今や昔のまんが道

 藤子不二雄Aが世を去った。相方のFとの日々をつづった名作『まんが道』には、二人が原稿を落とし連載に穴をあけてしまい、そのページが真っ白になっている事を想像して戦慄するシーンがあるが、売れてきた二人はある時、現実に原稿を落とし連載に穴をあけてしまう。それを大先生がこう咎めた「君たちはね読者を裏切ったんだよ。わかっているのかい?」と。

 今から私が言いたいのは、この「読者を裏切る」という行為である。あの大先生は批判が許されないと言うおかしな特権を持っているが、どんなに売れても安易に休載したりましてや原稿を落としたりして連載に穴をあけるという事は決してしなかった。しかるに最近の漫画家はどうだろう?ちょっと売れてきたらすぐ休載を連発。漫画家は開き直るかダンマリを決め込み、編集部も必要な情報開示をしない。これを読者を裏切っていると言わずして何と言うのだろう?読者に向けて作品を描き続けた『まんが道』も今や昔となってしまった。

 編集部の中にはモーニングのように最初から漫画家を休ませながらやるという方針を掲げているところもあるが、ほとんどの編集部はそんな事はしない。ギリギリに言えばカワイイ方でその時になって休載させていただきますの一文を小さく小さく載せるだけ。その漫画を楽しみにしていた読者をバカにしているとしか思えない。だから休載を連発する漫画家とそれを容認する編集部に言いたい。「君たちはね読者を裏切っているんだよ。わかっているのかい?」と。『まんが道』を昔の作品で終わらせてはいけないと。特にまんがタイムきらら系雑誌に強く言いたい。

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