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京都の音楽、僕らの10年。河原町VOXhall。

8/4(土)京都VOXhallでのワンマンライブを記念して、『キネマズ FLYER MAGAZINE vol.1』を制作しました。4/13(土)のライブ「ムジカムジナ」以降、京都を中心にライブハウス等で配布させていただきます(4/13以降は通販購入時にも封入します)。今回はその第二弾【宮下浩(キネマズ Vo,AG)×有堀誠(京都 VOXhall 店長)】フライヤーには載せきれなかった完全版です。(2019.4.6 ダイニングバー DEN-ENにて)


キネマズ / KINEMAS 2015年、ボーカル&ギター宮下浩を中心に結成。主に東京・名古屋・京都に在住の、総勢20名程のミュージシャン達によるポップス集団。日本とアジアで活動中。台湾・覚醒音樂祭-WAKE UP FESTIVAL 2016~2019出演。篠島フェス 2018出演。FUJI ROCK FESTIVAL 2018 オフィシャルラジオブースにてライブ出演、等。WEB/ Twitter/ Instagram / Facebook

京都 VOXhall 京都市内・河原町にあるライブハウス。WEB



宮下(以下 宮/写真右)僕と有堀さんが初めて出会った時って覚えてます?

有堀(以下 有/写真左) えっ、なんやった?なんやったかな?

 多分VOXhallなんですけど。初めての京都でのライブが京都MOJOだったんですよね。その時ステレオタイプが対バンで。

 せやせや。

 当時、多分2007年とか2008年とかなんですけど、あの頃って、僕は名古屋ですけど、他県のライブハウスに行くには地元のライブハウスの紹介状が必要だ、ということで紹介状をもらって・・・

 あったなあったな!病院みたいやな(笑)。

 大病院みたいな(笑)。地元のライブハウスのお墨付きが必要だ、みたいな。

 紹介状とか意味わからへんけど(笑)。あったね~。

 今はもうないんですか?紹介状文化。

 無いなぁ。でもツアー回る時に、バンドに他県のライブハウス紹介して、あとはそっちでやりとりして~みたいなのはある。だから入り口だけのマッチングはアテンドするかな。

 ライブハウス同士のパイプがあるんですよね。

 そうそう。

 例えば京都のバンドが神戸でライブしたいってなったら、ライブハウスを紹介して、あとは直接やりとりしてね、っていう。

 今は大体そんな感じやね。

 今もそういうことやってるんですか?

 俺自身はやってないなぁ。ブッカー(ブッキング担当)は、やってると思うけど。でも昔はようやったなぁ。

 その、紹介状文化で行ったんですよ、MOJOに。その時対バンがステレオタイプで、その後にタクちゃん(ステレオタイプ・ボーカル)が誘ってくれて、それがVOXだったんすよ。

 なんかステレオタイプのイベントとかじゃなかったっけ。

 そうそう。ロックトゥザフューチャー。

 せやせや、そんなんや。だっさい名前(笑)。

 その時森ちゅん(空中ループ・ベース)がサポートでギターでしたからね。

 佐藤さん(空中ループ・ドラム)も一回叩いた時あったよな。

 まあそんな頃からの付き合いで。僕も若かったっすけど、有堀さんも若かったですもんね。

 26,7くらいやで。

 20代(笑)。

 下手したら25くらいやで。nothingmanと、宮下君と出会ったの。

 当時は僕の中では、有堀さんVOXhallの店長だったんで。やっぱりまだ壁があったというか。そこから結構nothingmanも月一くらいでVOX出るようになって。それが2008、9年くらいの時かな。

 そうやね。そこから京都のコミュニティーが拡がっていったか。空中ループやったりMILKBARやったり。

 多分民やん(見放題)と出会ったのもVOXで。まだ見放題始めたばっかりか、始める前かくらいの。

 そうか。俺はDai-chang(見放題)やったからな。最初は。

 あ、そうだ。MILKBARがDai-changと仲良くて。

 一作だけ一緒にやったかな、Dai-changと。(※有堀さんは当時MILKBARのマネージャーをやってました。)

 Dai-changも亡くなってね。だから色んなことありましたね、この10年。

 いっぱいあった。当時は濃かったな~。

 あの時のバンドって覚えてます?

