魔闘剣紀 13

消失

イー・マネ「何!?王が行方不明だと!?それは本当か!ベン・ザー!!」

ベン・ザー「…すまない、我とサ・ジョーが付いていながら…」

ベン・ザーは熱の魔示であり、サ・ジョーは砂の魔示である。

イー・マネ「いや、二人の実力は、僕が一番知っている。」
     「その二人を出し抜いたとすれば、相当の手練れだ!」

サ・ジョー「…言葉としては不適切だが、そう言ってもらえて助かる。」
     「言い訳に過ぎないが、一瞬、王から目を離した、
      ほんのわずかな時間で、王の姿が消えたのだ。」

イー・マネ「目を離した一瞬に消失したというのか!」

ベン・ザー「…そういうことになるな…」

…全員沈黙。

ここは、マジットの玉座の間、ここには、ヲレワたち四人と
三人の魔示、ベン・ザー、サ・ジョー、ボッ・トンがいた。

サ・ジョー「…ところで、そちらの方々は?」

ボッ・トン「彼らについては、我から説明しよう!」

ボッ・トンは、二人の魔示が戻ってくる前に、マジット城に戻ってきた。
そのため、イー・マネから、ヲレワがやってきてからの、
いきさつをすでに聞いていた。

ボッ・トンは落の魔示である。

ベン・ザー「なんと!あの本にはそんな秘密が隠されていたのか!」

サ・ジョー「これは一刻も早く王に伝えねば!…しかし…」

イー・マネ「うん、そうだね、肝心の王が行方不明だ。」
     「だから、まず王を探そう!話はそれからにしよう!」

全員「おう!」

イー・マネ「よし、それじゃあ、ベン・ザーは王が消失した辺りを、
      サ・ジョーは城下町を中心に、ボッ・トンは町の外を頼む!」

ベン・ザー&サ・ジョー&ボット・ン「まかせろ!」

そう言うと、三人の魔示は素早く玉座を後にした。

ク・セェ「…何か俺たちに手伝えることはないか?カン・チョー!」

イー・マネ「…ありがとう、ク・セェ、しかしこれは、
      この国のものがやらねばならぬことだと思う。」
     「それに、君たちは客人であり、友人でもあるから。」

ヲレワ「しかし、王の命の危機が迫っているかもしれないんだぞ?」

イー・マネ「いや、それは絶対にないな、この国のものであれば
      間違ってもそんなことはしないだろう。」

ヲレワ&ク・セェ「!?」

シュウイチ「…ま!そうだな。」

イー・マネ「…詳しくは話せないが、魔積の絵画が関係している。」
     「これ以上は流石に話すことはできない、…すまない。」

ヲレワ「何を言う、カン・チョー!そこまで話してくれてありがとうだ!」

イー・マネ「…ヲレワ。」

ク・セェ「まったくだ!で、それで俺たちはどうしていたらいいんだ?」

イー・マネ「僕はマジット城を離れることはできない。」
      でもそれは常にじゃない、だからその空き時間を使って、
      ヲレワ、ク・セェ、そしてシュウイチ!」
      「君たちに魔記を習得させようと思う!」

ヲレワ&ク・セェ「!?」

シュウイチ「えーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

ここで、もし私が異世界転生したらを話そう。

もし、よくあるファンタジーな世界に転生したとしよう。
その世界の私は転生する前よりも、あらゆる面で強くなっていたとしよう。

そうであった場合、私は真っ先に、自分と同じ、もしくはそれ以上の力を
持ったものがいることを前提に、旅を始めるだろう。

だってそう思いませんか?自分の普通って、
転生する前を基準にするしかないですよね?

そうなった時に、転生先の基準がわからないのに、
いきなり戦闘とかできますか?いくら、かわいい子がいたからって。

いや、そもそも転生先の世界に、すぐに適応できる自信もないですわ。
だって、4ととなり合わせスよ?いきなりいけますか?

現実世界で、怖い兄ちゃん、おじちゃんに、
かわいい子が絡まれていたら、助けに行けますか?
クマやライオンに襲われている、かわいい子がいたら、助けに行けますか?

出来るわけないですよね?それが出来ないのに、なんで異世界転生したら
人が変わったみたいに、助けることが出来るんですか?
そこでやったことは、現実世界よりもハードル高いスよ?

