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ハイパーカジュアル市場のベンチマークレポート2020年上半期(Tenjin)

ハイパーカジュアルにおいて特に使われているモバイルトラッキングパートナーの一つであるTenjinから2020年上半期のハイパーカジュアルゲーム市場のベンチマークレポートがリリースされています。Tenjinの田口さんに許可を頂き、その資料からいくつかデータを抜粋してご紹介いたします。

国別CPIの中央値

iOS:アメリカ、日本ともに$0.73
Android:アメリカで$0.50、日本で$0.41

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ハイパーカジュアルにおいてメインの収益源となる国はアメリカ、日本、イギリスの3カ国+iOSでの中国です。アメリカ、日本においては獲得したユーザーの広告視聴による収益単価も高いため、1ユーザー獲得にかけるコスト(CPI)も他の国と比べて高い傾向にあります。
そして、特にiOSにおいてはCPIが高くなりつつあるという市況感のようです。
あくまでも中央値であり、ゲームによってCPI、LTV、そして採算ラインがいくらかというのは前後しますが、これくらいのCPIで出稿したとしても採算があうLTVが出ているかどうかで、いざ本格的に広告出稿というタイミングでどれくらいの規模で広告出稿ができるかも変わるため、参考値として認識しておくことも必要といえます。

広告ネットワーク別の広告出稿額

iOS:AppLovin, Mintegral, ironSource, Facebook, Unity Ads
Android:AppLovin, Google Ads, ironSource, Unity Ads, Facebook

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両プラットフォームにおいてAppLovinが1位であることと、ironSourceが3位であることが特筆すべき点といえます。AppLovinはハイパーカジュアル特化の開発スタジオであるLion Studiosを、ironSourceはSupersonicをグループ会社に持つことで、それらのスタジオからリリースされるタイトル向けに自社の広告ネットワークもフル活用できることもこのハイパーカジュアル市場での広告出稿額でリードする一因といえるかもしれません。

広告ネットワーク別のIPM(1,000 Impあたりのインストール数)

iOS:Unity Ads, ironSource, Vungle, Tapjoy, Facebook
Android:Unity Ads, ironSource, Tapjoy, Vungle, Facebook

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IPM(Installs Per Mille)は1,000 Impあたりのインストール数を表す指標であり、ハイパーカジュアル市場で特に用いられる広告出稿時の指標の一つです。IPMが高い=CVRが高い、ということです。概念的にはCVRと同様ともいえますが、IPMが高い ≒ (他の広告との相対で)広告出稿時の競争力が高い ≒ 広告出稿においてImpが出やすい(同じ出稿単価だったとしてもImpが多く出やすい)という意味合いを持つ指標です。広告出稿用の動画の良し悪しや、ストアのアプリ紹介ページの要素を変更した際の良し悪しを判断する際にIPMを見ることが多いです。

なお、広告ネットワークごとにどういう掲載面に広告が表示されているかは異なるため、広告ネットワーク間でのIPMの比較はあまり意味を持たないともいえます。例えばフルスクリーンで表示される動画広告と、Instagramのタイムラインで表示される動画では、同じ1 Impだとしても条件は異なる、という話です。また、広告視聴の認識がされやすい掲載面での表示割合が多かったり、広告掲載面に占めるハイパーカジュアルゲームの割合が多かったりするとIPMが高めに出たりします。あくまでも各広告ネットワークにおいてのベンチマークとなるIPMということで捉えるのが適切な指標といえます。

広告ネットワーク別の収益額

iOS:Google AdMob, Unity Ads, Facebook, ironSource, AppLovin
Android:Google AdMob, Unity Ads, Facebook, AppLovin, ironSource

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AdMob、Unity Ads、Facebookが両プラットフォームでのTop3になっています。ハイパーカジュアルゲームのマネタイズにおいては、AppLovinのMAX、ironSource、TwitterのMoPubなどのメディエーションサービスを利用しながら、それらに連携する複数の広告ネットワークを併用するというのが一般的です。そしてどの広告ネットワークからの収益額が多いのかというのがこのデータです。広告ネットワーク別の収益額を算出した際に、このランキングと相違がある状況がある場合、その広告ネットワークのインスタンス設定(設定しているフロア数、eCPMフロア)などの利用状況を見直してみる、といった活用の参考にしうるデータといえます。

レポート全データは下記のページからダウンロードが可能ですので、ぜひご参照ください。
Hyper-Casual Benchmark Report H1 2020


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