これが究極のフードロス対策だ シュウマイはこうして1週間使え!

今回はこのご時世に避けられないSDGsに関わる話です。
今回取り上げるのは「フードロス」です。
今でも多くの食品が消費・食べられることなく廃棄されています。
一部は飼料や肥料になったり、生活の厳しい家庭への支援に回ったりも
していますが、まだまだ多くの食品が不幸にも廃棄されています。
そんな中で、究極のフードロス対策といってもよい事例を紹介したいと
思います。
もう、40年近く前の話になりますが、私の勤務先だった会社の社食は時
代を先取りした取り組みをしていたといえます。
今回はそんな究極のフードロス対策をご紹介したいと思います。

私が勤務していた会社の社食はいわゆる普通の社食です。
会社の運営ではなく、外部の給食会社が受託している至って普通の社食
でした。
人件費や光熱費などは会社持ち、社員は材料費だけを負担するという運
営になっていましたので、まあまあリーズナブルな価格で提供されてい
た、本当にどこにでもあるような社食でありました。
しかし、この社食には多くの不思議と謎があり、社員でも解き明かせな
かった多くの逸話がありました。
今回取り上げるのは究極のフードロス対策として、これ以上の技は今後
も出ないのではないかという、ウルトラD難度の技になります。

月曜日、三食を提供するこの社食の昼食のメインメニューとなる定食の
サブのおかずとして「シューマイ」はこっそりと登場します。
あくまでもサブの立場ですから、ひっそりとメインのおかず(唐揚げと
かカツ)の邪魔にならないポジションで花を添えます。
シューマイ自体は今でも見かけることのできる、冷食タイプのレンジで
チンするタイプのものです。
至って普通の地味な役割のシューマイです。
でも、悲しいことにシューマイが残されたり、定食そのものが残ったり
しますので、シューマイが再回収されていきます。
さぁ、ここから究極の技が炸裂していきます。

火曜日、朝食で月曜の昼に見かけたシューマイが小皿に載って登場しま
す。
明らかに、「昨日、お会いしましたよね?」というシューマイ達です。
そして、昼食の定食にシューマイはその姿を変えて登場します。
シューマイは油で揚げてあり、いい感じで茶色のヤンチャなシューマイ
に仕上がり、メインのおかずに横に鎮座しています。
「君は・・・、月曜日のシューマイだよね?」
シューマイは何も言いませんが、そのシルエットは間違いなく、月曜日
のシューマイです。
やっぱり、ここでも揚げたシューマイ達は居残りしていきます。

水曜日、朝食で火曜の昼に見かけた揚げシューマイが小皿に載って登場
します。
明らかに、「お前、定食の皿に載ってただろ?」というシューマイ達で
すが、彼らは無言で佇んでいます。
そして、昼食の定食に揚げシューマイは更に華麗なる変身を遂げて、そ
の姿を見せます。
なんと、揚げシューマイは衣を着た「シューマイの天ぷら」となって、
メインのおかずの横で華を添えています。
「君は・・・、間違いなく揚げシューマイだったよね?」
シューマイは無言でその存在感を華々しく見せています。
試しに衣を外してみると、そこにはあのヤンチャな感じの茶色の揚げシ
ューマイが姿を現します。
「なんだよ、ジロジロ見るんじゃねえよ!」シューマイ達は〇〇〇座り
でこちらを睨みつけています。
でも、悲しいかなシューマイ達は華麗な変身を遂げたにも関わらず、ま
た居残りとなっていくのでした。

木曜日、朝食には言うまでもなく、水曜の定食に華を添えたシューマイ
の天ぷらが小皿に載って待ち構えています。
「オハヨウゴザイマス。」シューマイ達は疲れた表情でこちらを見つめ
ています。
そして、昼食の定食には更に驚くべき姿でシューマイ達が登場します。
シューマイ達はお色直しして登場してきました。
なんと、シューマイ達は天ぷらの衣を脱ぎ捨て、今度はフライとなって
登場してくるのです。
「お前、歌舞伎の早着替えか?」シューマイ達ははにかんでこちらを見
ています。
フライの衣を恐る恐る外していくと、そこには懐かしいヤンチャな茶色
の揚げシューマイがいました。
「恥ずかしいだろ、さっさと食っちまえよ・・・。」シューマイ達はこ
こでもメインのおかずを引き立てるためのミッションを忠実に励行して
います。
そろそろ、ヤバくねえ・・・、まだ食えるのか・・・。
そんな不安を感じながら、ついに金曜日を迎えていくのでした。

金曜日、フライと化したシューマイ達は小皿に載って朝食でも存在感を
示しています。
ここまでくるとさすがにシューマイ達に手を伸ばすシューマイ好きでさ
えも、シューマイには手が出せない状況になっています。
さて、週末の金曜日の昼食です。
金曜の定食のメインのおかずを更に盛り上げる存在として、シューマイ
達は更なる進化を遂げて登場していきます。
シューマイは加熱されて、餡かけとなって登場するのでした。
「本当に、ご苦労だな・・・。」もうそうとしか声をかけることもでき
ません。
シューマイ達は月曜から金曜まで、決してメインを張らずに、その控え
めなイメージを崩さず、最後までメインのおかずを立て続けたのでした。
一応、火は通してあること、メインのおかずがやけに小さくてショボい
こと、腹を満たすには腹を括ってシューマイにも手を出さざるを得ない
こと、本当に計算しつくされた技がそこにはありました。
これぞ究極のフードロス対策といっても過言ではありません。
もう、40年近く前に日本ではこうした先進的な取り組みがあったのです。
本当に凄いことだと思います。
シューマイには何の罪もありません。
結論としては、フードロスもSDGsも身を切る我慢と耐える忍耐力によっ
て達成されるということ、これを社食で学びました。
決して簡単ではありません。
地道な努力と創意工夫がSDGsには大事なのです。
食品衛生的にどうかの議論は別として、こんな小さな取り組みでもフード
ロス+SDGsの取り組みとなります。
皆さんもできることからコツコツと取り組んではいかがでしょうか。

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