 nothingmanやろ?空中ループにMILKBAR、ステレオタイプとか・・・京都じゃないけど今でも繋がってるのは、国吉さん(国吉亜耶子and西川真吾Duo。現 Andare)とか。あとバーガー(井上ヤスオバーガー)とかもそうやもんな。バーガーとnothingmanが繋がったのもVOXhallよな確か。で、長岡京ソングラインとか。

 当時そういうエピソード結構あるんですけど(笑)、他人から聞いた話ですが、最初バーガーさんは俺のことあんまりイケ好かないと思ってたらしくて(笑)

 ほんまかそれ?(笑)

 あんまりピンと来ない、みたいな(笑)。当時バーガーさんもよくVOXにいて。最初あんまり・・・みたいな感じだったのが、何かのライブがきっかけで、ええやん、みたいな感じになったらしくて。そこから毎年ソングライン誘ってくれて。

 ソングラインもちょうど11年前くらいや、始めたのが。

 やってましたもんね当時、ステージの設営とか。

 やってたやってた。あとchoriや。choriがブッカーやったな。懐かしいな~。

 10年ですもんね。そうやって聞くとみんなしぶとく残ってますね(笑)。

 せやねん!俺がブッカーやってた時のバンドって結構残ってる。バンド名が変わってもやり続けてる人もいるし。てかあれやな、なんか名古屋みたいなバンドが増えてきた。

 名古屋みたいな?

 名古屋ってなんか当時は、宮下君もそうやけど、働きながら音楽やるってスタンスがあったやん。京都はあんまりなかってん。

 大学卒業したら音楽やめる、みたいな。

 それが、音楽との付き合い方が柔軟になったというのをすごい感じる。京都は。

 まあ時代ですかね。

 時代やな。売れる・売れないっていう一つのフィールドがあるやんか。メジャーデビューっていうカテゴリーがあるねんけど。別にそうじゃなくても音楽をやっていける環境ってあるじゃん、っていうのを気づいたんかな、みんな。

 働きながら音楽やってて・・・って、そういう時期があって。でもそれって全然無駄じゃなかったというか。考え方は人それぞれですけど、ある種アリとキリギリスじゃないすけど。

 はいはい。

 みんなが打ち上げ出て、翌日べろべろになって寝てる。みたいなところを、当時自分たちは、打ち上げは呑まずに出て、終わったら車で名古屋まで帰って、翌日は朝から仕事に行く、みたいな。そういうスタイルで堪えてたんで。逆に僕らが当時働いていたって思ってない人多くて。

 お~、そうなんか。確かにVOXhallの時あんまり呑まへんかったもんな当時。

 名古屋まで運転あるから。それが一回、弾き語りイベントがあって・・・

 あー!あったあった!

 弾き語りで遠征とか、VOXが初めてだったんじゃないかと思うんすけど。THE CAMPの伊藤とかの運転だったんで、そこで酒呑んで。

 ステージの前で打ち上げしてたやつな!

 あの時ちょっと羽目を外しすぎて(笑)。

 ミヤシー呑んだらこうなるんや!めっちゃおもろいやん!って。最高やった(笑)。

 あの時くらいから有堀さんとの距離が縮まったような気がしますね。

 かもせえへんな。



 今はどうなんすか?バンドって。

 今はちょっと違う仕事をしてるから、あんまりわかってないんだよな。

 今は学生のバンドがよく来てますもんね。

 今は俺はそっちがメインやから。大学生のイベントとか。で大学生のバンドの中で、大学の外でやるバンドを「外バン」っていうんやけど、外バンになったらブッカーに振ったりとかしてる。だから卒業して終わるバンドばっかりやな、今俺が関わってるのは。

 それはやっぱり寂しいものもありますね。

 寂しいな~。かと言って、学生って大体4年なんやけどさ、4年終わった後もOBとして遊びに来てくれた時はめっちゃうれしいな。

 バンドは一旦止めたけど、ライブハウスとかは好きで来てくれるとか。

 そうそう。

 それはすごくいいっすね。

 いまでも結構、22,3で就職して落ち着きだした時に、もう一回音楽やるやつも増えてきたけどね。

 それいいっすね。なんかバンドって、やればやるほどいいと思うんすよね。

 ほんまそうで。文化と一緒やと思うねん。生活と文化って密着してるなというか。生き方って、追求すると、しんどいけど面白味が生まれてくることっていっぱいあると思うねん。流される人生も一つやけども・・・流されればがんばらなくても生きていける。けど、しんどいけれど突き詰めたら面白いもの、って音楽も一緒で。コピーバンドでも全然いいんやけど、やって4年で終わるよりも、それ飛び越えて、難しさとしんどさから生まれる楽しさ、のほうが、わかる面白さってもんもあるやんか。

