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ザ・ブルード 怒りのメタファー(1979)


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好きな監督、クローネンバーグ監督作品です。

夫婦間や親子間の亀裂というテーマとともに、驚愕の科学実験が生んだ凄惨な恐怖を描いたデビッド・クローネンバーグ監督のホラー。幼少期に受けた虐待が原因で神経症を患うノラは医師ラグランの診療施設に入院する。しかしノラの夫フランクは彼女を隔離し面会させないラグランに不信感をいだく。一方、ラグランは人間の怒りを実体化する実験を行なっていた。その間にフランクの周りでは殺人事件が起こりノラとフランクの娘キャンディスにも危険が迫っていた。  映画.com

今住んでいる近くにTSUTAYAとかDVDレンタルとかのお店がないので、配信されてるのは本当にありがたいです。


この作品を撮っていた頃、クローネンバーグ監督は元妻との親権争いが大変な時期だったらしくその影響が反映されているようです(^_^;)


さてお話はオジサン2人の会話から始まります。

精神科医ラグランと患者。

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1人は責め立て、1人は追いつめられ、追いつめられていた患者の身体にはブツブツとした出来物が。

これは『サイコ・プラズミック』と言う治療法で負の感情、怒り、憎しみなどを肉体的に表出させることでその感情から起因する症状を改善させるとか何とか…。

なのでカウンセリングしていくうちにどんどん吹き出物とか出来ちゃうみたい。

そのカウンセリングみたいなのは嫌な感情を再現させるように話していく感じで、しっかり感情を出させてます。


で、その精神科医に妻を預けているフランク。

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自分とは妻と面会させなかったり、妻に娘を面会させたら娘に痣が出来ていたりして不信感しかない。

フランクの妻ノラ。 様々な怒りがとんでもない事態を起こしていく。

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ある日娘を面会させ帰宅すると娘の背中が痣だらけになっていることに気づいたフランク。

ラグランに不信感を募らせたフランクは、直接抗議しますが相手にされずノラの両親も巻き込んでの騒ぎになっていきます。


怒りのメタファーとあるぐらいですから、具現化された怒りが現実に形となって出て行きます。




*ここからネタバレ含みます。



冒頭のオジサンは吹き出物でしたが、フランクの妻ノラは怒りが尋常じゃなかったのか、とんでもない怒りの具現化を起こしてしまいます!









ジュディオングの『魅せられて』をバックに。







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何と!!

ノラは体外に子宮らしきものがせり出し、そこから自身の怒りの化身を産み出していたんです…。

この子達!

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子供みたいな老人みたいな…。

ノラが怒ればその対象を撲殺する…。

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顔も不気味。


ラグランはこの子達のことを知っていましたが、危機を感じた頃には、もはやラグランにも手の付けようのない状態になっていました…。


不気味なコドモ達(ノラ)にさらわれた娘を救うべくフランクはラグランと協力する事に。

ノラに仲直りを持ちかけ落ち着かせてる間に娘をラグランが救うはずでしたが、変わり果てたノラの姿に動揺してあえなく失敗!


ノラは怒り、不気味なコドモ達も暴れはじめ娘にもいよいよ危険な状況に。


フランクの決断で娘は助かるも娘キャンディスへの嫌な予感だけを残して終わっていきます…。


怒りの具現化。

女性の怒りの方が凶暴でグロテスクなのは納得出来てしまう気がします(^_^;)

日本ならではの幽霊や怨念もだいたいは女性。

どこかの女神様は破壊と再生を司っているとか。


クローネンバーグ監督のプライベートな影響はあれど、とても面白い作品です。


これもどうにも男性主人公が救われないような…(^_^;)


余談ですが、以前【バッド・マイロ】という映画を観たんですが、【ザ・ブルード】のパロディな感じだったのかな~って思い出しました。

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平凡なサラリーマンの腸にストレスのためにできた腫瘍がモンスターとなり、尻から出現してストレスの原因となる相手を殺害するという奇想天外な設定。

こちらはコメディなので、面白おかしく楽しめると思います。

キャラクターもキモカワイイと話題でした。

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私は短気な方なので吹き出物からモンスターが出てこないように怒らないようにしたいと思います(・ω・)



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