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伝言板

大きな水害や地震が有ると設置される「災害伝言板」。
シティーハンターっていうアニメで依頼者が冴羽獠に依頼を書くあの「伝言板」。
「伝言板」ということばを聞くと胸の奥がぎゅーとする。そんな青春の1ページ…

「やっぱり帰るね ネコより.」最後の点で思わずチョークが止まった。口から出そうな心を飲み込み深く息を吐いてから改札口に向かった…

「キーキキキキキ パシュ」赤色の箱を引いた電気機関車が入ってきた。そう、出会った時もこんなくすんだ赤色の客車だった。
今朝のことだ。

「何かありました?」
さっきからをちらちら俺を見る女の子たちがそこにいた。淡い期待を持って声かけた。

「わたしたちの席にねまる人がおったんでまげたなーと思って」
「ねまる?おまる?まけた?」
「わー おまるってひどー どこの人?東京もんはこーやって田舎もん馬鹿にすんでしょ!」
「いやー俺も愛知だから田舎だよう てか標準語w でどういう意味?」
「座るって意味。いつも座る場所大体決まっててねー」
何だそっちか…そうなんだ。
そんなこんなで彼女たちの最寄り駅まで、お姉さんたちが高2で、自分が中3、家出ではなく18きっぷで旅行してること、寝袋で駅に泊まることが多いことを面白おかしく喋った。
その日は観光地2カ所寄って帰ったら夕方。
「あー朝の猫ちゃん」
「??」「‼」
そうなのだ。奇跡の再開。田舎だから列車が1~2時間おきなのだ。
 そこから喋った、喋った。駅降りてからベンチでも。
 BOOWYはカッコいいよねってところが特に共感してくれた。本当はオフコースも好きなんだけど、純な青年と思われるのが何故かここでは後ろめたくて隠したりもした。
 やっぱり年頃の女の子でちょっとヤンキーに憧れる子は野良猫臭のする変わった子が好きなんだ。
 (当時は優等生ずらで、らしくないから、よく旅先で面白がってもらってた)
「今日はどうするの?」
「適当に駅で寝袋で泊まるけど。チャリダーやライダーと駅のベンチ取り合いなんだぜ。俺が先だぜみたいな。だからそろそろ…」
「私も… 行っていい?」
「‼ 何かするかもよー」
「は は は 顔にしたことありませんって書いてあるぞ!」
「…」
「図星~」
そうなのだ。顔に出るタイプなのだ。
「待っていて。着替えてくる…」
そこからは心と身体が分離して宙を舞ってる感じがした。龍のように。いや阪神の応援で使う風船のが近かったかもしれない。
で、でも、待てよ。俺の好きな子が知ったらどう思うだろうか?
 そうなのだ。当時はこんな俺でもオフコース派だったのだ。
 でも今考えれば俺は逃げ出したのだ。
 いい出会いからあの日、あの時、あの場所で。

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