim Shotは打面にリムの金属的な響きが追加されるため、上述のスネア同様よりアタック感の強い音となる。
Open Hit:打面の中心を叩く奏法。
Rim Shot:打面の中心と縁(リム)を叩く奏法。
また、ほとんどのドラム音源には「Hi Tom」「Low Tom「Floor Tom」を基本とし、キットによってTomの数が追加されることも多い。
OpenとRimの使い分け
オープンとリムを組み合わせることで、次のような効果を得ることができる。ここぞという場面で使用するとニュアンスのついた良い表現となるだろう。
Tomでフラムを打ち込む場合:Open→Rim Shotの順に打ち込めばリアルなフラムを演奏できる。
フレーズの終わり:Openのベロシティーを徐々に強くし、最後にRim Shotを打てばリアルに打ち込める。
まとめ
いかがだっただろうか?音楽をやっていても、ドラマーではない限り意外とこのような知識はないものである。音として聞いたことはあるだけでは自分で再現する際に戸惑うことも多いと思うが、奏法の名前を知り、区別がつけば理解も深まるというもの。非ドラマーだからこそ、ドラムを勉強するのは有効だと言えるだろう。
次回はDVDの続きを引き続き紹介していきたい。
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