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階段を駆け上がる。 息が切れる。
「何笑ってるんですか」
自分から「さようなら」を言う時は、極めて淡々と聞こえるようにとトーンに気を付けたものだ。…
「あ、じゃこれ2つとお茶2つ。後、ビール2本ね。」
暗い通路を歩いていく。
言いながら、ちょっと緊張していた。
まもなく到着致しますと放送が流れた時は、まだ少し酔いが残っていた。 そんなに強い方ではないのに、新幹線にはなぜかビールが似合うと、口にした私。
「・・・私から?」 念押しするような調子になってしまった。
その時私は「逃げたい」と思った。
清水君が何を言っているのか、一瞬判らなかった。 けれど、聞き直すことはできなかった。
きっぱりした口調の清水君の言葉を聞いて、中川君が振り向いた。 私の表情を伺うように。
それでも、私から動くことはなかった。
そういう気持ちを意識したといっても、だからといって、何らかの行動を私が起こしたということ…
一瞬の沈黙があった。