なぜ 発熱外来は必要数まで 増えないのか?
なぜ 今回 発熱外来は必要な数 増えないのか?
コロナウィルス感染症が5類に引き下げられ、以前の様に毎日報道さえなくなったが、医療機関の定点観察は続けられている。
その数値を見ると、一昨年の11月水準まで、コロナウィスルの患者数(陽性判明者)が、年明け急増している。発熱外来に電話をしても、受付開始後すぐに、その日の予約分が埋まってしまうのだそうだ。
第10派だそうだ。
コロナ第10波で入院患者が急増 40~50代が肺炎に至るケースも増加中(女性自身) - Yahoo!ニュース
これだけ患者が増えているのに、感染症を見てくれる病院が増えていないのはなぜだろうか?
その理由の一つとして、厚生労働省の指針「新型コロナウイルス感染症に関する特例措置」が昨年10月1日より改定となり、医療報酬が大幅に引き下げられたことにあるようだ。
新型コロナウイルス感染症に関する特例措置について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
9月30日までは、一般病院 発熱外来の場合、
「インフルエンザの可能性もあるので、併せて検査しましょう!」と言われて、
・初診料(初診の場合) 270点
・感染症免疫学的検査 150点
・検体検査判断料 144点
・休日加算(休日の場合) 250点
・時間外緊急院内検査加算(時間外の場合) 110点
・検体検査管理加算 40点
・処方箋料 68点
加えて、コロナの検査をすれば、
・「院内感染対策を実施」 147点
陽性ならば、
・「コロナ患者への療養指導」147点
※新薬のロナプリーブを投与れば、×3倍の特例付き
しかも、
・患者の入院調整 950点
これで、患者が殺到し、1日に50~100人も診察すれば、・・・・。
10月1日以降は、コロナによる加算は、
・「院内感染対策を実施」 50点
・患者の入院調整 100点 となってしまいました。
さあ、入院病床を持たない開業医はどう考えるでしょうか?
防護服、手袋、バイザーの準備、着替え、消毒
発熱外来の予約管理 等のコロナ対策を考えると割が合うでしょうか?
また、発熱外来の新患を受け入れても、快復後、必ずしもその病院のかかりつけになってくれるとは限りません。
患者の多くは急に発熱し、病院で、コロナやインフルエンザの検査を受けないと職場や学校に来られても困るといわれて、渋々通院している患者です。かかりつけ医がなく、発熱しても、すぐに診てもらえません。
日頃から、健康に気をつけて、定期的に通院してくれそうな患者になりそうもありません。
それなら、発熱の新患を多く受け入れて、これまで、定期的に通院していただいている患者の感染をさけるため、導線を分けたり、診療時間を区切ったりすることになる「発熱外来」を積極的に設置する経済的なメリットは開業医にはあまりありません。
これまで、定期的に、きちんと通院してくれて、指示した薬をきちんと飲んで、病状を長期に安定させてくれる「良い患者」を大切に考え、いままでどおり、十分な問診時間を確保したり、できるだけ、融通のきく診療時間を維持しておいた方が良いと思うはずです。
同じようなことが、飲食店でも良く起こります。
「取材お断り!」のお店が一定数あるのも同じ理由です。
固定客がいて、きちんと一定の売上げを安定的に得られている飲食店は、マスコミの取材やネットへの掲載を嫌がります。
一時的に話題になり、客足が増えても、急増する客にはすぐには対応できません。材料、厨房施設やスタッフはすぐには増やせません。
大量の客をさばけずに、料理やサービスが一時的に品質が低下するかもしれません。そんなときに、馴染みの客が来て、「この店 最近味落ちたね!」「サービス悪くなったね!」と思われると、客足が離れます。そして戻ってきません。また、一時的なブームに便乗した客も、一度目はわざわざ遠くから足を運んでも、次もまた来てくれるとは限りません。
結果として、一時のブームが去ると、客足が減り、店が傾く結果となるということです。
開業医として、長年地域の医療に貢献し、信頼を得て、高齢化し、あまり急変をしない安定した症状の患者を多く、安定的に抱えている開業医は、敢えて、発熱外来を開設しようとしないのはそんな理由です。
さあ、コロナの第10波、適切な医療がなされずに、増悪する患者さんが増えないことを望みます。厚生労働省には、緊急事態に備えて、臨機応変な、診療報酬の運用をお願いしたい!
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