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石巻ニューキネマパラダイス 第九回「蜃気楼の先にある劇場という不定形」

「石巻の中央一丁目で、もう一度劇場文化の灯をともしたい」という思いで始まったシアター・キネマティカプロジェクト。その日々の出来事をご紹介する「石巻ニューキネマパラダイス」も第9回を迎えたわけだが、このコラムを始めてから9か月も経過したという恐るべき事実に愕然としている。月並みだが時の流れはあまり早い。プロジェクトを始めたころ靄がかかっていた劇場の姿は、中々その先の姿を見せてはくれない。

しかし、時間流の航海は油断なく進んでいる。もしかしたらこのコラムを読んでいる方の中にはこう思っている方もいるのではないだろうか。「劇場、全然進んでいないじゃないか。この調子で8月にオープンするのか」と。

いやはや、不安にさせてしまい本当に申し訳ない。確かに現状の姿を見ると本当にオープンできるのかと心配してしまう気持ちはよく分かる。何故なら僕もとっても不安だし心配だから。

だがご安心を。確かに見た目はあまり変わってはいませんが改修の手筈は着々と進んでいるのだ。現在、業者の選定や見積り、改修時期は確定している。あとは工事に入っていただくことで劇的に進むので、今後の劇場の動きにご期待を。それでも、D.I.Yでやらなければならない工事や、イベントの準備も塵が積もって雲を抜けるほどに山積みなわけだが。

そんな、まだまだ不定形であることも魅力の「シアターキネマティカ」だが、今回は我々がロビーまたはホワイエと呼んでいる部分の、未来の姿を少しだけご紹介しよう。まず道路に面した正面入口から入ると、そこはカフェとしてのスペースが広がっている。カフェは2階部分ぶち抜きのため吹き抜けとなっていて開放的な空間となっており、いつも私か矢口さんが珈琲を入れているので、芳ばしい香りに包まれている。

そこではちょっとした軽食や、私と矢口さんの趣味全開の食べ物なんかもお楽しみいただける。店内には映画や演劇の雑誌、パンフレットやフリーペーパー等がたくさんあり、自由に劇場文化に触れることができる。当然Free wi-fiは完備しているので、学生たちも落ち着いて居場所にしてもらえるわけだ。

おっと、そろそろ映画が始まりますよ。チケットを購入された方はどうぞホールへご移動ください。そうでない方は引き続きごゆっくり。ですが、映画上映中はお静かにお願いいたしますね。それでは上映開始です、ごゆるりとお楽しみください。

なんてね。 阿部拓郎

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