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育児とは時に崖から這い登る

隣で1歳児の息子が白目をむいて入眠した。
よっしゃ!と起き上がって見た時計の時刻に違和感を覚えた。
22時15分。
さっき見た時刻より2時間も進んでいたのだ---。

寝かしつけはチキンレースだと思う。

今、息子は眠い時はいっそう人恋しくなるのか、ベビーサークル内で、

「ん〜!ん〜!」

と両手を広げて、あるいは泣きもして待っているので、寝る間際は側にいるようにしている。可愛すぎる。

しかし、そばに行ってもそうは簡単に寝る体勢にはならない。たいていは何冊か一緒に絵本を読んで、お気に入りのおもちゃで少し一緒に遊ぶ。それから急に『もう眠くてたまらんぞ』といった感じに横になるので、そこからが勝負なのである。

ちなみに、ベビーサークルは大人3人は窮屈ではあるが、川の字で寝そべられる大きさだ。
本当は『寝る時は寝室!』でこの時に移動して寝に行くのが理想なのだと理解しているが、うちの子の場合、場所を変えると覚醒して楽しくなってしまい、余計寝かしつけに時間がかかるのは何度も何度も何度も何度も♾️…経験済だ。なので、我が家ではわざとベビーサークルで入眠してもらい、大人が後で一緒に寝る寝室へと運ぶ流れとなっている。

息子が横になったらとりあえず、

「一緒に寝ようね〜おやすみ〜息子もおやすみぃ〜」

と自分が率先して眠いふうを装い、入眠に誘わねばならない。
自分の眠りは、半分は演技で半分はマジだ。マジさがあってこそ現実味を帯びるのであって、だからこそ息子も寝てくれるのである。

薄目を開けて確認し、眠そうな息子のおでこや頭をたまにゆーっくり撫でて、眠りの淵まで引っ張っていく。そうして、

「よっと!」

と落ちる寸前に崖のてっぺんに手を引っ掛けておかねばはならないのだが、ここのところ私も日頃の疲れのせいか、止まれずにいつの間にか一緒に眠りに落ちている。

「…? …? …、…!?」

今夜も気がついたら『息子がいよいよ寝るぞ!』と思って見た時刻とは全然、、進んでいた。
進んでいた。

理解し難い時の流れを嘆くよりも、私にはすることがある。さっさと自分も歯を磨いて、空調や電気を完全に消して息子をもっと寝やすい布団まで抱いて連れて行かねばならない。

崖から落ちたって黙って戻るのだ。
いいじゃない、息子も寝られたし私も不意にガッツリ寝られたんだし。
と、自分を納得させたいが、通常は『やっちまったーーー!』が心情の9割を占める。

フリになってしまうのだろうが、次こそは寝落ちしまいと、改めて、息子の隣に横たわりながら静かに決意する。

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