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"放牧"をすることは本当に環境に良いのか、もう一度考え直してみませんか?

おばんです!まさです。
 僕は放牧をすることが環境保全に繋がると思い込んでいました。しかし、本当に環境保全となっているのか、もう一度考えてみると、様々な障壁となりうる問題点に気づき、これでは駄目だと思ったので、自信を持って"放牧は環境に良いんだ"!と言えるように、ここで理解を深めていこうと思います。

1, あなたにとっての放牧は何か。

 皆さんは放牧をしたいと思う理由は何でしょうか?放牧のメリットとデメリットは、それぞれの農家の経営方針によって答えは変わってくると、僕は思います。高齢化や農家戸数の減少により、荒廃地が増加しているため、その土地の景観保持の為に放牧がしたいと言う人もいれば、牛が牛らしく生きて欲しいんだと言った、アニマルフェルフェア思考重視の農家、経費や労働時間を減らしたいからと言った農家などなど。その農家にとっての最優先事項によって、同じ放牧をしていても、放牧をする理由は千差万別なのだと思います。

2, 放牧をすることは、必ずしも環境に良いとは限らない!?

 放牧をすることが本当に良いのか??と僕が悩んだ最近の問題点と僕なりの答えを3つ紹介させて頂きます。

  1. 牛を山に放つことは本当に環境保全なのか?
    山は山のままで、"人が手をつけない"それこそが本当の自然ではないのか?

  2. 海外産の牧草を撒くこと、つまり外来種である牧草を撒くことは、日本の生態系に悪影響を及ぼす危険性があるのではないか?

  3. 結局、海外産の牧草種子を買っていたら、海外から飼料を買っていることと同じじゃないか?飼料自給率を上げて、環境に配慮した畜産経営がしたいのに、何の解決策にもなっていないじゃないか?

 皆さんはこれらの疑問にどの様に答えますでしょうか?私が導き出した私なりの答えを見る前に是非考えてみて欲しいのです。

3, 僕が僕なりに導き出した放牧の答え。

 では上述した問いも含め、僕なりの"放牧をすることが本当に環境に良いか"という点について述べて行きます。

 まず、環境には2種類あり原生自然二次的自然と呼ばれます。人が手をつけていない自然が原生自然であり、人が手をつけた自然が二次的自然となります。
 原生自然には、群馬や福島県にまたがる尾瀬国立公園や、沖縄のやんばる、青森県の白神山地などがあります。

尾瀬国立公園
やんばる
白神山地

 また、二次的自然には水田、畑、ため池、雑木林、牧草地、花壇、公園の緑等、私たちが普段見る多くのものが二次的自然です。国土の80%もの面積を、この二次的自然が占めており、その面積の広さから、二次的自然の重要性も理解することができると思います。

棚田
草地

 二次的自然が管理されなくなれば、植生遷移により森林化が進行します。
(植生遷移とは、時間の経過により、裸地の状態から地衣類→草原→広葉樹→針葉樹と変化いくことを意味します)

植生遷移

 現在は、少子高齢化や農家の担い手不足に起因して、耕作放棄地が年々増加してきており、二次的自然の森林化が深刻な問題となってきました。
植生遷移が進行すれば、優勢な数種の針葉樹だけの山となり、生物多様性は激減すると推測されています。これを、偏向遷移と言います。

 つまり、生物多様性という尺度で見た時に、二次的自然も大切と言うことです。また、原生自然と二次的自然どちらかが大切と言うわけでは無く、どちらもバランス良くあると言うことが、生物多様性を守る上で大切なのだと思います。

 以上が1の問いに対する僕の答えです。


続いて、牧草についてです。
 多くの牧草は海外産であり、産業管理外来種と定められています。これらの牧草は現在の畜産業を維持していく為には、欠かせないものであると認識しています。まず在来種である栄養価の高い牧草の改良が進んでいないこと、在来種であるシバの利用をしても、高い栄養要求率を要する泌乳牛や、高い増体を示す育成牛に充分な栄養を供給することが難しいと考えます。

「産業管理外来種:産業又は公益的役割において重要で代替性がないもの。そのうえで、適切な管理が必要な産業上重要な外来種」と定義付けされており、利用にあたっては、結実した種子の飛散等を防ぐため、適切な管理(種子結実前の刈り取り等)が必要と考えています。
 その為、放牧地面積と牛の頭数のバランスを合わせ、放牧圧を適切にして管理することが最も大切だと解釈しています。

 以上が2,3の問いに対する僕の答えとなります。

 以上から、放牧をすることが環境に良いんだ!と自信を持って言えるのではないでしょうか。
 僕の放牧をしたい1番の理由は、放牧をすることで、二次的自然や生物多様性を守り、またそれらが、食料自給率を上げて環境に配慮した持続的な畜産経営に繋がると思っているためです。
和牛農家として、また山守として、自然と畜産が調和、共生した放牧地の造成をしていきたいと思います!

他に意見等があれば是非教えて下さい!
ではまた!

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