魔闘剣紀 11

異界

シュウイチ「そんな大事な本を見せびらかすように持っていたんですか!」

ク・セェ「そうだ!俺の闘気は敵意があるものには強烈な臭い感じるから、
     もし、奴らが本に気づき、奪おうとすればすぐにわかる。」
    「だから、あえて見せびらかすようにして、奴らをおびき出し、
     情報を手に入れよと考えたのだ!」

ヲレワ「しかし、今考えればうかつだった、奴らが魔記を
    使う可能性だってあったからな。」

シュウイチ「!!…ヲレワ!…ク・セェ!!」

シュウイチ「…なんて素晴らしい作戦だったんだ!」
     「そのおかげで、私はこの本に出会うことが出来たのだ!!」
     「ああ!早くこの本を読みたい!もう待ちきれない!」
     「さあ!マジット城の書庫に行きましょう!」

ク・セェ「まあまあ、待て待て、シュウイチ!」

シュウイチ「へ!?なぜ止めるのですか?」
     「あなた方も本について知りたいのでは?」

ク・セェ「確かにそれはそうだ、しかし、俺たちはお前については、
     名前と本が好きと言うこと以外知らない。」

ヲレワ「確かにそうだな…シュウイチ、話せる範囲でいいから、
    お前のことを教えてもらってもいいか?」

シュウイチ「あ、別にいいですよ?それで二人が納得できるのなら。」

二人はお互い見合って、それから頷いた。

シュウイチ「では、改めまして、私はシュウイチ、
      本の中に封印されていたものです。」

と、言うことにした。

ここは私の夢の中、ここで、本当のことを話しても理解されないし、
そうであったとしても、証明できるものもない。
なので、全てに嘘はつけないので、ある程度実際に起こっていることを、
織り交ぜながら、シュウイチという男を説明した。

夢の中で、実際という言葉を使うとややこしいな、
なかなか言葉というのは難しいものだと思った。

今から話すのは、私がシュウイチの体の中に意識が入るまでの話である。

私は今、ある男を見ている、その男はあるものを探しているようだった。
私は、探しているものは、本であると、その様子を見ていて気付いた。
そして、どうやら探し物を見つけたようだ。
誰が見てもわかるような、リアクションを取っている。

その男は、興奮覚めぬまま、本を開くと、
男は、糸が切れたように倒れこんだ。

そして次の瞬間、私の視野が暗転した。

あれ?なんで目をつむっているんだ?と思い目を開ける。
そこには、あの男が持っていた本が落ちていた。
最初、特に考えもせずに本を手に取った、…存在と書いてあった。

しばらくしてから、この本はあの男が持っていたことを思い出し、
その本を慌てて手放した。

このあたりで、自分の視界に映るものや、身につけているものから、
自分の意識が、あの男の中にあることに気づいた。

その状況に戸惑っていると、

???「!?誰だ!」

私がその声に驚いて振り向くと、カンチョーの構えをしながら
こちらに近づいてくるものが一人…

そう、イー・マネである。

イー・マネ「どうやって入ってきたのか、わからないけど…?」

イー・マネは私の姿を見て、カンチョーの構えを解いた。
私は近づいてくるイー・マネをよく見た。
すると、背中にでかい三角定規を背負っていた。
学校の授業で使っていた、直角三角形のものである。

イー・マネ「…!この服は、それにこの紋章は、管理者のものだ。」
     「…しかし、名前がない?そんなことがあるわけが…」

イー・マネは、私の身につけているものを、見たり、触ったりしながら、
ギリギリ聞き取れるような声で、ぶつぶつとつぶやいていた。
その間に、私も彼の言う紋章を見た、そこにイー・マネと書いてあった。

イー・マネ「…君、名前は?」

シュウイチ「え!?えー…私は、シュ、シュウイチです!」

夢で答えた名前を忘れたので、この名前にしました。

イー・マネ「…シュウイチ?そうだ、君はシュウイチだ!」

シュウイチ「え!?」

イー・マネ「いやーすまない!僕としたことが、どうかしていたようだ!」
     「…それにしてもシュウイチ!また本を読みっぱなしか?」
     「またボッ・トンに怒られてもしらないぞ!」

そう言うと、イー・マネはここに来る前の場所に戻っていった。
まるで先ほどのやり取りが、なかったかのようであった。

私は状況をすぐには飲み込めなかったが、ここには本がある!
とにかく、この世界の知識を得よう!まずはそれからだと考え、
ここを追い出されるまでの、数か月間ひたすら本を読み続けたのだった。

これを、ヲレワとク・セェには、元々この男にあった意識と、
本に封印されていた意識が、入れ替わってしまった、と説明。

自分の名前以外何も覚えていなかったので、元に戻す方法と、
自分が何者であるかを知るために知識を集めている、と言うことにした。

ク・セェ「なるほどな…で、それを調べるのに夢中になっていて、
     放り出されたと。」

シュウイチ「そういうことです、ですが、イー・マネは、私の行動に
      理解があったので、今も書庫に出入りができるのです!」

ヲレワ「そういうことだったのか…」

シュウイチ「さあ!もういいですか!?では早く書庫に向かいましょう!」
     「もう待ちきれません!!!」

ク・セェ「うーん、確かに今すぐにも行きたいのは、山々なんだが…」

シュウイチ「なんですか!ク・セェ!何か問題でも!?」

ヲレワ「…そうだな、ここにいるもの達には問題はないが、
    そのイー・マネと言うものはマジットのものなんだろう?」
   「この話をそのまま話して、はいそうですかと通るものなのか…?」

シュウイチ「それについては大丈夫です!」
     「マジットのものは知識を欲するものたちが多いです!」
     「この情報を共有すると言えば、話は通ります!」

ク・セェ「…しかしな、そのイー・マネと言うものがどういうもの…」

シュウイチ「四の五の言ってたって話は進まないんですよ!!!!」

ヲレワ&ク・セェ「!?」

シュウイチ「そんなにイー・マネのことが知りたいのなら、
      直接あったらわかるんじゃないんですか!?」
     「それに、その本の謎を解くには書庫の本を調べるしかない!」
     「そうでしょう!?もう我慢の限界です!!!」
     「さあ行こう!もう行こう!!今行こう!!!」

そう言うと、シュウイチはまたヲレワとク・セェを後ろから押して、
書庫に向かえと、押し進め始めた。

ヲレワとク・セェは、お互いに見合って、
こうなったらどうにもならんな、とお互いに諦めて、
また、流れに身を任せることにした。

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