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あやかしの喫茶店 ― だだっ広い店での住み込み生活

そんなところで僕は暮らしている。仕事と言っても、何かを作るわけでも運ぶわけでもない。
ただお客さんと軽く会話するだけだ。
朝ごはんは「お母さん」と呼ばれる人が、一定の場所に弁当を置いてくれる。恒例の鮭の切り身とご飯程度のものを食べる。
ある日、懐かしい女性客が現れた。
彼女とは最近どうしているか、時々顔を見せてくれという程度の話をした。彼女は唐揚げを食べて帰っていった。
その後、男友達が朝ごはんを食べていないと言って僕のところにやってきた。
そこで近所のスーパーに買い物に行くことにした。
男友達は近所では評判のイケメンで、店のレジのお姉さんが積極的に彼にこの街の良さを説明していた。
どうやらここはオシャレな街だということらしい。
男友達が買ったものといえば、変な形をした木の枝だった。
帰りはレジのお姉さんに言われたとおり店を出て右に曲がると、でかい図体の男が僕に近づいてきた。
「あなたのマンションを売っぱらいましたので御了承ください。」との事だった。
何を言っているのか分からなかったので無視していたら、男友達がその男に食ってかかった。
「名前も知らないのに勝手に売っぱらったってどういう事だ。お前が詐欺師だと言うことはバレバレだぜ。」
すると男の仲間らしき者たちがやってきた。
全員デブだった。デブたちは我々に謝り、男を担いでどこかへ去っていった。
そして僕は彼の買った枝をどこかに落としてしまったらしいことに気がついた。
スーパーまでの道を辿っていると、どうやら僕のポケットにそれは入っていた。
さあ、帰ったらパーティーだ。買ったばかりのマタタビでマタタビパーティーだ。
この話の主演者が全員揃い、皆でゴロゴロする。最高の気分だろう。

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