NISHIMOTO IS THE MOUTH

 最近、西本克利さんが私の心の脊髄に響いて疼く。本人は不本意らしいが、巷では「尊師」に似ていると評判。長髪にヒゲならすべて尊師なのか。日本屈指のミームと化した彼とは、全く別の預言者である。”赤ん坊は神であり、西本はその声を聴ける唯一の存在。西本は口である”架空のカルト宗教がコンセプトのブランドをディレクションしているらしく、個人的にツボ。
 全身のほとんどをタトゥーで埋め尽くした外見は確かな荘厳さがあり、言い知れぬ迫力に驚き、覚悟を感じ、覚悟に惚れ、唯一無二の存在感が美しい。この人なら何かやってくれる、謎の信頼感がそこにはある。しばらく彼の穏やかだがエッジの利いた、DopeでPeaceな言葉を聞いていると
外見の異様さが溶解して、尊敬が結晶化される。自分も服はすべて白にして、タクシーの利用を禁じ、タトゥーをいれて信者として生きようかと思うほど引き込まれた。その芸風はアンダーグラウンドだが、彼自体が目立つのでオーバーグラウンドの地表にひょいと頭をだして口を開けているので、
そこから信者たちがぞろぞろ入っていき、お布施をする。決して「おもしろいことをやっているが、金が稼げず辞めてしまう」とはならないだろう。
 彼の覚悟と力があれば、間もなく世界レベルの大物に昇天する。
 
 一方、私はどうか。ドロリッチかキーマカレーのような大便を下の穴から吐き出し、上の穴から松屋のカレーを摂取し、「NEO HUMAN 究極の自由を得る未来」と母の日のカーネーション三本を購入、レザージャケット2着に油をいれ、栄光ナインをプレイ、Note執筆にいたる休日。
 なんて退屈で、凡庸で、下痢気味で、停滞のムードが沈殿、ああ恥ずかしい。どうしものか。何にせよ、いつか西本克利氏に会ってみたい。会う価値の或る人間になりたい。サインがほしい。何か役に立てたら幸甚の極み。会うことがあったら、うんこに見える何かをプレゼントしたい。

 
 

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