常世の国から⑪
「よっぱらいとぶす」
怖い話がつづいたので、おじさんの話しでもしましょう。
言っておきますが僕の話しは作り話や盛ってもいません。
日常です。
家内も、周りの僕のことを知っている人は、それほど深刻なことだとは思ってませんが、どこかで畏怖していることを知ってます。
でもそんなこと、あるはずないと思っていることと、僕がジョーク好きでアホなことばかりいってるからだと思います。
では電車の中で起こったおじさんの話しをします。
ある日……あっ。おじさんの話しは電車の中が多いです。
夜遅くなり、いつもは乗ってない電車に乗ったときです。
新宿駅で人がどっと乗ってきました。
「ちょっとぉ酒くさい。」「酔っ払い」「あっちに行けよ」
若い女の子の声が車内に響きました。
見ると女の子が騒いでいます。
「信じらんない」「なによサイティ‼︎」「バカじゃない」
さすがにおじさんも言い返した。
「うるせぇブス」
これで精一杯だ。
「酒くさいヤツは降りろよ」「酔って電車に乗るなよ」
女の子の攻撃は止まらない。言いたい放題だ。口も悪い。
だんだん女の子にムカついてきました。
この時間は呑んでいる人が多い。そこまで言われる筋合いはない。
おじさんは酔っ払いの代表として犠牲になったのだ。
しかし女の子の攻撃は止まらない。
周りの人も僕と同調していると感じた。
おじさん……。
……でもどうすることもできない。
そのときだった。
おじさんが言い返した。
「う、うるせぇブス‼︎」
「酔っ払いは明日になれば治るが、ブスは明日になっても治んねぇんだよ‼︎」
おおおおおおお…‼︎
周りの人の顔を見ると明らかにみんなニヤついている。
まるで落語かコントのようだった……。
でもこれはリアル。
池袋あたりでおじさんも女の子も降りて行った。
おじさんの勝ちーーー。
ひのたろう
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