流行に疎い私が『地雷系』『量産型』と聞いて
「私もああいう格好したい。地雷系・量産型」
メイドさん風の、レースが付いた清楚な黒チェックのワンピを着ていた中学生を見て、別の中学生が言っていました。
私は、そのようなファッションのことを『ガーリー』もしくは『ゴスロリ』チックと認識していたので、『地雷系・量産型』と言われた時にピンと来ませんでした。
地雷系って何って感じでしたし、強いて何が地雷系かと言われたら、性格がナイーヴな上にネガティブな気持ちを自分で消化できず爆発させてしまうような、内面に難ありなことかと思いました。
また、量産型=大量生産、つまりユニクロや、イオンなどの上の階に売っている服ってイメージしかわかなかったです。
「……ん? ちょっと違うかな?」
ですから、探して探してやっと見つかりそうなワンピのどこが『地雷系・量産型』に当てはまるのか、理解できませんでした。
『この子はどこかで聞いた言葉を勘違いして覚えているな』と思いました。
しかし、また別の中学生(中学生3人目ですね、混乱するのでこの子をAとしましょうか)、Aも、あのファッションを見て『地雷系・量産型』と言っていたので、はじめに言った子の勘違いではないと思い知りました。
Aは言いました。
「自分たちの年代だったら『地雷系・量産型』って言ったら通じると思います。
地雷系は黒が基調のファッションで、何か闇(=病み)があるような感じで、量産型は白とかピンクが基調の、レースやリボンがあったりしてかわいいファッションのことです。黒が地雷、ピンクが量産、みたいな」
つまり、あのメイドさん風ファッションは黒があったから地雷系……? いやいや、かわいらしいレースだから量産型……?
それらが合わさったから『地雷系・量産型』?
若い子の中ではあのファッションがそう言われていることに衝撃を受けました。
地雷系について調べると、weblio辞書が地雷系および量産型の説明や由来についてよくまとまっていたので、引用させていただきます。
すでに知っている方は飛ばして、目次の『地雷系・量産型に対する私の理解』を押下してください。
weblio辞書【地雷系】
地雷系とは
地雷系の由来・歴史
地雷系と量産型の違い
地雷系・地雷系女子の服装・ファッション
地雷系・量産型に対する私の理解
上記と合わせて『地雷系』『量産型』と調べた時に出てくる画像がありました。
イラストレーターさん自身が思う『地雷系』と『量産型』の違いだそうです。絵にされてみると、内面のことはほぼ削ぎ落とされていて、『見た目がこういう感じのファッション』という定義になっています。
しかし、しれば知るほど私には腑に落ちないことがありました。
だって、これを見ればかつて左はロリータ、右はゴシックと私が認識していたものだからです。
ここで『や、地雷系って病んでる感じのメイクやファッションのことで、スカートじゃなくても退廃的なラフな服でもそうだ』と言われると、それはゴシックじゃないかもとなりますが。それはメタル…?
実はと言わずとも私、ファッションには疎いのでよくわかりませぬ。
誤解を招きたくないのであえて述べますが、絵師さんを批判しているわけではありません。
私が言いたいのは『地雷系』だとか『量産型』だとか、新しく生まれたジャンルじゃなくて、すでにあるものへの後付けのラベルの言葉ですよねってことです。
そ、そうじゃないのですか?
辞書の説明を読んで、『地雷系・量産型』とは、新宿歌舞伎町のホストに通う女性たち(ぴえん系と言われていたのですか? そこまで言及すると長くなるのでサラッと流します)のことを、ある意味揶揄した言い方なんだろうなと思いました。
ホストの人たちはリボンやレースがひらひらした感じの女性がタイプの人が多いのでしょうか?
いやいや。ホストの職業柄、お客さんとしての女性を『姫』としてもてなしていく中で、夢を見たい女性たちがこぞって姫コーデやお人形コーデをしてきたという方が近いかもしれません。
その文脈の中では、『男性(主にホストの皆さん)にウケたい』という女性たちが、自分の嗜好よりも男性ウケを狙った服を身につけ続け、それが2020年前後に『地雷系』『量産型』と言われ始めたのかなと想像します。はじめは双方とも批判的に言われていたのではないでしょうか。
なぜ2020年前後かというと、コロナ禍も相まって人々がオンラインのやりとりやSNSの閲覧に時間を大幅に割くようになったのがこの時期なのでしょう。
そして、すでにネットの世界では、ニッチな領域の情報が、ひとりインフルエンサーがいるだけでそれが『トレンド』として捉えられてしまう仕組みが出来上がっていました。
だから、一部の人たちが使っていた『地雷系』『量産型』というラベルが広がりやすく、市民権を得ていったのではないでしょうか?
『地雷女』からの『地雷系』と、『量産型』という言葉は、外見(ホストに通っている女性たちのファッション(当時それまではただのガーリー、ゴスロリなどのファッション))と、その女性たちの内面の特徴(面倒な性格だったり病んでいたり、または、チヤホヤされたいという欲望)が結び合わさったカテゴリの女子のことを指すのだと理解しました。
しかし現在は、特に内面のネガティブな意味合いが削ぎ落とされて、ファッションやメイクの文脈でむしろポジティブに受け入れられているのですね。
後づけされる定義の気持ち悪さ
そうだとしても、やっぱり私はこれらの言葉に抵抗があります。
私には、ガーリーなアイテムやファッションが好きな友人がいます。中学生からの友人で、その頃から、あからさまなレースの服ではないですが、布が多いスカートやワンピ、サンリオで使われそうなピンク、うさぎのモチーフが大好きで、そういうかわいい服を身につけていました。
一貫して今もそのファッションです。その子は自分が好きだから身に付けています。男受けなどもってのほかです。むしろ男は寄らんでしょうに。
その子は、二次元でも三次元でも推しているアイドルがいます。しかし、アイドルのためにその格好を始めたわけではなく、元々かわいらしいガーリーな服が好きだからです。
彼女は今、後ろから指を指されて『量産型』と言われてしまうのでしょうか?
どこにでも売っている服じゃないんです。誰に媚びているわけでもないんです。しかし、白だから・ピンクだから・レースやリボンが付いているから・ツインテールだから『量産型』になってしまうのでしょうか?
『地雷系』でも『量産型』でも、たとえポジティブな意味だとしても、その言葉ができる前からそのスタイルを好きでやり続けている人たちのことを、汚すような言葉に私には聞こえてなりません。
何なんでしょう。こう感じるのは私だけでしょうか。
『地雷系』も『量産型』も、どっちのファッションでもとってもかわいいじゃないですか。
それなのに、女子特有の同調圧力的な『出しゃばるな』と牽制するような表現で。
その人が好きでやってるスタイルなんだから釘を刺すようなことを他人が言ってどうします。
人のファッションを見て揶揄する暇があったら、どうして自分がその人の格好を見てピリッとしちゃうのかきちんと内省して、自分の中身を磨きなさいよって言いたい。(あっこれが私の本音だ)
や、『もはや『地雷系』も『量産型』も今はいい意味で広まって、むしろマネしたい人が続出! なトレンドなんだからいいじゃん』で終わる話なんでしょうけども!
も〜すみません面倒くさくて(笑)!
私が勝手に、何も知らない他人が友人のことを『量産型』だと言うのを想像してイラッとしたんです。(そう。言われているのを聞いたことは、ない(笑)!)
そんな私は無印・ユニクロなどの、安価で量産されている衣服をよく身に付けています。
(いぇーい私も『地雷系・量産型』じゃーい)
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