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絶対儲かる話はないのです(専門的な話ですみません)

突然、今までの話と無関係な話ですみません。
お金儲けの話なので、興味ない方はスルーしてください。

投資商品の一つに「リピート系自動売買」というものがあり、

「何もしなくても、リピート系自動売買で毎月定期収入が入る!」
という触れ込みの為替取引があります。
 
「あっきん」さん、という、リピート系自動売買をしていた方が、「4000万円余りを失った」とXに書いてありまして。

「やはりそうなったか」と感じました。

ご本人のXには「リピート系自動売買だから駄目とかじゃない」と記載がありますが、
これは「リピート系自動売買だから駄目」なんです。

それを今から証明します。

【最初に:為替リピート系自動売買とは】

A. 為替が1ドル150円から1ドル151円のように「円安になったら、円高方向に注文を入れます」
B. 為替が1ドル150円から1ドル149円のように「円高になったら、円安方向に注文を入れます」

すると!為替は行ったり来たりするので、
A+B「円安になったら、円高方向に注文を入れ、円高になったら、円安方向に注文を入れる」ことによって、その値幅が利益になります。
B+A「円高になったら、円安方向に注文を入れ、円安になったら、円高方向に注文を入れる」ことによって、その値幅が利益になります。

どっちにしても儲けがチャリンチャリン出る!

という仕組みです。

ここには間違いが一言あります。気が付きました?

“為替は行ったり来たりする”です!

つまり、先週のように史上最安値などを更新すると、円安になったからという理由で円高方向への注文がどんどん積み上がり、円高方向にならないままに証拠金が不足し、破綻します。
あっきんさんは「円買い ユーロ売り」が巨大に積みあがって4000万円余りを失いました。

ではこれを回避するにはどうすればよかったのでしょう。
「上がったり下がったりする範囲を狭くする」「損を積み上げる前に清算する」
など考えられますが、2つの論点があります。
(金利差によるスワップというものも大きな要素なのですが、そこは論点をシンプルにするために割愛します)

1)この為替取引業者はシステムも人件費もかかっているので、どこからそのお金が出てくるか、です。
→「システム系自動売買」の会社は「為替の売りと買いの値幅を作って、その差益」でシステムと人件費をねん出します。

→つまり、「タダより高いものはない」、為替取引業者は手数料名目では費用を徴収しませんが、円高・円安になるリスクは全て顧客に取らせて、取引する毎に差益を手にできます。
「胴元は損しない=顧客はその分負担している」です。

2)為替がある一定の方向に進んだとき、それが「①戻ってくる値動き」と「②戻ってこない値動き」の2パターンあるということです。
①であればシステム系自動売買は、手数料を差し引いても顧客は利益を得ます。
②であれば顧客は破産します。

当たり前ですが、値が動いた時にそれが①か②かは分かりません。
専門家が分析したら分かる、というものでもなく、「事後に」分かりまして、それは「確率論」で計算でき、その許容度は人それぞれ(元手のお金の額など)になります。

つまり、
「①戻ってくる値動きで1万円儲かること」が999回あっても
「②戻ってこない値動きで1000万円損すること」が1回あるのです。

なので、「システム系自動売買」は1000回中999回の確率で1万円儲かって、素敵なシステムなので、500回くらいだと「絶対もうかる、ウハウハ」に見えるのですが、1000回中1回で全てを失う可能性を内包しているのです。

①の確率がとっても高ければ、②の確率はとっても低いのですが、②になった時の損害額は①の総和に等しくなります。
(専門的な用語で言うと「プットオプションの売り」にあたります。何事もないとオプション料は収入になりますが、一旦ストライクプライスになると無限の損を補填する役目になるというものです)

つまり②のリスクを取った分、①で儲かっているのです。

さらに!1)の取り分があるので、顧客は確率的に

「1⃣ 短期間だけ、値幅が小さい時期だけ参入するといつも儲かって嬉しい時期があるが」

「2⃣ 必ず!ずーーっと自動売買をしていると、大きな嵐で吹っ飛ぶ」

というのが「システム系自動売買」の内情なのです。

では1)の業者はどのように利益を最大化させるでしょうか。
「1⃣ システム系自動売買で毎日多額の利益を得ている」人をインフルエンサーに仕立て上げ、口座加入を促して自動売買させて値幅のサヤで儲けます。

→自社で「必ず儲かるよ!」とは謳えませんからね。トカゲのしっぽのようなものです。

で、私はその座組の顛末を見ていたら、先週末に2⃣で飛んだのを見た、という訳です。飛ぶまで4年余りでした。

ですのでここまで読んでいただいた方には私の結論をお伝えします。

「システム系自動売買でのリスクコントロールは1⃣と2⃣の確率で相反関係にあるため、絶対儲かる話はないのです」

…もちろん、胴元たる為替取引業者は絶対に儲かります。

2⃣は10年に1度程度まで抑えることは可能だと思いますが、
それなら普通に経済成長に賭けてNISAで世界株を買ったほうが賢明だと思います。

私、一応ファイナンシャルプランナー1級です!




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