メッセージの齟齬について。日記。

 特定の界隈の出来事なので詳しく追いかける事もしなかったが、最近ポケカの値動きが激しかったらしい。原因はポケカの偽物が出回った事に拠るようで暴落の一途だそうだ。

 そのニュース記事のコメント欄には「転売ヤーざまあ」「良貨が悪貨を駆逐した」等々の思弁が並び、中でも興味深い上に典型だと思われたのが「この混乱が治まったら正常に戻る」という考え方だった。

 一見この考えは至極当然だが、転売憎しの観点から見えているであろう希望は叶うとも思えない。何故なら私が仮に転売をしていたとすると、辞めるという選択肢よりも「少し待っていれば誰かが苦労して鑑定をしてくれるのみならず、また市場がリセットされて開かれる。そうすればバブルのようにレアカードの暴騰暴落を繰り返せるのでありがたい」と考えるだろうからだ。

 このようにメッセージは常に最良の受信が行われるとは限らない。また、企業が一向に転売ヤー排斥に動かないのは当然の事で、転売ヤーとて金を払って買っているのだから受注生産をするにしてもその体勢構築の費用対効果を考えればギリギリまで遅らせたほうが利潤最大化に適うと判断するだろう。劣化はするものの食料のような消費の頻度を持たない物ならなおさら。

 似た光景は丁度給付金が国から配られた時にも起こっている。ペーパーカンパニーを作って助成金を貰ったり、商売の売上を書面上で工夫してみたりするのは人間の精神が性悪説に基づくからというよりは、熱意の差によって視点は一変するという事だろう。

 因みにポケカがここまで高価になった要因は極めて浅く検索したところ、コレクターの存在が大きいとあった。転売の悪質たる所以の一例に物流を損なうというものが有ったが、子供が買えない状況は転売屋が駆逐されたとしても経済格差に紐付いて残り続け、ニュース記事にならなければ見向きもされなくなるだろう。骨董品に凝ったと思えば然程珍しくもない話だ。

 カードゲームの大会なんかに影響が出たら直ちに企業も動くだろうが、市場の洗浄に出るか鑑定に力を入れるだけかは分からない。最良なメッセージが発されるという保証は今までもこれからもどの分野でもあり得ないだろう。

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