 そうっすね。

 そうそう。全部一緒な気がして。だから学生には、まあ音楽的な技術や知識ってもんはあんまり言わへんのやけども、楽しんでもらうフィールドは用意するから、っていう。昔はバンドに、僭越ながらアドバイスさせてもらったりとかしてたけどね。おせっかいやったかもしれへんけど。でもそうやって、そのバンドが良くなったりするのを見ると嬉しいし。

 昔はライブハウスって、どこもライブと反省会がセットでしたもんね。言う方も大変だったでしょうけど。でもそういう、一歩踏み込んだ感じでライブも見てくれてましたもんね。

 せやな~。結構今でもそれが生きてて。ブッキングって、いわばその日一日のメニューみたいなもんやんか。一日をディレクションして。お客さんがそのコースを楽しみたいか楽しみたくないか。そういうのを考えて。あとは一つ一つのコース内容を、僭越ながらアドバイスさせていただいたりするわけやんか。今も大学生やったら、例えば定期演奏会をしたいです、と。で、ライブハウスっていっぱいあるやん。京都の中で。どこでやるか?ってのは彼らが選ぶわけやんか。そこでVOXhallを選んでくれた時って・・・学生って意外とこう、自分たちの文化ってあって。先輩たちに教えられたからこう、っていう。実は俺そういう文化をめっちゃ無くしたくて。

 お~。

 自分たちはほんまは何がしたいの?ってなった時に、「こういうイベントにしたいです。」「だったらこうしようよ。」みたいな。ブッキングの時代にディレクションしたノウハウを今に活かせてるから。だから有堀さんとやりたいって言ってくれてるし。

 温度持って接してくれてるなってのが伝わってるかもしれないですね。

 そやな。温度を持っていきたいな。ライブハウスの中には、バチバチビジネスライクでやってる人もいるけど、確かにビジネスはビジネスやねんけども。でも俺打ち上げも行くねん普通に。学生の。

 まじすか(笑)。

 普通に行く。逆に今呼ばれるようになったもん。有堀さん打ち上げ来るんすか?って。あー行く行く、って。

 そういう人他にもいるんでしょうけど、でも減ったかもしれないっすね。

 減った減った。だって学生からすると一回り以上も上のおっさんを打ち上げ会場に呼ぶっていう、当時じゃ考えられへんことやからな。

 それはそうですね~。

 今でも学生たちとイッキ勝負とかするもん。

 超怖いっすね(笑)。

 超怖いよ(笑)。俺の前に10人くらい並ぶよ。

 鉄砲玉みたいなやつらが(笑)。

 やばいよ絵面が(笑)。

 でもそうやって、相撲とってくれるような感じとかもいいのかもしんない。

 一番は、同じ目線になってあげること。当時からも思ってたし。偉そうじゃなくて、第三者の目線で、ちょっと俯瞰的なポイントからってのもあったし。特にVOXhallって会場の形状が独特やからさ。そういった意味でもパフォーマンスの仕方ってのも変わってくると思うし。

 階段で独特ですもんね。

 せやねんな。

 僕らは今みんな30半ばなんですけど、20代の前半からVOXhallに出てて。でずっと音楽を続けて来て、物の考え方がだいぶシンプルになってきたというか。

 わかるわ~。当時は足し算が多かったけど、今は引き算も覚えたというか。

 余裕、とは違うんですけど、そういう足し引きができるようになって今思うのは・・・当然10年前よりも今のほうが実力があるじゃないすか。

 まぁせやな。

 それでできることがすごく増えて来て。世間の評価にあまり左右されない部分で。

 めっちゃいいよねそれ。

 毎年海外に行ってライブして。自分が20代の時は、東京行ったり大阪行ったりして闘ってきたあの時の気持ちを、今は海外に目を向けてやってみよう、と。新しい価値観に触れて。だから、今は無言のアドバイスを受けるわけですよね俺たち。海外で。