ファンタジーにリアルをぶつけすぎても、何にもならないのですが、
自分に置き換えると、どうしてもそれを考えてしまうのです。

その点、私が夢で見た「夢であったのか?」は、思体に自分の意識を入れて
自分の望む体を自由に動かせ、その上痛点もなく、
壊れたら元の体に、意識が戻るだけであるから、みんなにおすすめです!

夢であったのか?全15、絶賛投稿中!!

以上、CMでした。

画して、イー・マネの考案により、
ヲレワたちの、魔記習得の修練が始まった!
…今思えば、ここでちゃんと修練を積んでおけば、
私は4なずに済んだのかもしれない…

それから、約ひと月の時間が過ぎた…

ヲレワは自らの力で、魔記を習得した!
それだけではなく、その魔記を習得する合間に、

ヲレワ、ク・セェ、イー・マネは、
お互いに戦闘訓練を行っていた!
その中で、ヲレワは闘気を両足、体、左腕にまとえるようになっていた。

そして、魔記を習得したヲレワは、サ・ジョーとともに、
王の捜索に向かった。

それから、数日後…

ク・セェ「くっ、なぜ魔記を習得できないんだ!?」

シュウイチ「まあまあ、ク・セェ、焦らない、焦らない、一休み、一休み」

ク・セェ「…お前はサボり過ぎだろ!まーた本を読んで、まったく!」

ここはシュウイチの家の外、時刻は夜に差し掛かった辺り。

シュウイチ「別にいいだろ?どうせ私は力になれないのだから。」

ク・セェ「…力というのは、相手を制する力だけを指すのではないぞ?」
    「自らの身を脅威から抵抗できる力も、力と言うのだ!」

シュウイチ「…ふーん、そうなんだ。」

シュウイチはそう言いながら、今読んでいる本を読み終えたのか、
近くにあるいくつかの本を一つ手に取り、また読み始めた。

ク・セェ「…フッ!」

シュウイチ「?いきなり笑って、どうかした?」

ク・セェ「まあ、そうだな、今ヲレワの話を思い出してな。」

シュウイチ「ヲレワの話…?あー!解導者のこと?」

ク・セェ「そうだ!その解導者だ!今ここに現れてくれたらな、
     と思ってしまったんだ。」

シュウイチ「…まあ、確かに、解導者が現れたら魔記を習得できる…か?」
     「でもどうやったら、来てくれるのか…?」

ク・セェ「…ヲレワは確か、力を強く求めたと言っていたな…」

俺は自分の力を、マジットのものたちのために使いたい!
今まさにその時なんだ!しかし、俺はまだ魔記を習得出来ていない!
ここで、ただ仲間を待っていることなんてできない!

ク・セェ「俺にもっと力があれば…!」

???「己は、力が欲しいか?」

ク・セェ「!?な、なにやつ!」

シュウイチ「っ!?なんだあれは…?」

その声にク・セェはシュウイチの方を向いた。
すると、シュウイチは読んでいた本を落として、空を見ていた!
その様子を見て、ク・セェも同じように空を見上げると、
なんと!空に人が浮かんでいた!

???「我はキの解導者。」
   「己は、力が欲しくないか?」

ク・セェ「…!力…!?」

解導者「そう、力だ。」

ク・セェ「もちろんだ!今すぐ力をくれ!」

シュウイチ「!?ク・セェ!?」

解導者「ほう…いい心構えだ!よかろう!」

そう言うと、解導者はク・セェの目の前に降りてきて、
右手を曲げた状態でその拳を天に上げると、

解導者「我の拳はキの息吹!」
   「潜在意識を解放させ、」
   「秘めたるキをつむぎ出す!!」
   「素晴らしき」
   「宇宙のシンの力を!」

最後の言葉を述べると、男は右手を広げながらク・セェの方に向け、
何とも言えない色の光をク・セェに注ぎ込んだ!

ク・セェ「ぎにゅうぁぁぁあ……」

シュウイチ「…う、うわあぁあああーーーーーーーーーー!!?」
     「カ、カン・チョオォオォオーーーーーー!!!」

その様子に耐え切れず、シュウイチは逃げるように
マジット城にいる、イー・マネのところに駆け出した。


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