見出し画像

『著作権=管理団体(JASRAC etc)』の呪縛から解放されるとき

2020/06/02


TONOZUKAです。

コロナの影響がまだまだ続く中、僕も含めミュージシャンの方々は色々と影響が出ていると思います。
活動の方向性も少しずつ変化をもとめられているのかなと思っています。
SNS投稿や生ライブ配信なども多く見かけるようになりました。
これらについて、システム上の問題点や利用するにあたって注意したほうが良さそうだなと思ったことは過去のブログでまとめています。

SNSへの無料配信を考える
生配信or収録? 配信or販売?
動画配信の前にやっておかないといけない事(著作権)
動画配信 収益化を考える
動画配信の前にやっておきたい事
生ライブ配信(ダウンロード販売)の著作権について (一部追加と変更)

こんな感じで色々と調べていると、ある事を思うようになりました。
それは
『既存のシステムを使うとなると著作権、肖像権などがとても大きな壁となって立ちはだかっている』
という事でした。

これをなんとか解決する方法は無いかと、色々と調べたり直接問い合わせたりしてみました。そこである程度、現時点での方向性が見えて来たのでこのブログでまとめてみようと思います。

これは
『法の目を盗んで、抜け道を探す』
というものではなく、真っ向から
『権利を守る』
ための方向性と思ってもらえるとありがたいです。

ですのでちょっと面倒だったりする事もあるかもしれません。
でも『自分の権利を守る』という意味でもとても重要な事と思っています。

先ずは、以前のブログでも書きましたが、
『SNSの動画配信を完全有料コンテンツとして、支払いまで管理するシステムが存在しない』
という問題があると思います。

それはただ単にシステムを作るのが面倒だったという事ではなく、これらを1つにまとめ上げるのは『至難の業』という事が挙げられると思います。
その時に大きく関わるのが、
●著作権
●版権(著作隣接権(原盤権など))
だと思います。
今回はその『著作権』についてまとめてみました。

過去には大手のyoutubeでも色々と波紋をもたらしたこともあったと思います。でも現時点ではこちらの方向性でほぼ確定と思っていて間違いないと思います。
(こちらにまとめています)
動画配信の前にやっておかないといけない事(著作権)

またコンテンツを『コンテンツID』として登録する事で、不正使用を防ぐ事ができます。
(こちらにまとめています)
生ライブ配信(ダウンロード販売)の著作権について (一部追加と変更)

※この辺りの規約は、個人的には大手レーベルとyoutube側でお互いにウィンウィンになるように考えられた規約と思っているので、内容としてはちょっと微妙だとは思っています。(『コンテンツID』の話はピコ太郎さんの時にも少し話題となった話です)

やはりそう考えると、youtubeなどのUGC(User-Generated Contents)サービスを利用して閲覧者から収益を得るというのはなかなかハードルは高いのかなと思います。

ではなぜここまで複雑になっているかと考えてみたところ、
『著作権を管理しているのが、アーティスト本人では無い』
という事も大きな要因として挙げられるのだと思いました。

もちろん全ての著作権を自ら管理するのはとても大変だと思います。しかし全てを任せっきりにしてきた為に、このような複雑な問題が起きているとも考えられます。
ではこれらの問題を解決するために、先ずは既存のサービスを利用するに当たっての流れをまとめてみました。


●動画配信(生ライブ配信など)

JASRACのHPでyoutubeなどでの作品使用などはフローチャートにまとまっています。

<以下、JASRACのHPより引用>

画像1

動画投稿(共有)サイトでの音楽利用

こちらのフローチャートに沿って、使用できるか使用できないかを判断する事で解決することができます。
気をつけなければならないのが、このフローチャートが使えるのは『JASRACと利用許諾契約を締結をしているサービスに限る』
という点です。

利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧
https://www.jasrac.or.jp/info/network/ugc.html

なので、
Vimeo
ミルビィ
などのサービス提供には当てはまりません。
この場合は個別に考えていく必要があると思います。
こちらに付いては以下のブログでも触れています。
動画配信の前にやっておかないといけない事(著作権)
生配信or収録? 配信or販売?

