カリカリカリ!
食事の時間になるといつも
ひざには愛犬がひょこりと顔をだして
「それなぁに?おいしいの?」と
いうております。
わが家の愛犬は若いころから病気がちで
毎朝晩の内服薬が欠かせず、
医療用ドッグフードも先生と量を相談して
グラム単位できっちり計って食べさせています。
サプリメントも飲んでいる箱入りワンコです。
そんな彼なので
「ちょっとだけね。」と
あげられるのはりんごやいちご、ブロッコリーやさつまいもなどの選ばれし青果をほんの少し、
それとちゅ~るはご褒美のときに一本だけ。
よく「それなぁに?」とキュルンキュルンの
お目々で見つめられるので、わたしはつい食べさせてあげたくなってしまいます。
そんな時は鼻先にお菓子を出し、せめてニオイをシェアしてあげようとするのです。
ククククククン!!
鼻をふがふがとさせながら一生懸命ニオイを
吸いこんでから、申し訳なさそうにアムっと
食べようとした瞬間に引っこめるんです。
ニオイだけでもあげたい気持ちで
やっていましたが、
「かわいそうなことせんとき!」と
母や妹に叱られていました。
うん。かわいそうかもしれないよ。
でもニオイだけでも嗅ぎたいかもしれないやん。
それはこのコにしかわからない。でしょ?
その日わたしはお菓子をたべていました。
シンプルな塩味のお米のソフト煎。
例のごとくキュルンキュルンがやってきました。
「ふふふ、きたきた。かわいいやつめ。」
パキッと小さく割ったソフト煎をいつものように
鼻先に差し出しました。
「ギャプッ!カリカリカリカリカリ…」
「どぅわーーーっ!」
なぜだっ!
いつもはククククククン!!と
必ず確認しているやんかー!
「なにしとんや!」
「だ、だ、だって。いつもはちゃんと
ニオイ嗅いでからアムってするもん!」
「はあ!?」
母と妹は飽きれ顔、
わたしは狐につままれた顔をしていました。
わたしの場合、「犬に」でしたけど。
それにしてもいい音たてて噛んだな。
お煎餅のCMできるよ。
わたしはいつものタイミングで
いつものスキンシップを図っていたつもり
だったのに、彼はここぞ!を
虎視眈々と狙っていたのかもしれません。
キュルンキュルンのお目々して、
「こいつ油断しとるな」と思われてたのか。
つらい…。
そうだ、忘れていた!
このコ、アメリカンコッカースパニエルが
元猟犬だったということを!
あまりの事で体裁が悪く、
家族にも素直に謝りました。
原料が米などだったので、大事に至りませんでしたが、犬にとってタブーな食べ物だったらと思うとゾッとしました。
ワンコにも「ごめんね。」って
両手で包んだ顔をじっと見ました。
ペロペロッと舌で口のまわりを舐めながら
キラッキラのうれしいお目々をしていました。
「おいしいねぇ!」といっていました。
はぁ、負けた。わたしの完敗だよ。
このコに出会った日からわたしはずっと
負けてる。可愛さにやられてる。好きすぎる。
今後もわたしはこのコの可愛さに
ずっと負け続ける事でしょう。
それでいいんだ。
だからもうこんな風な誤食は
絶対させないように気をつけるよ。
ごめんね、ほんとにごめん。
すこしでも健やかに過ごしてほしいから。
キラッキラのお目々でずっとずっと
見つめてほしいから。
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