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レコーディングの勉強部屋⑤エレキギターのレコーディング

今回はエレキギターのアンプ録りについて。

マイクはアンプ録りでは定番のSM57とMD421を使用して、プロのエンジニアの方とレコーディングのテストを実施。学んだポイントについてご紹介していきたい。

最重要ポイント

ギターのアンプ録りで最も重要なことは何か?

それは、スピーカーの中心がどこかを正しく把握しておくことだ。特にスピーカーが一発しか搭載されていないアンプは、アンプの中心から少しずれた位置にあることが多い。アンプの裏側で位置を確認し、表側からも懐中電灯などで照らして位置を確認してからマイクを立てよう。

マイクの位置

スピーカーの位置がわかったら、次はマイクをどこに立てるかを決める。立てる位置の基準はとなるのは次の3パターンだ。もちろん必要に応じて他のところに立てても構わない。

スピーカーのセンター
スピーカーのセンターとエッジの真ん中あたり
スピーカーのエッジ

特徴としては、センターから離れるほどハイが落ちるということ。しかし、落ちたからといって無くなっている訳ではなくハイ自体は存在している。ここがアンプやギターのトーンコントロールとは違うところだ。アンプやギターのトーンコントロールでハイを落とすとその部分が文字通り「無くなって」しまうので、EQでハイをあげても音がないのであげられないという事態になってしまう。

その点、ハイをマイキングでコントロールしておけば、必要に応じて後々EQで上げることも可能なので便利だ。

メモ:これはプレイヤー向けの情報だが、アンプの音はマイクを立てる位置(通常はスピーカーの出音の正面)で聞きながら作った方が良いとのこと。理由は、上から音を聞いていたり横から聞いている音は、マイクが拾う音とは異なる音であり、聴覚上の音とレコーディングの音にずれが生じるからだ。「アンプの音はアンプの正面で作れ」である。

スピーカーとマイクとの距離

ちょうど良い距離感を見つけるため、ローの出具合とハイの抜け具合を気にしつつ、ローとハイのバランスの良いところを探そう。

・1〜1.5cm(指一本分): 近接効果で低音がしっかり録れ、前に張り付いたような音になる。
・10cm(拳一つ分): 近接効果が薄れて低音が減り、ハイも多少減って、いわゆる箱なり感がでる。
・20cm(片手を広げたくらい): 10cmより部屋鳴りが増え、空気感(リバーブ)がでる。

上記の距離3種類に、マイク位置の3種類を掛け合わせると、合計9通りのマイク位置が存在するのでそれらを試すのが良いかもしれない。

メモ:エッジ側にマイクを立てるとハイが落ちてローが滑らかに出る傾向があるが、エッジ側でも距離を離すとセンターの音も拾うようになるのでハイの抜けがよくなるという特徴がある。

マイクの違い

57と421の比較だが、まず57は弦のバキッという音がでるのでアンプ録りをしてる感が強いと思った。421の方が音域のレンジが広くフラットに出ている印象。ギタリストはだいたい57の方を好む人が多いようだ。

なお、アンプ録りにはコンデンサーマイクもよく使われるとのこと。クリーントーンだとハイも良く録れるし、歪み系の抜けも良い。なので57と421に加え、お気に入りのコンデンサーマイクを試してみると良いかも知れない。NEUMANNマイクの比較動画にギターの比較もあったので、リンクを紹介しておく。

複数マイクの意義

アンプ録りではスピーカーに対して複数のマイクを立てることも多いと思うが、近い位置に2本立てると、位相崩れが起きることがあるので注意しよう。アンプや部屋によって大丈夫な時とダメな時があるようだ。

ちなみに複数マイクを使用する意義(目的)は主に以下の2点:

マイクの距離を変える:近いマイクと遠いマイクで部屋鳴りをコントロール
マイクの種類を変える:異なる周波数特性のマイクの音をミックス

まとめ

マイクの位置と距離は他の楽器のレコーディングとも共通していることだが、ギタリストがアンプで音を作るときにどこの音を聞いて作るべきか、複数のマイクを立てるときはどんなところに気をつけるべきかなど、学ぶところは多かった。最近はアンプシミュレーターを使用している人もかなり多いと思われるが、その場合にもアンプ録りの知識は役に立つのではないかと思う。

「エレキ・ギターの音色の90%以上はアンプで決まる」と豪語する書籍まであるように、本来エレキギターにとってアンプの音はギター本体と不可分である。

ギターを何本も買うのも良いが、アンプにこだわってみた方が意外と早く理想の音に近づけるかもしれない。

それでは、良いDTMライフを。



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