上記ですが、これは『使用する楽曲について』の著作権の話です。それとは別に、それらを用いて制作されたコンテンツにもまた別に『著作権や肖像権』などが発生します。こちらについてはyoutubeの場合はこちらの考え方で良いのだと思います。

<YouTube利用規約から引用>
6. お客様の本コンテンツ及び行為
A. お客様は、YouTubeアカウント保有者として、本サービスに本コンテンツ(動画やユーザーのコメントを含みます)を投稿することができます。お客様は、YouTubeが、お客様が投稿する本コンテンツについて何らの秘密保持を保証しないことを理解するものとします。
B. お客様は、自己の本コンテンツ及びそれらの本サービスへの投稿又は公表に伴う結果につき単独で責任を負うものとします。 お客様は、お客様が、本コンテンツを公開するために必要なライセンス、権利、同意及び許可を有していることを確認、表明及び保証します。お客様は、本サービス規約に従い本サービス上で本コンテンツを公開するために、かかる本コンテンツに対する一切の特許権、商標権、企業秘密、著作権若しくはその他の財産権についてのライセンスをYouTubeに提供します。
<後略>

ここまでは、無料でも有料でも同じく考えなければならない話となります。


ではこのようなSNSシステムを使って『有料コンテンツを販売』などの収益化はできるか?という話になると思います。
これについては今後急速に色々なUGCサービス会社が採用してくると思っています。
今のところ(2020/06/02時点)での情報としては

●Facebook
Facebookページで有料ライブ動画イベント開催が可能に 「クリエイターや小規模ビジネス支援で」
こちらの限定公開ブログで取り上げています)
●LINE
LINE、有料オンラインライブ『LINE LIVE-VIEWING』今夏より提供へ 券売・販促・配信・課金を一元化
がシステム導入を検討しているようです。
では現段階で『有料コンテンツとして販売できるシステムはないのか?』と言われると、
Vimeo(ライブストリーミング対応)
tunecore(ダウンロード販売)
ツイキャス(生ライブ配信)
BOOTH
teket
(※teketはこちらのブログでも取り上げています)
などがあります。
しかし著作権などを考えると<動画配信>は現段階ではほぼツイキャスの一択になるかと思います。(こちらのブログに書いています)
そう考えると、<動画配信>で収益化というのはなかなかハードルが高いな、と思ってしまいます。『投げ銭システム』については過去のブログで書いていますので、そちらを読んでみて下さい。


では次に<動画自体を販売する>という事についてまとめてみたいと思います。これも色々と考えなければいけない事が事が多そうです。

●動画販売(ダウンロード販売、ストリーミング配信など)

●他人の作品を使用する場合
 この場合はCD製作などと同じように管理団体(JASRACなど)に申請をして、使用料を支払うことになります。
ダウンロード販売でも同じ考え方で良いかとと思います。
baseなどの一部システムでは、そのシステム会社自体でJASRACと提携をしているようなので、大丈夫そうですが、1コンテンツが1GB以下などの制限がある会社も多いため、音楽ライブ動画などには不向きかも知れません。

●自分の作品だが既にJASRAC等の管理団体に作品を預けている場合
 この場合もJASRACと提携をしていないサービスを利用する場合は、自分の作品でも使用するに当たっては管理団体への申請が必要となります。一旦管理団体に「使用料」を払って、それが後に自分に「使用料」として手数料などを差し引かれて戻ってきます。
これはCD製作などを経験されたミュージシャンの方々ならば、何となく流れや仕組みはイメージできるかと思います。自分の作品ですが、一旦使用料を払うことになります。

●まだ管理団体(JASRACなど)に管理を委託していない作品を使用する場合
 この場合は『その作品を今後すぐに管理団体に委託するのかしないのか』で話が変わってくると思います。
すぐに委託をするならば上記の『既にJASRAC等の管理団体に作品を預けている場合』とほぼ同じ流れになるかと思います。

でもそうでないならば、違う流れを作ることができそうなのです。

それが今回のブログの焦点でもある、
『『著作権=管理団体(JASRAC etc)』の呪縛から解放されるとき』
という事になります。

結局今までのブログの流れを読んでも分かる通り、全て『管理団体』が中間に入る事でとても複雑な流れの仕組みになってしまっています。
もちろんどこで自分の作品が使われているかを全て自分で把握するのは難しいので、『管理団体』に作品を委託するのはとても理に適った仕組みとは思います。しかし、こと今回のようなケースでは余り効果的に作用していない、という現状があると思います。


では具体的にどのような事になるかを順を追って説明していきます。


ここから先は

6,251字

¥ 100

宜しければサポートお願い致します。いただいたサポートはポータルサイトの運営費用として大事に使わせていただきます。 https://music-online.kingstone-project.jp/