魔闘剣紀 完

起承転穴

シュウイチ暗殺後から数日後

起「…!そうか、よくやった、褒美を取らせよう。」

男2「!ありがとうございます、それでは。」

シュウイチを暗殺したものたちが、四人のものたちに報告を終えると、
この場から立ち去って行った。

承「…どうやら異界のものは始末できたようだな。」

転「そのようだな、だが、Nekuotam が目覚めてしまったな。」

起「Nekuotam…、確かに厄介であるが、最後の本はこちらにある。」

承「そうだな、それに奴らの中に、心皆(しんき)を使えるものはいない。」

転「確かにな、しかしそれでも大きな力があることは変わらない、
  計画の支障にならなければよいが…」

穴「…人昇華(じんしょうか)計画か。」

起「そうだ!人はなぜ不平不満を抱えてしまうのか?
  どうして人と比べてしまうのか?なぜ嫉妬を起こしてしまうのか?」

 「そしてそれらの思いが増幅され、
  歪んだ思考が、不幸を起こす引き金となっている。」

 「そこで、我々は、人類がよりよく優れたものに、
  且つ、効率よく幸福になれる方法を考えたのだ!」

承「そう!それが人昇華計画である。」

転「これが実現すれば、人類はついに戦争を克服できる!」

起「その通りだ!」

 「まず、私の考えは、なぜ、不平不満や、嫉妬が起きるのかを考えた。」

 「それは、自分の能力では、どうやってもたどり着けない世界を、
  目の当たりにしてしまうことにある。」

 「そこで、人類の能力でランク分けを行い、
  能力の近いもの同士で、区分けする。」

 「A~Dとランク分けを行い、AはA同士、DはD同士と、
  同じ能力もの同士で、暮らせるようにして、
  自分のランク以外の情報は、入らないようにする。」

 「もちろん、ランクアップも可能である、
  半年に一度ある試験に合格すれば、それが叶う。」

 「当然だが、ランクダウンもある、最低はDランクだ。」

承「そして、私の考えた案は、それぞれのランクの質を上げることである」

例 単純に数値化はできませんが、イメージで
Aランク→100

Bランク→80

Cランク→50

Dランク→30

↑これを

Aランク→100→120

Bランク→80→90

Cランク→50→70

Dランク→30→40

↑のように、ランクの質を個々に上げていく。

承「これにより、生活の質を上げることだけでなく、
  自らを鍛えることにもなり、自身もつくことになるだろう。」

転「まったくだな!そして俺の考えは、
  このテーマでは外すこの出来ない、子孫についてだな。」

優生学については知っているな?

優生学とは、

人間集団の質的向上を目的に、
優良な遺伝形質の保存・改善を研究する学問のことだ。

ここからは、聞いた話、

これらの考えが正しければ、優れたもの同士で結婚して、
生まれてきた子供は、優れたものになるはずだが、
そうはならなかった。

↑記憶違いかもしれません。

転「しかし、優れた子孫を生み出す組み合わせあるはずだ!」
 「そこで、ランク関係なく、本人の了承を得たものたちで、
  遺伝子の掛け合わせを試すことにする。」

 「具体的な話は、生々しいので割愛するが、
  これにより共通点を見つけ、より優れた子孫を残こすことができる!」

起承転「これが、人昇華計画である!!」

穴「…どんな計画にもアナがある。」
  私の役目は、それらをどう埋めるのかを考察することである。」

 「例えば、起の計画は、情報が遮断されていることによる、
  不平不満が出てくるのではないのだろうか?」

 「それに、誰の基準でランクを決めるのか?
  そもそも、ランクを付けられることに、
  抵抗を覚えるものが現れるのではないか?」

 「承の計画は、一見良さそうだが、
  ランクアップが難しくなることで、やる気が失せるのではないか?」

 「おそらくそれは、ランクダウンしたものにも現れるだろう、
  そして、いくらやっても報われない、と思うようになるだろう。」

 「極めつけは転の計画だ!優れた、に囚われすぎていないか?」
 「これでは、優れていないものは淘汰されることにならないだろうか?」

 「そもそも、この計画の中に、結婚についての哲学がない!」
 「子孫を残すことだけでなく、結婚や子育てについても、
  考えるべきところはあるのではないのか?」

 「人昇華計画には、私もまだまだ指摘できていないところが、
  数多くあると思うが、改善できるところは山ほどあると思う。」

起承転は、シュンと肩を落とした。

起「…ところで、あの男はどうした?」

解導者「ここに。」

起「!そこにおったか解導者、
  いや、ルレス・ウ・ナズキ!」
 「お前には聞きたいことがある!」

ルレス・ウ・ナズキ「何なりと。」

起「ヲレワに力を与えたのは水に流そう…
  しかしなぜ、ク・セェにも力を与えた?」

承「その通りだ!それがなければNekuotam は
  目覚めることはなかったはずだ!」

ルレス・ウ・ナズキ「誰に力を与えるかは、我で決める、そのはずでは?」

転「!!ッ!」

ルレス・ウ・ナズキ「…話はそれだけですかな?」

起「きっ!!」

穴は、叫びかけた起に手を挙げて合図を送り、

穴「ああ、そうだ、わざわざすまなかったな、解導者。」

解導者「…では、これにて失礼する。」

そう言うと、解導者はその場を後にした。

シュウイチ「…!あれ?こ、ここは?」

シュウイチが目を覚ますと、そこは何もない白い空間が広がっていた。

シュウイチ「…?私は?そうだ!私は首を!!」

シュウイチは目覚める前の瞬間を思い出し、
首を触ったが、首は繋がっていており、そして傷一つなかった。

その状態に安堵した時

??「あれは、お前の判断ミスだな。」

その声のほうに振り向くと、

シュウイチ「!?我昇?」

我昇「言っておくが、俺の言うミスは、やられる前のことだけじゃない。」
  「もっと前から修練をつんで、魔記を習得していれば、
   あの程度の相手に、やられることはなかった、ということだ!」

シュウイチ「…確かに、そうだな…
      ところで、どうしてこの世界にもいるんだ?」

我昇「正確にいうと、ここは現実と、あの世界の間だな。」

シュウイチ「そうなのか…あの世界は夢なのか?」

我昇「いや、あれは異世界、と呼ばれる世界だ。」

シュウイチ「異世界?あれは思器とか思体に、
      意識が入っている時に見た、夢みたいなものじゃないのか?」

我昇「違う!今回の件で確信を得たが、
   お前は夢の中で、異世界にリンクできる力がある!」

シュウイチ「なんだって!?」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?