魔闘剣紀 9
欺魔(ぎま)、悪闘(あくとう)、邪剣(じゃけん)
謎の男、解導者から闘気を得たヲレワは、
ク・セェ、ク・シャミとともにファーリア城の玉座に戻ってきた。
ヲレワはファーリア王、シャ・メン、ホ・ウカの前で闘気を見せた。
ファーリア王「なんとー!」
シャ・メン「…信じられん!」
ホ・ウカ「ああ!だが間違いない、風の闘気だ!」
三人が驚いていたのは、闘気を短期間で会得したことだけではない。
ファーリア出身以外のものでも、闘気は会得できる、
という事実が確定したことの衝撃が大きかった。
ファーリア王「見事だヲレワ、しかもこんな短期間で会得するとはな…」
ヲレワ「ありがとうございます!ファーリア王!」
そう言うと、敬礼のポーズを取ったが、
相変わらず腕は左右逆であった。
ク・セェ「はっはっは!そんなにかしこまるなよヲレワ!」
ク・セェとク・シャミが玉座にやってきた。
正確にはヲレワと玉座にやってきた後、席を外していた。
戻ってきたク・セェの手にはヲレワの剣があった。
ク・セェ「突然で悪いのだがヲレワ、剣技を見せてもらってもいいか?」
ヲレワ「え!?ホントに突然だなク・セェ。」
ク・セェ「いやー、すまんな!でも色々あってお前の剣技は、
俺とシャ・メン、ホ・ウカしか見たがなかったから。」
「いい機会だから、王とシャミにも見てもらいたいと思ってな!」
ク・シャミ「そうそう!見てみたい!見てみたい!」
ファーリア王「それはいい!ぜひお願いできるかな、ヲレワ?」
ヲレワ「まあ、そういうことならいいですけど…」
「しばらく使っていなかったから、うまくできるかどうか…」
ク・セェ「なぁに、何も難しい技じゃなくてもいいだ!」
「軽く、軽くでいいから、頼めるかな?」
そう言うと、剣をヲレワに受け取るように促した。
ヲレワ「ああ、軽くなら問題ないと思うが…」
そう言って剣を受け取ると、玉座の椅子に背を向けた状態で、剣を構えた。
しばらくすると、夜石が白く光った!
ヲレワはそれを確認してから剣を振る!
ドガッ!!ガラガラ、ガシャーン!!
久しぶりに使った剣技を、ヲレワはコントロール出来ず、
城の天井を破壊し、放った剣技は空彼方へと飛んで行った。
ファーリア王&四人の闘姿「!!!」
ヲレワ「!?アーーーー!!?は!?え!?ええ!?」
沈黙する玉座。
ヲレワ「申し訳ありません!ファーリア王!!」
「言い訳ですが、久しぶりだったので加減できませんでした!!」
ファーリア王「気にするなヲレワ、それにこちらから頼んだことだ。」
そう、城が壊れたことなど王も四人の闘姿も気にも留めてもいなかった。
闘気を得ても、剣技を失うことはない、それはつまり、
魔記、闘気、剣技、それらはすべて、一人で会得できるということだ。
これが知れ渡れば、大変なことになる、
そのようなことを、王と四人の闘姿がそれぞれの考えを巡らしていると、
扉を荒々しく開けて、兵が駆け込んできた!
ファーリア火兵「た、大変です!ファーリア王!!」
ヲレワ「あ、すいません、先ほどの…」
兵は、ヲレワの話を聞かずに続けて、
ファーリア火兵「あ、悪闘がファーリア城を囲むようにして、
こちらに向かってきています!」
ファーリア王「!?何!!!」
ク・セェ「奴らめ…ついに動き出したか!」
「シャ・メン!お前は東門を、ホ・ウカ!お前は西門を頼む!」
シャ・メン&ホ・ウカ「了解!」
ク・セェ「シャミ!お前は正門で先陣を切って、悪闘を迎え撃ってくれ!」
ク・シャミ「うん!わかった!」
ク・セェ「そして、ヲレワ!お前は俺と一緒に城内に残り、
状況に応じて行動を決める、いけるな!」
ヲレワ「あ、ああ!」
ク・セェ「よし!それじゃあみんな、イクゾー!」
シャ・メン&ホ・ウカ&ク・シャミ「おう!」
そう言うと、皆それぞれの場に向かっていった。
ファーリア王「頼むぞ、皆のもの…」
ヲレワとク・セェは、城内に異変がないかを調べていた。
それを調べている中で、ヲレワはク・セェに悪闘について尋ねた。
ク・セェ「…悪闘とは、闘気を悪用する者たちのことを指す。」
ヲレワ「!?闘気を?じゃあ、奴らは元闘姿か、ファーリア兵なのか!?」
ク・セェ「そうであるものもいるが、ほとんどがそうじゃない。」
ヲレワ「?じゃあ、どうやって闘気を会得し…」
ここまでしゃっべて、ヲレワは解導者のことを思い出した。
まさか、あの男がと、思っていると、その予感は的中した。
ク・セェ「奴らによると、ある日、突然使えるようになったそうだ。」
「それも、闘気の修練をほとんど行ってもいないのに。」
「しかも、それを一番本人が驚いていると聞く。」
「まったく、どうなっているのか、皆目見当もつかん!」
ヲレワ「そう…なのか…」
そしてク・セェは、悪用するものは、ファーリアだけでなく、
マジット、ロジードにもいることを教えてくれた。
魔記を悪用するものを欺魔、剣技を悪用するものを邪剣と、
それぞれの国がそう呼んでいるそうだ。
そしてやはり、欺魔、邪剣も魔記、剣技が突然使えるようになったそうだ。
ク・セェ「まあ、今はその原因について考えている暇はない。」
「とにかく、ヲレワ、悪闘は闘気が使えると覚えておけばいい。」
ヲレワ「ああ!わかった!」
かくして、ファーリア城防衛戦が始まった!
が、
すいません、この戦いの詳細な記憶が、あまりにも欠如しているため、
次の話は決着が着いてからになります。
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