 せやろな。文化も違うしな。

 いっぱい良いことも悪いこともあって。そういうのを経験しながら、自分たちを形作っていこうとした時に、去年のバーベキューの時に・・・。

 あれいつやろうな?去年(2018年)の秋くらいか。

 αステーション(京都のラジオ局)の杉本さんが誘ってくれて。有堀さんも来てて。その時くらいに思ってたんすけど、僕住まい名古屋なんすけど毎週のように京都来てて。

 (笑)

 京都にメンバーもいるんで。京都めっちゃ好きだし。nothingmanの時も京都通ってたし、キネマズでもこうやって京都来てて。

 より深くなったよな。

 すごく縁あるなこの土地、って思って。こうやって海外行って培ってきたものを、もう一回今の自分たちの形で、より多くの人に見てもらいたい、とか。京都在住のメンバーもいるから、実際にホームグラウンドでもあって。もう一度原点である京都で、自分たちの今やってることを爆音で鳴らして。とにかく沢山の人に知ってもらいたい、と思った時に、昼間のフリーライブってどうかな?と思って。

 全然いいよ。俺も酔っぱらってたけど、全然いいよって思ったし。

 20代の時の、のし上がっていくぞ!っていうギラギラ感あったじゃないすか。変な話、当時より持ってんすよ。今のほうが。

 いいね~。

 今のほうがもっと自分に我儘になれるというか。

 いいと思う。それ絶対準備が上手になったからやで。そこから余裕とかが生まれたというか。俺も正直、当時より欲深いもん。だから全社員に向けて俺、欲深くなれって言ってんねん。そこから生まれてくるバイタリティとか絶対あるから。海外も行ってみたら行けたわけやん。だからやったらやれるねん、絶対に。

 色んなことに気づかせてくれますよね、音楽が。

 俺もそう。

 バンドというものを中心に置いて。だからあんまり普通の旅行って興味なくて、そんなに。音楽に絡めて、何かやれるんじゃないか?っていうのがずっと頭の中にあって。

 それいい。

 正直今、めっちゃいい時代じゃないすか。

 そう。なんでもトライできるし。なんでも情報摂取できる環境でもあるし。

 やっぱり怯えずに、やりたいことをなんでもやっていくほうがね。

 やりたかったら絶対やるべき。

 それで俺たちの中では、8月4日のワンマンってのが、一つ大きいんですよね。まず知ってほしいと。



 俺も、もっとキネマズとか宮下君のこと知ってもらったらすごくスピードはやくなると思うねんな。

 ライブハウスによく出てた時って、ライブハウスのスケジュールとかによく名前出るじゃないすか。今、ちょっと独自の活動になっちゃってるからあんまりそれがなくて。だからこれからそれもまたやっていこうと。あとは現場で見せるしかないから。

 そうやな。でも当時よりは絶対ショートカットもできると思うしな。

 20代の時のガムシャラさも持ちつつも、その時培ってきた人との繋がりとかもあるから、で更に当時よりも自分たちのことを上手にできるはずなんで。ちょうどこれらを、8月4日に向けてかみ合わせて。旗を立てるような気持ちなんですよね。

 キネマズないし宮下君は、ソフトやと思うねん。で、俺らライブハウスはハードやと思うねん。ソフトのデメリットはハードを持ってないこと、ハードのデメリットはソフトが無いことやねんけど、それが一つになったらメリットしかないから。だから今度のワンマンみたいに、みんなどんどん俺を使ったらいいし。

 ありがとうございます!それでどんどん場が拡がっていけば、僕らもお客さんもより楽しんでいけますもんね。

 お客さんも、スマホとかネットから得られる情報にも飽きだしてると思うから。疑似体験だけじゃなくて実体験がこれからは発展してくるから。ちゃんとリアルで満足できるだけの情報を発信してくれたら、それだけでいいと思う。

 ますます8月楽しみですね。

 その後の日本酒イベントも俺行くつもりやねん。

 その日の夜はアイジーで日本酒イベントもあるんでね(笑)。

 俺、日本酒飲めへんけど(笑)。





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