魔闘剣紀 15

剣闘気

ボッ・トンとク・セェが、ミッ・センと対峙していたころ、
サ・ジョーとヲレワは、街の中で破壊活動を行っていた欺魔に遭遇し、
それを追いかけていた。

ヲレワ「クソ!ちょこまかと!!」
そう言いいながら、ヲレワは剣技を使った!

すると、待ってましたと言わないばかりに、
風の文字を描がき、ヲレワの剣技を分散させ、街のあちこちを破壊させた。

サ・ジョー「!!いかんヲレワ!相手は風の魔記を使って、
      おぬしの剣技を制御しておる!うかつに使うと街が!」

ヲレワ「…チッ!」

風の欺魔「お?どうした?もっと来いよ!面白くないな。」
    「それとも街の破壊を手伝ってくれるのか?」

サ・ジョー「ふざけたことを抜かすなー!!」
そう言うと、サ・ジョーは砂の文字を描き、
砂の塊を、欺魔に向けて放った!

しかし、欺魔の風の魔記で砂は吹き飛ばされてしまった。
攻撃を防いだ欺魔は、笑いながら二人から離れ、破壊活動を再開した。
一対二と数では優勢だが、相性が悪く、苦戦していた。

ヲレワ「クッ!一体どうすればいいんだ!?」

サ・ジョー「…おかしと思わないかヲレワ?」

ヲレワ「え!?」

サ・ジョー「破壊の目的はわからないが、なぜ奴はこんなにも
      目立つように動いているだろう?」

ヲレワ「…劣りか!」

サ・ジョー「おそらくは…つまり奴は我々を引き付けるのが
      目的なのかもしれん!」
     「しかし、このまま奴を野放しには出来ん!」

     「そこで、二手に別れよう!我は欺魔を追う、
      ヲレワは街に残って、奇襲に備えてくれ!」

ヲレワ「わかった!サ・ジョー気を付けてな!」

サ・ジョー「うむ!」

そう言うと、サ・ジョーはすぐさま欺魔の後を追った。
ヲレワはそれを見送った後、さてどうするかな?と考えていると、

マジット国民「!!ア、アイツです!アイツが街を破壊していました!!」

ヲレワがなんだ?と思いながら、振り返ると、
そこには、マジット国民と、一人の男が立っていた。
マジット国民はヲレワの顔を見て確信したのか、

マジット国民「!!間違いありません!俺は見たんです!」
      「アイツが放った風が街を、そして美術品を破壊したのを!」

ヲレワ「!!ち、違う、誤解だ!」

マジット国民「嘘つけーい!お前も欺魔の仲間だろ!!」
      「その証拠に、お前が持っている剣には、
       夜石が刻まれているじゃないか!それが何よりの証拠だー!」

ヲレワ「!?いや、それは言いがかりだ!」

その様子を黙って聞いていた男が、
ヲレワの方に向かって歩き出した。
それと同時に、二人は口論をやめた。

男は、ヲレワを気にも留めずに、
そのまま通り過ぎて、その後ろで泣いていた、
子どもの元に歩いていった。

子ども「うわぁぁん!!」

??????「どうしたんだい?怪我でもしたのかい?」

そう言うと、子どもは泣いたまま首を振った。

??????「じゃあ、どうして泣いているのかな?」

子ども「…お、ぅぅ、じさ…んの、グス、さ、さく…ひんが…うわーん!」

男が質問すると、子どもは泣きながらある場所を指さして、訴えかけた。
ここにいるものが、指さした方向に目を向けると、石像?のようなものが、
先ほどの戦闘で壊れているのがわかった。

??????「…そっか、君はこの作品が好きだったんだね。」

そう言うと、子どもは黙って頷いた。
男はしばらく黙ってから立ち上がり、振り返ってヲレワを見ると、

??????「僕の名はウオラ・コマト、芸術と爆発を愛する、
       爆の魔記を操るものだ!…君の名は?」

ヲレワ「…ヲレワだ。」

ウオラ・コマト「ヲレワよ!君が欺魔であろうが、他国のものであろうが、
        そんなことはどうでもいい!」
        なんなら、作品を壊したこともだ!」

ヲレワ「!?」

子ども「…え!?おじさん!!?」

ウオラ・コマト、彼はインスピレーションを感じた、
山、川、海、岩、木、畑、家、などを爆発させて作品を生み出している。
その作品は、マジット国民に人気があった。

ウオラ・コマト「ヲレワ!君は僕の作品を壊したんだって?」
       「確かに壊されたのは残念だけど、
        それだけの思いを、ぶつけられたのは初めてだった!」

       「僕が作成に込める思いは、」
       「売れなくても構わない、好かれなくても良い」
       「認められなくても良い、成功しなくても良い」

       「そんな思いを作った作品に、ヲレワ!」
       「君は君の思いをぶつけた!そうだね!!」

ヲレワ「!?ち、違う俺は…」

ウオラ・コマト「だから僕は、君の思いに答えたい!」
       「そのためにここにきた!さあ、始めよう!創作活動を!」

ヲレワ「!?待ってくれ俺は…」

そう言いかけたが、ウオラ・コマトは爆の文字を描き始めていた!
それを目視で確認したヲレワは、闘気をまとって剣を構えた

ヲレワ「…やるしかないのか?」

ウオラ・コマト「そうだ!ヲレワ!相手とぶつかりあって戦わなければ、
        本当の作品は生まれて来ないのだー!!」

これは、仕組まれた戦いだったのか?それとも運命だったのか?
いずれにして、戦いの火蓋は切られたのである。

戦いは一方的な運びとなっていた。
ヲレワが剣技を使っても、爆風でかき消され、
闘気をまとっても、爆風ではがされる。
まさに相性最悪であった。

ウオラ・コマト「どうしたヲレワ!?」
       「僕の作品にぶつけた思いは、そんなものなのか!?」

ヲレワ「うっ!…このままでは…やられるっ!…しかし、どうすれば…!!」

ヲレワはふと、あの本に書かれていたことを思い出した!
そして、ヲレワは剣技を自分の闘気に向かって使い、

ヲレワ「剣闘気!」

と叫んだ!すると

ウオラ・コマト「!?なんだ!?この白い光は!?」

ヲレワから発せられた光が収まると、そこには、
白く輝く靴を身につけた、ヲレワが立っていた!

ウオラ・コマト「!?なんだそ…」

ウオラ・コマトがしゃべり終わる前に、
一瞬で距離を詰めて、ケリをかまし、ヲレワの遥か前方に吹き飛ばした!

まさに、風のように現れ、風のようにさるごとしであった。

何が起こったのかわからないまま、遥か彼方に飛ばされたウオラ・コマトは

ウオラ・コマト「…これがヲレワの作品か!」
       「これは素晴らしい作品ができる予感がするぞ!!」
       「まだまだ行くぞヲレワ!!!」

サ・ジョー「…ヲレワ?なんでおぬしが知っておる?ウオラ・コマト?」

ウオラ・コマト「!?サ・ジョー?」

サ・ジョーとウオラ・コマトは友人である。
その後すぐに、国民とウオラ・コマトの誤解であったことがわかり、
この戦いは幕を閉じたのであった。

剣闘気とは?

剣技を自らまとった闘気に使い、道具や武器を作り出す技である。

ヲレワは、靴、鎧、兜、盾、ナイフを作り出せるようになる。
最終的には、全て同時に作り出せるようになった。
ちなみに、作り出したものは、本体から一度でも離れると消滅する。

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