亀甲竜その2 あるいはシンニンギアと亀甲竜

以前我が家の亀甲竜のことを記録した際の繰り返しになるが、このNoteは、いとうせいこう氏の『ボタニカル・ライフ』を読んだ私という一個の他者が、せいこう流に言うと「俺も何か書きたい」という思いに掻き立てられ、いてもたってもいられずに始めた私的なベランダー日誌である。
この記事ではその亀甲竜のその後ならびにせいこう師のその後ついて報告申し上げたい。


亀甲竜のツルというか葉を巷でみるようにハート形にしたくて試行錯誤してみたが、思うように絡まってくれずにハートの形成を断念したというのは前回述べたとおりである。ところがある日、亀甲竜の鉢の隣に置いていた水差しに、折れたシンニンギアの枝(このシンニンギアもいつか折れると予見していた前述のシンニンギアである。もっとも、折れたのはエアプランツに絡ませている枝ではなく新しく伸びて行き場を失っていた二番手のほうである。)を差していたところ、亀甲竜はものの半日でそのシンニンギアに濃厚に絡みついてツルを伸ばし始めたのである。


シンニンギアがエアプランツを頼ったときにも思ったが、自然には自然の流れというものがあり、人間の小細工は自然の調和に何一つ敵わない。そしてひとたび調和した途端、植物の何倍ものスピードで展開していく。
いとうせいこうは言っている。植物は人間なしで生きていける、植物なしで生きられないのはどうやら俺のほうだと。そして、牧野富太郎も同じことを言っている。植物は人間なしで生きていけるが、人間は衣食住の全てを植物に負うていると。


偶然か必然か、最近出版された牧野富太郎の何かの本に、いとうせいこうが解説を寄せている。わりと最近、令和以降に書かれたその解説によると、せいこう先生は園芸を続けておられるようである!室内園芸がメインだということだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?