営農型太陽光(ソーラーシェアリング)の問題点2

前回、営農型太陽光(ソーラーシェアリング)がその根拠となる法令である農地法との整合性を欠く点について触れました。営農型太陽光は反収を規制しており、経済活動に介入する制度であること、その罰則として設備の撤去があることを挙げました。

今回はこの制度を公共の福祉という観点から考えたいと思います。

私有財産の認められる日本で、なぜ農地法の規制が認められているか、というのは農地法最初に知った時の私の、素朴な疑問でした。

調べてみると、日本では確かに私有財産が認められている。これは憲法29条の財産権で規定されています。しかしこの憲法では公共の福祉という制限が加わっています。したがって、公共の福祉に適合する限りで、財産権の制限が認められています。これが農地法が許容される根拠になっています。

実際に、農地法第1条の内容は次のようになっています。
「この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。」

つまり、農地を自由に売ったり貸したりできないのは、「食糧の安定供給の確保」という公共の福祉基準からのものです。

話を営農型太陽光(ソーラーシェアリング)に戻しましょう。このように、公共の福祉基準から農地法が許容されてきた背景を考えると、営農型太陽光(ソーラーシェアリング)もそのような農地法と整合的であることは当然求められます。

しかし、営農型太陽光(ソーラーシェアリング)では、反収を規制しています。このことは、農作業の強制を含意します。特例として太陽光の設置を認めているから、という条件をつけたとしても、それを理由に、農作業の強制や農業生産高を強制して良いのでしょうか。当然、そのようなことは認められないはずです。



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